初回投稿:2017年11月3日
追記:2017年11月8日
追記:2018年2月14日
民間療法に関する主張は、新たに民間療法反対論(https://blogs.yahoo.co.jp/gcpmamoru)というブログに記載していくことにしました。
整体・カイロ等民間療法者への呼びかけ
これは私見であり、反対意見があることも知った上でここに記載するものです。
根本原則として、病気の治療は医療機関で行われるべきものと考えます。医師、看護師、検査技師(検査部門)、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、医療コーディネーター等々が医療設備を用いて、責任の明確な立場の方々が患者を検査し、治療し、看護するもの、と考えます。まして、子どもの病気に対してはそれが否定される理由がどこにあるのでしょう。 特発性側弯症は子どもの病気です。自分の症状や治療内容を理解できる大人ではありません。 子どもなのです。
民間療法者は、大人を対象としてビジネスをすることで何が不満なのでしょう? 自分達が子ども達を救っていると本当に信じているのであれば、その医学的証拠を、医学データととして認められるレベルのものを提示すべきです。施術前後の写真は証拠ではありません。患者さんからの感謝の手紙は証拠ではありません。医者を巻き込んで「これは凄い」とと語ってもらうことは証拠ではありません(そもそも医者であるならば、医学データの何たるかは知っているはず。医者の自分が凄いと言うのだから、これは事実だ。というのは権威を利用した「まやかし」「印象操作」です)。政治家を連れてきて、「これは凄い」と語らせることは証拠ではありません。〇〇協会や△△団体から表彰されることは証拠ではありません。 医学データを示すことなく、事情を理解しえない子どもを治療しようとすることは、もちろん医療ではなく、道義にも倫理にも反する行為です。
◇2016年 「Chiropractic Treatment for Idiopathic Scoliosis : A Narrative Review Based on SOSORT Outcome Criteria」
特発性側弯症に対するカイロプラクテック : SOSORT基準に基づく(医学文献・データ)批評
・SOSORT機関による施術等のデータレビュー
・調査対象はマニュピレーション(カイロプラクテック)、カイロ+装具、マニュピレーション+装具、体操療法、
マニュピレーション+体操療法 等
・PubMed等データベースから検索できた299件の報告のうち、SOSORTとして評価対象として議論しえたものは27件の研究発表のみ
・このうちSOSORT基準に合致したデータ記載がなされていたものは 2件のみ
・マニュピレーション(カイロプラクテック)に関しては、下記の論述のとおり。
-6件の報告があったが、全て報告内容に不備があり、SOSORT基準に合致していない。
-例えば、ひとりの7歳の幼児期特発性側弯症に施術を1カ月に4回実施し、施術前13°が施術により5°に減少したと報告している。しかし、この結果のみであり、それ以降のことが記載されていない。
-例えば、NUCCA法を用いて ひとりの15歳女子に施術を行い、コブ角44°から32°に減少したと報告しているが、この女子は4年間施術を受けていることになっているが、4年後のコブ角の結果報告がない。
-例えば、ひとりの10歳の女子(コブ角35°)に施術を25週間実施し、10°に減少したと報告しているが、骨成熟が完了後のデータがない (その後が不明)
(comment by august03)
・SOSORT組織は、2014年にSRSと話し合いをもち、研究データの報告内容に基準を設けました。
・その根底には、これまでの施術、カイロプラクテック、体操等の報告内容が医学研究・調査報告書としての「品質」を満たしておらず、その効果を認めてもらうことができない、認めてもらうには認めてもらう為の手順・方法・記載の基本を守らければいけない。という方針が確認された。と言えると思います。
・SOSORTは医療機関の先生方により基本的には構成されています。その先生方の目から見ても、医療機関の先生の報告とはいえ、過去のデータには不備が多く、その施術の効果を評価しえない。ということでしょう。
・日本の場合は、施術マニュピレーション・カイロプラクテック・ヨガ・ピラテイスなどは「民間療法者」によるものがその大半であり、それらは医学報告ではなく、「広告宣伝」のたぐいです。しかしインターネットを開くと、その宣伝があたかも「医学的なものである」かのような言説が累々と述べられています。これは、医療機関(病院等)によるネツト上の広告宣伝は法律により様々な規制があるのですが、民間療法者の広告宣伝にはそのような法律が及ばない為、言ったもの勝ちの状態がこれまで10年も20年も続いてきたことが原因です。
・そもそも民間療法者が「特発性側弯症」をビジネスとすること自体に大きな問題があると考えますが、例えば次のような事項について、いま一度立ち止まって、点検してみてはいかがでしょうか
-構築性側弯に対する施術ですか?
-それとも、真の病気である「機能性側弯」に対する施術ですか?
-もしその施術が機能性側弯を治せる、と主張している場合、「治せる」「治した」の中身を確認しましょう。
患者さんが10歳のお子さんであるならば、その求めてる「治せる」というのは、
□今後、思春期を迎え、思春期を過ごし、青年となり、大人となっても脊柱のカーブが二度と生じることなく生活していけること
ということだと思いますが、いかがでしょうか?
民間療法者は上のような施術前・後の写真を見せて、側弯症を治した。と宣伝しているわけですが、これは永続するものではありません。施術を施している1カ月とか2カ月とか、その後に、外観が変化するだけであって、しばらくすると外観は元に戻ります。
SOSORTメンバーの先生がたは理学療法系のドクターが多いわけで、このような施術マニュピレーション・カイロプラクテックだけで特発性側弯症が完治するとは述べていません。その可能性を探っておられるようですが、過去何十年のデータからも、その事実を証明したものがないことは、先生方自身が認識しています。
民間療法者の宣伝は、「患者心理」、特に患者さんが小さな子供であるがゆえに、「この子を産んだわたし」というお母さんの心理を利用したものです。 前後写真は、2年後・5年後・10年後を保証したものではありません。同じ患者さんの手紙やコメントは、その人の場合の気持ちや状態であって、それがお子さんに当てはまると考えるのは、「当てはまると信じたい」お母さんの気持ち(確証バイアス)がそうさせていることです。 民間療法者は、そのような皆さんの「期待・願望」「錯誤」という心理を利用しているだけです。
もし側弯整体に通ったほうが良いのでは? と悩んでいるお母さんがおられましたら、もう一度立ち止まって、そして問いかけてみて下さい。求めておられる「治る」の意味を。
もしその側弯整体やカイロプラクテックが、100人の特発性側弯症を治した、3000人の思春期特発性側弯症のこどもたちを治したと言う場合、その効果が何年続いたのかの証明を求めてみましょう。その証明を、お母さんが信じると言われるのであれば、そこにはお母さんの感情が働いているわけですから、それ以上は立ち入ることはできせん。
でも、それは間違っていますよ。第三者の目で見ると、民間療法者はあれこれとそれらしい理由は述べていますが、「患者の弱みにつけ込む悪徳業者」にしか見えません。
......インターネット上には、多数の民間療法者のサイトが、特発性側弯症に効果があることを宣伝していますが
それらひとつひとつに対しても、記載事項のどこがおかしいのかを提示していくことも、今後は実施して
みようと考えています。
続く
august03
☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?
追記:2017年11月8日
追記:2018年2月14日
民間療法に関する主張は、新たに民間療法反対論(https://blogs.yahoo.co.jp/gcpmamoru)というブログに記載していくことにしました。
整体・カイロ等民間療法者への呼びかけ
これは私見であり、反対意見があることも知った上でここに記載するものです。
根本原則として、病気の治療は医療機関で行われるべきものと考えます。医師、看護師、検査技師(検査部門)、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、医療コーディネーター等々が医療設備を用いて、責任の明確な立場の方々が患者を検査し、治療し、看護するもの、と考えます。まして、子どもの病気に対してはそれが否定される理由がどこにあるのでしょう。 特発性側弯症は子どもの病気です。自分の症状や治療内容を理解できる大人ではありません。 子どもなのです。
民間療法者は、大人を対象としてビジネスをすることで何が不満なのでしょう? 自分達が子ども達を救っていると本当に信じているのであれば、その医学的証拠を、医学データととして認められるレベルのものを提示すべきです。施術前後の写真は証拠ではありません。患者さんからの感謝の手紙は証拠ではありません。医者を巻き込んで「これは凄い」とと語ってもらうことは証拠ではありません(そもそも医者であるならば、医学データの何たるかは知っているはず。医者の自分が凄いと言うのだから、これは事実だ。というのは権威を利用した「まやかし」「印象操作」です)。政治家を連れてきて、「これは凄い」と語らせることは証拠ではありません。〇〇協会や△△団体から表彰されることは証拠ではありません。 医学データを示すことなく、事情を理解しえない子どもを治療しようとすることは、もちろん医療ではなく、道義にも倫理にも反する行為です。
◇2016年 「Chiropractic Treatment for Idiopathic Scoliosis : A Narrative Review Based on SOSORT Outcome Criteria」
特発性側弯症に対するカイロプラクテック : SOSORT基準に基づく(医学文献・データ)批評
・SOSORT機関による施術等のデータレビュー
・調査対象はマニュピレーション(カイロプラクテック)、カイロ+装具、マニュピレーション+装具、体操療法、
マニュピレーション+体操療法 等
・PubMed等データベースから検索できた299件の報告のうち、SOSORTとして評価対象として議論しえたものは27件の研究発表のみ
・このうちSOSORT基準に合致したデータ記載がなされていたものは 2件のみ
・マニュピレーション(カイロプラクテック)に関しては、下記の論述のとおり。
-6件の報告があったが、全て報告内容に不備があり、SOSORT基準に合致していない。
-例えば、ひとりの7歳の幼児期特発性側弯症に施術を1カ月に4回実施し、施術前13°が施術により5°に減少したと報告している。しかし、この結果のみであり、それ以降のことが記載されていない。
-例えば、NUCCA法を用いて ひとりの15歳女子に施術を行い、コブ角44°から32°に減少したと報告しているが、この女子は4年間施術を受けていることになっているが、4年後のコブ角の結果報告がない。
-例えば、ひとりの10歳の女子(コブ角35°)に施術を25週間実施し、10°に減少したと報告しているが、骨成熟が完了後のデータがない (その後が不明)
(comment by august03)
・SOSORT組織は、2014年にSRSと話し合いをもち、研究データの報告内容に基準を設けました。
・その根底には、これまでの施術、カイロプラクテック、体操等の報告内容が医学研究・調査報告書としての「品質」を満たしておらず、その効果を認めてもらうことができない、認めてもらうには認めてもらう為の手順・方法・記載の基本を守らければいけない。という方針が確認された。と言えると思います。
・SOSORTは医療機関の先生方により基本的には構成されています。その先生方の目から見ても、医療機関の先生の報告とはいえ、過去のデータには不備が多く、その施術の効果を評価しえない。ということでしょう。
・日本の場合は、施術マニュピレーション・カイロプラクテック・ヨガ・ピラテイスなどは「民間療法者」によるものがその大半であり、それらは医学報告ではなく、「広告宣伝」のたぐいです。しかしインターネットを開くと、その宣伝があたかも「医学的なものである」かのような言説が累々と述べられています。これは、医療機関(病院等)によるネツト上の広告宣伝は法律により様々な規制があるのですが、民間療法者の広告宣伝にはそのような法律が及ばない為、言ったもの勝ちの状態がこれまで10年も20年も続いてきたことが原因です。
・そもそも民間療法者が「特発性側弯症」をビジネスとすること自体に大きな問題があると考えますが、例えば次のような事項について、いま一度立ち止まって、点検してみてはいかがでしょうか
-構築性側弯に対する施術ですか?
-それとも、真の病気である「機能性側弯」に対する施術ですか?
-もしその施術が機能性側弯を治せる、と主張している場合、「治せる」「治した」の中身を確認しましょう。
患者さんが10歳のお子さんであるならば、その求めてる「治せる」というのは、
□今後、思春期を迎え、思春期を過ごし、青年となり、大人となっても脊柱のカーブが二度と生じることなく生活していけること
ということだと思いますが、いかがでしょうか?
民間療法者は上のような施術前・後の写真を見せて、側弯症を治した。と宣伝しているわけですが、これは永続するものではありません。施術を施している1カ月とか2カ月とか、その後に、外観が変化するだけであって、しばらくすると外観は元に戻ります。
SOSORTメンバーの先生がたは理学療法系のドクターが多いわけで、このような施術マニュピレーション・カイロプラクテックだけで特発性側弯症が完治するとは述べていません。その可能性を探っておられるようですが、過去何十年のデータからも、その事実を証明したものがないことは、先生方自身が認識しています。
民間療法者の宣伝は、「患者心理」、特に患者さんが小さな子供であるがゆえに、「この子を産んだわたし」というお母さんの心理を利用したものです。 前後写真は、2年後・5年後・10年後を保証したものではありません。同じ患者さんの手紙やコメントは、その人の場合の気持ちや状態であって、それがお子さんに当てはまると考えるのは、「当てはまると信じたい」お母さんの気持ち(確証バイアス)がそうさせていることです。 民間療法者は、そのような皆さんの「期待・願望」「錯誤」という心理を利用しているだけです。
もし側弯整体に通ったほうが良いのでは? と悩んでいるお母さんがおられましたら、もう一度立ち止まって、そして問いかけてみて下さい。求めておられる「治る」の意味を。
もしその側弯整体やカイロプラクテックが、100人の特発性側弯症を治した、3000人の思春期特発性側弯症のこどもたちを治したと言う場合、その効果が何年続いたのかの証明を求めてみましょう。その証明を、お母さんが信じると言われるのであれば、そこにはお母さんの感情が働いているわけですから、それ以上は立ち入ることはできせん。
でも、それは間違っていますよ。第三者の目で見ると、民間療法者はあれこれとそれらしい理由は述べていますが、「患者の弱みにつけ込む悪徳業者」にしか見えません。
......インターネット上には、多数の民間療法者のサイトが、特発性側弯症に効果があることを宣伝していますが
それらひとつひとつに対しても、記載事項のどこがおかしいのかを提示していくことも、今後は実施して
みようと考えています。
続く
august03
☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?