「革命的な人々は、すべての政治的行動はユートピア的な目標を達成する意図の下に変革されるべきだと信じている。彼らは、世界は不完全な社会的正義によって腐敗していると考えて抽象的な価値観を好むわ。永続性を保つための議論は、それ自体が不合理的であり自己の利益のために産み出されている。他人の意見に耳を傾けることは腐敗を招くだけで、党メンバーでない者には粛正が必要と考えている。歴史的には、無政府主義者がこうした革命的な人々の例ね」
「リベラル派が、そこまで行くことがあるのですね。でも自らを律するために政府がじゃまなら政府を排除するべきだという主義は、まるで小さい政府を信奉する保守派のように聞こえます」
「極端なリベラル派がリベラル派の範囲を突き抜けてしまうと、まるで保守派になってしまうのよ。『逆もまた真なり』で、極端な保守派が保守派の範囲を突き抜けてしまうと、まるでリベラル派になってしまうの」
「いったい、どういうことですか」
「反動主義者は、すべての政治的行動が文書や慣習における価値観の具現化を目指す永続的なものであるべきと信じているわ。彼らは、有史以前に完璧だった世界が、自己的な利益、あるいは法律に対する畏敬の念の欠如やおろかさによって腐敗してしまったという『エデンの園』的な考えから信念を得ているの。変化のための議論は、それ自体が不合理的で世間知らずで、無垢か冷笑的な人々によって産み出されていると見なされる。他人の言葉に耳を貸すことは曲解を生むのに過ぎず、特権を悪用する人々には投獄が必要とさえ考えている。中絶反対の立場から堕胎クリニックに爆弾を投げ込む行為さえも辞さない宗教極右が、こうした例にあたる。ナオミ、・・・・・・」
「どうしたんですか?」
「話も、そろそろ終わりよ。最近のあなたの急速な成長に一番、不安を感じているのは私なの。いいこと、あなたは何か使命を持っている。そのためには、つねに広い視野でしっかり物事を聞き、しっかり見ることが必要だわ。でも、時間がない。今日は、あなたに知られている、数少ないアポロノミカンの予言を伝えるわ」
「アポロノミカンの予言・・・・・・」
「予言が詩の形式から成っていることは知っているわね。
清らかなる魂と
邪なる魂が出会う
百年に一度のブリザードの吹き荒れるクリスマスの夜
四人の魔女と神官の闘いが幕を開ける時
血しぶきの海に獅子が立ち上がり
マーメイドの命を救う・・・・・・
例によって何を言っているのかは、よくわからない。
だけど、長期予報によれば今年は百年に一度のブリザードが吹き荒れるそうよ。
どうか注意して・・・・・こんなことしか言えないけど、またあなたがトラブルに巻きこまれる予感がしているの」
ナオミは、新たなトラブルが自分を待っていることを感じた。
しかし、同時にわき上がってくる闘志を押さえることができなかった。
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