ローズオイルとローズウォーターは共に薔薇の花を水蒸気蒸留して作るのが生産的なといいますか、商業的な方法です。アラビア式蒸留器の出現は9世紀にさかのぼります。BC50年にはアレキサンドリアに蒸留器が既にあったとようです。インダス川流域ではBC5000年から、パキスタン北東のパンジャブ地方 ( ラホールの南西約200kmのラーヴィー川左岸 ) ハラッパーではBC1900年の土器の蒸溜器が出ています。
Deg-Bhapka excavated in the Indus Valley (1977, now in the Taxila Museum, Pakistan)
https://www.fragrantica.com/news/BWME-2019-Interview-with-Pranjal-Kapoor-12250.html
Deg(蒸溜容器)の中に薔薇の花びらやジャスミンを詰めてBhapka(受け器)よりも上に据え付けます。水を入れて加熱することで作業が始まります。
インド北部のKannauj地方で花の香油を作る、4代目のM.L. Ramnarain Perfumersにインタビューした記事を引用させていただきました。記事と共に蒸溜器、ラクダの皮の容器、蒸溜器の中に入れられた薔薇の花びら、製品の一部分が紹介されています。
https://www.kannaujattar.com/blog/traditional-method-of-making-attars-using-hydrodistillation-deg-bhapka-method/ (一部分加筆してあります)
『銅製の蒸留容器、竹の冷却管を使い、レンガとねんどで作った炉の隙間をベントナイト(Fuller's earth)又は粘度で封をするという昔からの方法で薔薇オイルを作っています。それを昔から伝わるオイルの中に残る水分を吸い取る働きがあるラクダの皮で作った袋(kuppies)に入れます。』
『Rose Oil(Ruh Gulab)、asmine Essential Oil(Ruh Motia)などShamama, Attar Mitti, Ruh Khus (Vetiver North India), Ruh Motia, Ruh Kewra, Ruh Mehndi (Heena), Zafraanといった伝統的なオイルをスチーム蒸留ではなく、水蒸気蒸留で時間をかけて作っています。ルー(Ruh)は、フローラルと根茎のエッセンシャルオイルを意味します。製品、製法は伝統に基づくもので、我々にとって非常に重要であることは勿論、神聖な存在でもあります。』
カナウジ( Kannauj、インドのウッタル・プラデーシュ州に属する都市。カーニャクブジャ(Kanyakubja)とも称し、古代から中世にかけて繁栄した北インドの古都。)で作られた香水。
https://www.amazon.in/Aromazeia-Mitti-Attar-Fragrance-Kannauj/dp/B01GDYE9NU