![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/97/205e8e128f8f81004ec1a8d4face9c76.png)
私は医師でも、検査の専門家でもありませんが、ここでは今回の学校検診についての
総括的な意見を書かせていただきます。
Q1.児童生徒に対する脊柱検診は必要か不要か?
A1.現在の日本の、法律によって定められた学校検診制度自体は肯定されるべきもの
と考えます。個人(個々の家庭)の負担がなく、定期的にこどもたちの健康状態の
検査を国の施策として実施することは、広く公共の福祉に合致し、憲法の精神にも
則るものと考えます。課題は、いかにこの制度を医学的にも効果のある実施形態に
改善するか。そこにあると思います。
Q2.医学的効果とは何を言うのか?
A2.ここでは、あくまでも脊柱検診における思春期特発性側わん症の早期発見という
ことだけに絞って話を進めます。
特発性そくわん症は、20度台で見つかるか、30度台で見つかるか、はたまた40度
台で見つかるかではまったく様相がことなってきます。目標は20度前後で発見
できること。それが側彎症治療における早期発見の目標点になると思います。
Q3.どうすれば、それが可能になるか? 現状では内科医による脊柱側弯症の発見は
技術的に無理があると言われている。誰が検査者になるのか?
A3.その前に、法律としてひとつとても重要なことを定めてもらう必要があると
考えます。それは、「免責条項」ということです。
学校検診とは“スクリーニング”であって、そこには検査の完全性はありえない
という科学的事実から論議を進める必要があるでしょう。
スクリーニングとは、疑わしいものはできるだけピックアップしておきましょう
というシステムであると同時に、擬陰性(真実は側彎症だが、スクリーニングで
陽性と判断できずに、スルーしてしまう例)の発生もゼロにすることは不可能です
また擬陽性(真実は側弯症ではないのだが、脊柱側弯症の疑いある、または誤って
脊柱側弯症として陽性の判定をだす例)は、さらに大きなパーセントとして判定
することになるでしょう。
擬陽性は、二次検査、三次検査によって病気ではないことが判明するので問題と
はならないのですが、擬陰性は、スクリーニングをスルーしてしまう為に、次に
異常に気づいたときは、すでにカーブが相当進行していた。という問題が発生
することになります。
そして問題は、このミステイク(見逃し)を担当者(学校医、養護教諭等)に直接の
責任を求めることがあってはいけない。ということです。
このようなミステイク(見逃し)を防止するための対策は必要ですが、ミステイク
を個人(担当者)の責任に帰することもできないし、すべきできない。ということ
です。またこれは個人のみならず、実施責任者側(学校、自治体等)に対しても
責任を求める筋のものではない、ということです。
例えばモアレ検査にしても、100%の精度で側彎症を抽出できるものではありません。
カーブが小さければ小さいほど見逃し例は当然発生します。
いかなるものにおいても、100%、完全、などというものはありえません。
その事実に立脚し、またスクリーニングという検査の性格を考えたとき、そこに
損害賠償というような法的関与が発生することを許容しうるブラックボックスが
あってはいけないと考えます。それを許容してしまっては、検査の担い手が誰も
いなくなってしまいます。
ゆえにブラックボックスをなくすもの、それが「免責」という考え方です。
免責とは、ミステイクがあってもその責任を問うてはいけない。という考え方
です。
Q4.それでは検査の精度が下がるのではないか?
A4.免責を与えることと、精度が下がることとは同一で論じられるものではありません。
免責は「責任の所在」であり、精度は「技術」の課題です。技術は向上させうる
ものです。
Q5.どういう方法で精度をあげるのか、技術をあげるのか?
A5.その前に、どういうステップで脊柱検査をするのが良いかを検討することに
しましょう。
以下は理想論を含めての提言になります。
◇第一次検査に従事する者は、側彎症学会が主催する講習会にて研修を受ける事
とする...(そのような講習会制度を構築することが必要と考えます)
◇検査者は女性であること
◇女性の内科医師または養護教諭または理学療法士または看護師等による第一次
検査
◇モアレ検査担当者も女性が望ましい
◇検査実施時期 小学校4年生、5年生、6年生、中学1年生、2年生、3年生。
◇検査方法 基本はモアレ検査または広島方式。その設備がない場合は視認検査
◇年に1回を基本とするが、小学5年生、6年生、中学1年生は、モアレ検査後の
6ヶ月後に視認検査を実施する。モアレ設備がない場合は、視認検査の6ヶ月後
にあらためて視認検査を実施する。つまり、発生確率の高い年齢時には年2回の
検査を実施することになります。
◇第一次検査“スクリーニング”により、要二次検査となった場合は、
専門医(整形外科)にてレントゲン検査を行う。
◇レントゲン検査で側彎症と診断された患者は、各都道府県の側彎症専門医の
いる病院にて治療を受ける体制を構築する。
◇各学校の養護教諭は、一次検査(スクリーニング)→二次検査→三次検査の数値
を集計し、各地の教育委員会に報告。また患者が専門医のいる病院で治療を開
始していることを確認する。
◇教育委員会は、都道府県内の統計値を側彎症学会および厚生労働省担当部署に
報告する。(統計データベースを作成するために、報告フォーマットは全国共通
のものを作成しておく必要があります)
◇このシステム運営の前提として、ネット等における民間業者の過大広告等を
規制する。
////////////////////////////////////////////////////////////////////////
ブログ内の関連記事
「養護教諭の脊柱側弯症の子どもへの支援に関する研究」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/c860e0c2e0222cfd6cdbbe98b38d7e19
「北区滝野川第六小学校保健だより」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/482b8c8f62dfb750ebb3f9a2daa104af
「藤沢市における脊柱側わん症検診への取り組み」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/02b5e2c83d38a5829c110cab5ac96125
「側彎症スクリーニング 米国の現状」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/af282e8e994ed874a4c2bd02fbd762c0
「学童脊柱側弯症検診(通称:学童姿勢検診)広島方式」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/9cf11758b907a133dff584880a1255c4
「特発性側弯症 早期発見の取り組み (広島)」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/94d5d8acb270971a15de2eea6ce13ce1
「側弯症に対する理学療法士の皆さんの取り組み No.2」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/b54f051808c07f7cca2220f4875554e9
「側弯症に対する理学療法士の皆さんの取り組み」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/e531ea2d0c7732d191cacdcfaa32e147
総括的な意見を書かせていただきます。
Q1.児童生徒に対する脊柱検診は必要か不要か?
A1.現在の日本の、法律によって定められた学校検診制度自体は肯定されるべきもの
と考えます。個人(個々の家庭)の負担がなく、定期的にこどもたちの健康状態の
検査を国の施策として実施することは、広く公共の福祉に合致し、憲法の精神にも
則るものと考えます。課題は、いかにこの制度を医学的にも効果のある実施形態に
改善するか。そこにあると思います。
Q2.医学的効果とは何を言うのか?
A2.ここでは、あくまでも脊柱検診における思春期特発性側わん症の早期発見という
ことだけに絞って話を進めます。
特発性そくわん症は、20度台で見つかるか、30度台で見つかるか、はたまた40度
台で見つかるかではまったく様相がことなってきます。目標は20度前後で発見
できること。それが側彎症治療における早期発見の目標点になると思います。
Q3.どうすれば、それが可能になるか? 現状では内科医による脊柱側弯症の発見は
技術的に無理があると言われている。誰が検査者になるのか?
A3.その前に、法律としてひとつとても重要なことを定めてもらう必要があると
考えます。それは、「免責条項」ということです。
学校検診とは“スクリーニング”であって、そこには検査の完全性はありえない
という科学的事実から論議を進める必要があるでしょう。
スクリーニングとは、疑わしいものはできるだけピックアップしておきましょう
というシステムであると同時に、擬陰性(真実は側彎症だが、スクリーニングで
陽性と判断できずに、スルーしてしまう例)の発生もゼロにすることは不可能です
また擬陽性(真実は側弯症ではないのだが、脊柱側弯症の疑いある、または誤って
脊柱側弯症として陽性の判定をだす例)は、さらに大きなパーセントとして判定
することになるでしょう。
擬陽性は、二次検査、三次検査によって病気ではないことが判明するので問題と
はならないのですが、擬陰性は、スクリーニングをスルーしてしまう為に、次に
異常に気づいたときは、すでにカーブが相当進行していた。という問題が発生
することになります。
そして問題は、このミステイク(見逃し)を担当者(学校医、養護教諭等)に直接の
責任を求めることがあってはいけない。ということです。
このようなミステイク(見逃し)を防止するための対策は必要ですが、ミステイク
を個人(担当者)の責任に帰することもできないし、すべきできない。ということ
です。またこれは個人のみならず、実施責任者側(学校、自治体等)に対しても
責任を求める筋のものではない、ということです。
例えばモアレ検査にしても、100%の精度で側彎症を抽出できるものではありません。
カーブが小さければ小さいほど見逃し例は当然発生します。
いかなるものにおいても、100%、完全、などというものはありえません。
その事実に立脚し、またスクリーニングという検査の性格を考えたとき、そこに
損害賠償というような法的関与が発生することを許容しうるブラックボックスが
あってはいけないと考えます。それを許容してしまっては、検査の担い手が誰も
いなくなってしまいます。
ゆえにブラックボックスをなくすもの、それが「免責」という考え方です。
免責とは、ミステイクがあってもその責任を問うてはいけない。という考え方
です。
Q4.それでは検査の精度が下がるのではないか?
A4.免責を与えることと、精度が下がることとは同一で論じられるものではありません。
免責は「責任の所在」であり、精度は「技術」の課題です。技術は向上させうる
ものです。
Q5.どういう方法で精度をあげるのか、技術をあげるのか?
A5.その前に、どういうステップで脊柱検査をするのが良いかを検討することに
しましょう。
以下は理想論を含めての提言になります。
◇第一次検査に従事する者は、側彎症学会が主催する講習会にて研修を受ける事
とする...(そのような講習会制度を構築することが必要と考えます)
◇検査者は女性であること
◇女性の内科医師または養護教諭または理学療法士または看護師等による第一次
検査
◇モアレ検査担当者も女性が望ましい
◇検査実施時期 小学校4年生、5年生、6年生、中学1年生、2年生、3年生。
◇検査方法 基本はモアレ検査または広島方式。その設備がない場合は視認検査
◇年に1回を基本とするが、小学5年生、6年生、中学1年生は、モアレ検査後の
6ヶ月後に視認検査を実施する。モアレ設備がない場合は、視認検査の6ヶ月後
にあらためて視認検査を実施する。つまり、発生確率の高い年齢時には年2回の
検査を実施することになります。
◇第一次検査“スクリーニング”により、要二次検査となった場合は、
専門医(整形外科)にてレントゲン検査を行う。
◇レントゲン検査で側彎症と診断された患者は、各都道府県の側彎症専門医の
いる病院にて治療を受ける体制を構築する。
◇各学校の養護教諭は、一次検査(スクリーニング)→二次検査→三次検査の数値
を集計し、各地の教育委員会に報告。また患者が専門医のいる病院で治療を開
始していることを確認する。
◇教育委員会は、都道府県内の統計値を側彎症学会および厚生労働省担当部署に
報告する。(統計データベースを作成するために、報告フォーマットは全国共通
のものを作成しておく必要があります)
◇このシステム運営の前提として、ネット等における民間業者の過大広告等を
規制する。
////////////////////////////////////////////////////////////////////////
ブログ内の関連記事
「養護教諭の脊柱側弯症の子どもへの支援に関する研究」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/c860e0c2e0222cfd6cdbbe98b38d7e19
「北区滝野川第六小学校保健だより」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/482b8c8f62dfb750ebb3f9a2daa104af
「藤沢市における脊柱側わん症検診への取り組み」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/02b5e2c83d38a5829c110cab5ac96125
「側彎症スクリーニング 米国の現状」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/af282e8e994ed874a4c2bd02fbd762c0
「学童脊柱側弯症検診(通称:学童姿勢検診)広島方式」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/9cf11758b907a133dff584880a1255c4
「特発性側弯症 早期発見の取り組み (広島)」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/94d5d8acb270971a15de2eea6ce13ce1
「側弯症に対する理学療法士の皆さんの取り組み No.2」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/b54f051808c07f7cca2220f4875554e9
「側弯症に対する理学療法士の皆さんの取り組み」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/e531ea2d0c7732d191cacdcfaa32e147