バリ、バリ、バリ・・・・・・
ファイナル・フロンティアに勝るとも劣らない音を立てて、竜巻がヒビキムを巻き込んでいく。だが、彼女が別世界に飛ばされることはなかった。
眠眠が秘剣夢魔スレイヤーを振るってできた竜巻は、ドリームカリバーに向かっていったからだ。
アアッ、シュリリス様、もうしわけございません。そんなつぶやきが眠眠の耳に届くこともなかった。引き裂かれたヒビキムの身体はドリームカリバーに吸い込まれ、魔剣が勝利の雄叫びを上げた。
竜巻が去った精神世界には、茫然としたドルガの姿があった。
「お嬢ちゃん、正気に戻ったのかな?」
「ここはどこ? 私は誰?」ヒビキムの消滅によって偽りの記憶も消滅したが、本来の記憶はまだ回復していないようだった。
「まるで不思議の国のアリスじゃ。だが、ここは誰、私はどこと言い出さないうちは、まだ大丈夫。お主は、いままで夢魔に操られていたのじゃ」
「夢魔・・・操られていた・・・」
「儂等にはまだやることがある。一緒に付いてくるかの?」
眠り込んだままのチャックは、しかたなく置き去りにすることにした。
夢の中の「暴走しない核融合炉研究所」に三人は入り込んだ。
パイレーツ風の衣装をまとって両手に剣を持った碧眼の「天罰を与えるもの」オーシャムが、すぐ気がつく。緑色の髪を逆立てると、つぶやいた。
まあ、サマンザに、ヒビキムまで、やられちゃった!
年寄りに小娘と油断したかな。ここで何とかしなくちゃ。でも大丈夫、私から天罰を受けない人間なんていやしない。
とりあえずビルは研究させておけばいいか。
でも・・・・・・ン、ン、ン〜、何てこと!
悪魔姫がなんでビルの夢の中に入って来てるの?
まあ、しかたがない。特別メニューでお相手するか。
オーシャムは、両手の剣をカチャカチャ鳴らすと、呪文を唱え始めた。
二匹の龍と悪魔姫がハリネズミの夢に入る時
夢魔の碧い隻眼が天罰の世界への扉を開く
それらは喜びと悲しみと闘いの世界への扉
子宮の中で、己の原点と出会い天国に行き
地獄で極楽を知り、永遠の闘いの快楽に身を投じるがよい
そして、苦しみにあふれたうつし世へ戻ることが忘れるがよい
さめない夢ことまこと
永久に続くまことのうつし世
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