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カテゴリーを追加しました - 約半分の患者は進行しないタイプの側弯- ということについて

2018-03-21 00:20:41 | 約半分の患者は進行しない側弯

 特発性側弯症はいまだに原因不明の、ある意味不可解な面の多い病気です。

 そのひとつが「進行する側弯」と「進行しない側弯」がある、という点です。

 なぜ進行するのか、なぜ進行しないのか、

 その理由を探るために

 世界中の大勢の医師、多くの病院が

 研究、調査、臨床試験を続けています

 残念ながら、いまだにそれは不明ですが、

 「進行する側弯」と「進行しない側弯」があることは医学的事実です。

 
 ブログ内にも、あちこちの記事のなかで、多くの医学文献を引用しながら
 その事について記載してきていますが、

 この大切な事実を

 皆さんに より理解していただけるように

 左欄カテゴリーに「約半分の患者は進行しない側弯」を設けました


 “進行しない側弯” あるいは “進行する側弯” も、

 その内容は、さらに細分化した説明が必要になりますので、

 どうか皆さんも、じっくりと時間をかけて勉強していただければと願います


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ここでは、ちょっと古いデータですが、1982年のスウェーデンの報告をご紹介します。



◇1982年スウェーデン

 Wilner S.「A prospective prevalence study of scoliosis in Southern Sweden」
       南スウェーデンにおける脊柱側弯症の有病率調査

要約しますと、

・1961年から1965年にスウェーデン・Malmo地区に生まれた 17,181人 全員に対して
 7才から16才まで 毎年一度(1971年から1980年までの9年間)脊柱側弯の
 スクリーニング調査を実施した。
・スクリーニングは、前屈テストとレントゲン撮影により側弯症の程度を確認
・その結果 17,181人中 5度以上のカーブがあったこどもは 474人 (2.8%)
・10度以上、を側弯の定義とした場合、女子では3.2%に側弯症が認められた
・そのうち、96人(1.1%)が 19度以上であった。

この調査期間中に、96人のうち 46人でカーブが進行し、42人は装具療法に移行し
 また4人は手術を施行した。



(comment by august03)
☞ スウェーデンは、おそらく世界で唯一、国がすべての国民のすべての病気をデータ化
  している国であることをご存知でしょうか
  (National Patient Register国立患者登録制度)

 この1982年の調査研究も、この国ゆえに実施できた貴重なデータと言えます。

 重要ポイントとしては、

 ・国家が実施した公共性の高い.....作為やごまかしの入る余地のないデータである
 ・分母が 17000人以上という非常に大規模な人数である (ビッグデータ)
 ・この17000人以上のこどもたちを 思春期特発性側弯の発症しうる
  7才から 骨成熟が完了するであろう 16才までの 9年間経過観察をした
 ・他の多くの医学データとの共通性(発症率3%前後)があることから
  この地域だけの特性ではなく、汎用性の高いデータと言える
 ・96人のうち手術を要する45度以上に進行したのが 4人(4.2%) という数値も
  他の医学データとの類似性を示している

入手できたこの文献はアブストラクトだけで本文が得られなかった為、リッサーサインの状態
や、初診時コブ角からの推移などの詳細データは(私からは)見えないのですが、
しかし、17000人全員を9年間経過観察した。という背景を考えれば、当然、初潮前から
リツサーサインが3,4,5と骨成熟に向かっていく時期をとらえていたことは疑う余地が
ありません。


 そして、ここで皆さんに見ていただきたいことは、

 20度前後の96人の側弯症患者のうち、9年間で、装具にも、手術にも進行しなかった

 こどもが 50人(52%)いた、というこの数値についてです。




 もう一点が、17181人 9年間 の 経過観察をしていく中で、
 臨床上重要なポイントをコブ角19度以上 に設定した。ということについてです。

 これは、別の見方をすると、コブ角18度以下.....簡易的に言えば 15度前後は
 自然緩解していくことを示しているとも言えます。




 特発性側弯症は本当に様々な矛盾や理解不能な面があります

 でも、「進行する側弯」そして「進行しない側弯」という側面をもっていること

 このことを踏まえた上で、お子さんの治療方針を

 専門の先生と話し合われて欲しいと 切に願うものです

 
 そして、リスク管理の観点からは「側弯カーブが進行した場合」に備える。

 というのが、この病気と向き合う時に大切な考え方になると思います

 「進行した場合に備える」とは、つまり「手術を前提」として

 専門医のいる病院を探す、ということです。


 「手術を前提にする」ということは、

 「手術の技術の上手な」という意味になります

 
 手術の技術は、手術実施数と密接に、必然的に関係してきます

 
 手術数が多い
 = 側弯症専門医師がいる
 = 多くの患者の治療経験がある
 = 装具の使用数も多い
 = 特発性側弯症に関する正しい医学知識、情報の説明を聞くことが期待できる


 「思春期特発性側弯症の病院選択のひとつとして :
  手術は技術と経験 どこの病院に行くかを考えて、治療計画を立てて下さい


 この記事のなかに、全国での側弯症手術実績があります。

 august03






august03




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