「麻也さんがあのアイドル…鈴音ちゃんと結婚するって本当ですか?」
…って、ライブ本番前にそれはないだろうよ…古いつきあいとはいえの誰にもそんなこと言われる筋合いはない…
…って、ライブ本番前にそれはないだろうよ…古いつきあいとはいえの誰にもそんなこと言われる筋合いはない…
…諒がソファの上で目を覚ますと、つけっ放しのテレビには、いつも録画している美術の番組が流れっぱなしになっていた。
(…俺…)
そう、もう武道館は終わっていた。
それは満身創痍になりながらのツアーの終わりでもあった。
そして…飛び出していった麻也をソファで待っているうちに、自分は寝てしまったらしい。
(麻也さん…真樹んとこでも泊まってんのかな…)
まさか、鈴音や冬弥なんかのガキたちとなんか…
もうそんなこと考えたくなかった。
そうなるとテレビに八つ当たりだ。
「テレビでなんかしゃべってないでテメエの女房なんとかしろよ」
画面の中で絵の感想を語っているのは、諒にずっとつきまとっている女優・関村響子の夫の脚本家だった。諒の種なら貰いうけてもいいと、年下女房可愛さで諒に渋々言ってきた男…
(今日も一次会には来てたよな…)
鈴音ちゃん、2枚目のシングルも駄目だったみたい。
ドラマも上手くいかないみたいだから、パニックみたいよ…
事務所が焦らせすぎっていわれてるけどね…
でも、学園ドラマで冬弥と共演して、そっちでつきあってるとも聞いたけど…
(…麻也さんの噂、多過ぎ…)
一人でいると、色んなことを思い出す。
「うちの兄貴…麻也ね、今度のライブに連れてきていいかな? 」
あの時、どうして真樹に、「いいよ」と言ったのだろうと、最近の諒はずっと後悔している。
ノーと言っていたら今頃は、大翔と、晴美と、平凡な暮らしをしていただろうか。
いや、その2人とも出会うことはなかったのだ…
(…俺…)
そう、もう武道館は終わっていた。
それは満身創痍になりながらのツアーの終わりでもあった。
そして…飛び出していった麻也をソファで待っているうちに、自分は寝てしまったらしい。
(麻也さん…真樹んとこでも泊まってんのかな…)
まさか、鈴音や冬弥なんかのガキたちとなんか…
もうそんなこと考えたくなかった。
そうなるとテレビに八つ当たりだ。
「テレビでなんかしゃべってないでテメエの女房なんとかしろよ」
画面の中で絵の感想を語っているのは、諒にずっとつきまとっている女優・関村響子の夫の脚本家だった。諒の種なら貰いうけてもいいと、年下女房可愛さで諒に渋々言ってきた男…
(今日も一次会には来てたよな…)
鈴音ちゃん、2枚目のシングルも駄目だったみたい。
ドラマも上手くいかないみたいだから、パニックみたいよ…
事務所が焦らせすぎっていわれてるけどね…
でも、学園ドラマで冬弥と共演して、そっちでつきあってるとも聞いたけど…
(…麻也さんの噂、多過ぎ…)
一人でいると、色んなことを思い出す。
「うちの兄貴…麻也ね、今度のライブに連れてきていいかな? 」
あの時、どうして真樹に、「いいよ」と言ったのだろうと、最近の諒はずっと後悔している。
ノーと言っていたら今頃は、大翔と、晴美と、平凡な暮らしをしていただろうか。
いや、その2人とも出会うことはなかったのだ…
いくら事務所をクビになった兄が見に来てくれると言っても、誰か業界の人を紹介してくれるかも、くらいにしか思っていなかった。
それが…
あんな美しくて厳しくて、素敵な人だったなんて…
その日から諒の「許されない恋」は始まった。
(いくら業界にいたとはいっても、ロックだったら男同士なんて経験ないだろうし…)
年も上で、プロのバンドの経験者のクセに、初めての「悪魔のキス」を受ける時のウブそうだったこと…
あの可愛らしさに…ますます溺れていくのを抑えられなくなった。
それが…
(2000人斬りのMA-YAだったなんて、思ってもみなかった…)
それで、やっぱり自分がわからなくなって、狂ったように女を求めた。
一番気が合ったのは晴美だったが、5股がばれて、それどころか、諒がバンドをやっていることを友達から聞きつけ、こっそりライブにも来ていたのだ。
「諒ほどの人が、他にも女の人ができるのは、頭では理解できる。でも、許せない。もう別れたい。」