「アンタなんか、裸の王様だよ! バンドのためにアイドルのプロデュースまで引き受けて、体こわしてすまないなと思ってたのに、外でいったい何やってたんだよ!」
麻也の顔色がみるみるうちに青ざめていくのがわかる。それは自分が言っていることが間違っているせいなのか。そうであってほしい、と思いながらも諒は自分の言葉を止められない。
「 ロリコン野郎がバンドのことは放っておいて、このザマかよ」
そして、最も相手を傷つけることを選んでしまう。
「あんたの曲のセンスは古いんだよ。 もうあんたのやり方は古いんだよ。俺はもう25になるから賞味期限切れってわけ? とんだシンデレラだな。 こっちが子持ちでバツイチだからっていつまでも下手に出てると思ったら、大間違いだよ。 まあ、あんたの甘ったるいラブソングはせいぜいあのガキ共に歌わせてろよ。 もうあんたの歌を、俺に歌わせるのはやめてくれ。俺の歌が死にそうだ」
しかし…
諒はなぜかまだ言い足りない。
(俺、本当は麻也さんの過去を憎んできたって言いたい?)
それは付き合いをスタートさせた時の約束を破ること…過去の傷を癒やすって…
(でも、あのオヤジは今も麻也さんとつながってるって言ってた。あの悪徳社長のサカグチ…芸能界のドン…)