杏の読書日記プラス

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ハルカ・エイティ

2005-12-11 14:21:31 | 
初の姫野カオルコ作品~

睡眠不足気味で、読書スピードが落ちました。通常の三分の二程度かな。加えて、この本468ページもありました。読み終えるのに、一週間以上かかり、図書館の返却日を一日オーバーしてしまいました。そんなわけで、今はもう手元にはないので、詳しい説明はなし。思ったこと、感じたことをつらつらと~

冒頭、81歳のハルカが登場するやいなや、ぐぐっ、とハートをつかまれました。このばあちゃん、おもしろい!!高層階にあるホテルのティールームでお茶したり、ボブの髪を颯爽となびかせ、ヒールの靴で歩く姿がかっこいい。(集英社コミックで読んだ「オレンジペコ青子さん」という作品を思い出してしまった。大好きだったんだ、青子さん)
この人、いったいどういう人生だったの?
~と読者の興味を惹き付けたところで、時代はさかのぼり、ハルカの少女時代が始まる。

持丸ハルカは、1920年、滋賀県に生まれた。尋常小学校、高等女学校、師範学校を経て、小学校教師になる。20歳で軍人と見合い結婚をし、優しい義父母と暮らし、終戦直後に子どもを生む。大阪で、夫が事業を興すものの、順風満帆とはいえず、ハルカも再び教職につき職業婦人となる。

戦前、戦中、戦後の市井の人の暮らしをハルカという人物を通して描かれた作品、ということらしい。書評には、昭和の歴史としても読め、一人の女性の生き方としても読め、この国の価値観、性差感としても読める。また、家族小説であり、恋愛小説でもあり、大きな小説である・・・と書かれていた。

~確かに、そうなんだけど、400ページを超える長編でありながら、いまひとつ盛り上がりに欠けてる気がします。物語を一気に読ませるパワーが感じられませんでした。冒頭の期待が、読んでいるうちに、少しずつ小さくなり、中盤で盛り返すのですが、あっけないラストを迎えてしまいます。「ハルカ・エイティ」というタイトルなのに、50代のハルカで終わってしまい、60代・70代のハルカは描かれていません。この50代のハルカと、冒頭の81歳のハルカをつなぐ部分は空白で、読者の想像に任されています。

~とこの作品に足りないものを先に書いたので、次はおもしろかったところを・・・。
なんといっても、主人公ハルカが魅力的。何があっても、ポジティブ思考。ないものをないと嘆くより、あるものをあると喜ぶ、「そのほうが、たのしい」と生きていくハルカ。そして、ハルカの家族~妹・時子、夫・大介とその両親、友人・由里子と日向子などなど、どの人物もハルカに負けないくらい魅力に溢れてます。彼らのエピソードも充分に堪能できる作品でした。

★★★☆☆

ハルカ・エイティ
姫野 カオルコ著文芸春秋 (2005.10)通常24時間以内に発送します。
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