巨大な猿が姿を現した。気づいた時には、ガッチリ両手を捕まれて身動きが出来ない。毒蛇まで、いつのまにか身体に絡みついている。
こんなのズルいよ。おじいちゃん、お兄ちゃん、助けて!
眠眠の後ろから声が聞こえた。「大分、苦戦しておるの」
「おじいちゃん、遅すぎ!」
「勝手に相手の誘いに乗り闇の中に飛び込んでおいて、ご挨拶じゃな」
「そんなことより早く助けて!」
「よいじゃろう。究極の象形拳、我が黒龍拳を見るがよい」
その名を聞いた瞬間、なぜか眠眠は寒気を覚えた。
青龍は、両手を上方に向けて気合いをかけた。
一瞬にして、彼は巨大な海龍となった。
幻視中では、見事なたてがみ、背びれ、鱗を持つ龍になっていた。
落ち着きを称えたブラウンの瞳とは裏腹に数本の角と爪はするどくとがり、掌中には龍の王族が持つ御霊があった。
これこそ『凶風』と呼ばれ畏れられた彼の父黒龍の姿であった。深層世界の闇をゆうゆうと移動すると、次々と猿を、毒蛇をするどい爪で切り裂いた。
慣れない龍の口を使って、青龍が言葉を話した。
「出てくるがよい、サマンザ。もはやお前に勝機はない」
腕組みをしていたサマンザの七色の髪が、四方八方に逆立った。
「年寄りと甘く見ていたら、お主も夢魔の血筋を引くものであったか? それならそれで闘い方がある」
元々黒目がちな瞳が広がり、サマンザの目が真っ黒になった。
七色の髪が青竜刀を持ち、前足が車輪になった馬に乗った7人の美女に生まれ変わり、黒龍と化した青龍を取り囲んだ。
「サマンザとその配下のメリーゴーランドの舞を見せてやろう!」
赤い美女は、馬の上でクルクル回りながら黒龍を切りつけた。
青い美女は、馬の受けからブーメランのように刀を投げつけて来た。
黄色い美女は、馬を近づけて袈裟懸けに刀を使って攻撃してきた。
紫の美女は、馬を近づけて二刀流の刀を使って切りつけた。
橙の美女の刀は、馬が飛び上がる度に火を噴いた。
緑の美女の刀は、馬が飛び上がる度に冷気を発した。
藍色の美女の刀は、馬が取り上がる度に電撃を発した。
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