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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第8章−6 眠眠対夢魔オーシャム

2018-11-23 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 バリ、バリ、バリ・・・・・・
 ファイナル・フロンティアに勝るとも劣らない音を立てて、竜巻がヒビキムを巻き込んでいく。だが、彼女が別世界に飛ばされることはなかった。
 眠眠が秘剣夢魔スレイヤーを振るってできた竜巻は、ドリームカリバーに向かっていったからだ。
 アアッ、シュリリス様、もうしわけございません。そんなつぶやきが眠眠の耳に届くこともなかった。引き裂かれたヒビキムの身体はドリームカリバーに吸い込まれ、魔剣が勝利の雄叫びを上げた。
 竜巻が去った精神世界には、茫然としたドルガの姿があった。

     

「お嬢ちゃん、正気に戻ったのかな?」
「ここはどこ? 私は誰?」ヒビキムの消滅によって偽りの記憶も消滅したが、本来の記憶はまだ回復していないようだった。
「まるで不思議の国のアリスじゃ。だが、ここは誰、私はどこと言い出さないうちは、まだ大丈夫。お主は、いままで夢魔に操られていたのじゃ」
「夢魔・・・操られていた・・・」
「儂等にはまだやることがある。一緒に付いてくるかの?」
 眠り込んだままのチャックは、しかたなく置き去りにすることにした。

 夢の中の「暴走しない核融合炉研究所」に三人は入り込んだ。
 パイレーツ風の衣装をまとって両手に剣を持った碧眼の「天罰を与えるもの」オーシャムが、すぐ気がつく。緑色の髪を逆立てると、つぶやいた。
 まあ、サマンザに、ヒビキムまで、やられちゃった! 
 年寄りに小娘と油断したかな。ここで何とかしなくちゃ。でも大丈夫、私から天罰を受けない人間なんていやしない。
 とりあえずビルは研究させておけばいいか。
 でも・・・・・・ン、ン、ン〜、何てこと! 
 悪魔姫がなんでビルの夢の中に入って来てるの?
 まあ、しかたがない。特別メニューでお相手するか。
オーシャムは、両手の剣をカチャカチャ鳴らすと、呪文を唱え始めた。

     二匹の龍と悪魔姫がハリネズミの夢に入る時
     夢魔の碧い隻眼が天罰の世界への扉を開く
 それらは喜びと悲しみと闘いの世界への扉
     子宮の中で、己の原点と出会い天国に行き
     地獄で極楽を知り、永遠の闘いの快楽に身を投じるがよい
     そして、苦しみにあふれたうつし世へ戻ることが忘れるがよい
     さめない夢ことまこと
     永久に続くまことのうつし世
 

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