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軽度側弯の思春期特発性側弯症患者への「予防ビジネス市場」はどれだけの規模なのか?

2017-11-23 12:32:37 | 特発性側弯症と民間療法
初回記載:2017年11月23日


追記:2018年2月14日
民間療法に関する主張は、新たに民間療法反対論(https://blogs.yahoo.co.jp/gcpmamoru)というブログに記載していくことにしました。




軽度側弯(マイルドカーブ)の大半は自然緩解することを医学データを用いて説明してまいりました。データにより幅があるのですが、80%前後は、自然緩解すると見ることができます。ワーストシナリオを広げたとしても50%以上は自然緩解することを医学データは示しています。

このような医学データを構築するまでに、世界中の整形外科(脊椎外科、脳外科)の先生がたが、100年以上前から臨床現場での患者さんの調査を積み重ねてきていることも、お示しました。

しかし、残念ながら、特発性側弯症は未だに原因不明の病気である為に、自然緩解する患者さんと、進行してしまう患者さんの区別を、病院に来られた初診の段階で診断する技術はまだありません。しかし、3か月後とか、4か月後とか、6か月後にレントゲン検査をすることで、お子さんが「進行性」なのか、そうでないのかは診断することができます。 6か月の間をあけるのは心配だ、と思われるならば、3か月後あるいは4カ月後に再検査を受けられてはいかがでしょう。 レントゲン技術も進歩していますので、放射線のことを心配するのは、過剰だと思います。 でも、この期間についても、先生は、お子さんの「リスク」を勘案して、ご両親に説明してくれるでしょう。 リスクとは、年齢、リッサーサイン、初潮の有無、遺伝的要素などが考慮されると思います。
コブ角25°が装具療法に入るかどうかのひとつの目安になります。

この治療方針に対して、民間療法者は25°を超えるまで待つ必要はない。軽度側弯のうちから、側弯体操をすれば進行しない、進行したカーブも治せる。と宣伝しているのは、皆さんもご存知のとおりです。

経過観察しなければ、進行性かどうかを判断できないのなら、そんな悠長なことをしているよりも、側弯体操をするほうが良いに決まっている。というのが、彼らの「簡単明瞭」な論旨です。つまり、50%~80%の自然緩解も含めて、......ただし、彼らはこのことは無視しているわけですが......全ての子ども達に側弯体操をすれば「予防」できる、こんな良いことはないだろう。 治療にもなる、さらに予防にもなる。これに反対する人間のほうがおかしいだろう。病気は予防できるのなら予防したほうが良いのは、全ての病気において言えること。それが予防医学だ。という論旨です。

一見、筋が通っています。 予防医学に反対する理由がありません.......

いいえ、反対する理由はあります。それは、その「予防法」が効果があるかどうかが解明されていない場合です。効果の証明されていない方法を、これをすれば「予防」できます、と説明するのは「医学」ではありません。

思春期特発性側弯症の予防に、治療に「側弯体操」が有効という医学データはどこにも存在しません。

Schrothシュロス体操で報告されているのは、25°以上の思春期特発性側弯症の治療には「体操プラス装具療法」であって
体操だけで治療できたと証明できた医学データ(エビデンス)はありませんでした。 予防できた、というエビデンスもありませんでした。 (私が見つけられないだけで、あるのかもしれませんが、PubMed, Google schollerからは見つけることができませんでした)  体操だけで存在したのは、骨成長が完了して、進行リスクが減少した大人の側弯症において、かつ重度なカーブではない患者さんが、ほぼ毎日体操を数十分、1時間、2時間と続けることで、カーブの減少できた人がいる。ということです。

国内の民間療法者は、思春期特発性側弯症の恐ろしさを喧伝し、子どもとご両親を不安に陥れることで、「予防」することの必要性を宣伝していますが、予防が必要なのは子ども達のためではなく、自分らのビジネスの為、ということを図式にしてみました。 皆さんのご理解に役立ては幸いです。












下記に示すのは、平成27年の静岡県での学校検診(脊柱側弯検診)のデータです。ここでは二次検診陽性者を
軽度側弯により経過観察対象者と読み替えてみました。



静岡県のデータは偶然、グーグルから入手できただけですので、これを代表サンプルとするのは強引かもしれませんが、ここではあくまでも、「参考資料」を作成するため、仮説を作成するため、ということでご理解いただきたいと思います。

単純計算ですが、全国に約5万人の「予防」予備軍がいることになります。これは毎年累積されますので、仮に3年間は側弯体操が必要なのだ、という宣伝が功を奏すれば、15万人の市場です。これが「永久」に継続することになります。

しかも、子どもの為ならば、親はお金を使う事に躊躇しません。罪悪感を胸に秘めたお母さんにとって、我が子が救われるならば、という思いは、海よりも深いのですから。

彼らは、大人の側弯症患者へのアプローチはこのような簡単なビジネスにはならないことを知っています。なぜならば、大人は自分で自分の身体のことを判断できるからです。大人は、お金の価値と、何に使うべきかを自己判断できるからです。

一方の思春期特発性側弯症ビジネスは、大人を相手にするビジネス市場とは全く異なることが、ご理解いただけると思います。

どうか皆さんは、医学的事実がどこにあるのか、ということを冷静に見極める目を持っていただきたいと願うものです。

august03


☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。 医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?

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