BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説22ー6「ディスティニーアンダーグラウンド」

2020-02-19 22:23:47 | ★ディスティニー22章
「あれ、諒そのシャンパン開けちゃったんだ」
 麻也の声だった。諒は目がさめた。
 おかえり、と言いかけて、諒は昨夜のいきさつを思い出し、ロをつぐんだ。
 麻也も疲れた様子で、何も言わない。
 諒は初めて麻也から何かをもらっている状態が嫌になって、シャンパンの壜をテーブルの上で麻也の方へ押しやった。
 それに麻也は驚いたようだったが、いい言葉が見つからないらしく無言のまま…
 諒はいつものように麻也の体調が気になって、どこに泊まったのか尋ねようとして、止めた。
(もう、やだ。ツアー中もあんなに俺は尽くしたのに、麻也さんには他に…) 
 諒は思い余って、二人のシルバーのエンゲージリングを左手の薬指から引き抜くとテーブルの上にガツンと勢いよく置き、
「営業ホモ、お疲れ様。もう俺のこと。愛してないんでしょ、もう俺は騙されないよ。 お仕事のため、保身のために愛してるふりしてるだけなんでしょ」
麻也は何のことかわからないらしく、諒を見つめるばかりだった。
「あんたがあの時、弟のバンドを見に来なければ、 俺はあのトシで父親になることもなかったし、人生狂うこともなかったんだ!」
「諒…」
「もうこれ以上、俺の人生狂わせるのやめてくれる?ねえ? おエラいプロデューサーさんよ!」