なぜ、攻撃してこないのかしら?
ナオミは思った。もしかして女だと思ってバカにしてる?
その時、トーミの声が聞こえてきた。
ナオミ、違うぞえ。この龍、どうしてよいか迷っておる。心を読んでごらん。神界から来たもの同士、今のお前さんならできるはずだよ。
おばあ様・・・・・・
ナオミのマーメイドの能力が、瞬間的に解放されて龍の心の中が見えた。
真っ赤に目を充血させた龍が暴れていた。だが、暴れながらも龍は自分自身に戒めを課すかのように身をよじっていた。
ライフ・エナジーを打ち込むんじゃ。再び、トーミの声が聞こえてきた。
わかったわ。
ナオミは弓を引き絞るポーズを取ると、龍をつかまえて離さない憤怒をはじき飛ばすための生体のエナジーをため込んだ。次に、身体を一回転半させて得意の後ろ回し蹴りでミドルキックを打ち込む。
その刹那、孔明に不思議な表情が浮かんで信じられないようなスキができた。
いける!
蹴りを放った。
マーメイドの蹴りが決まると孔明の身体が数メートルも先のコンクリートの壁に打ち付けられた。
ナオミが近寄ると、すでに彼の顔色は平常に戻っていた。
「スキありね」
そう言われても、なぜか孔明はうれしそうだった。
「見えたよ。君の回し蹴りが、マーメイドのスプラッシュに・・・・・・」
ナオミが黙ってはだけた胴衣を引っ張って孔明をひきおこすと背中から胸にかけての真紅の龍のタトゥーが見えた。
「おしろい彫りでね。ふだんは見えない」
「ということは?」
「今日は熱くなったということさ」
気がつくと連中が拍手をしてくれていた。
「すごいじゃないか」チャックが言う。
「今度はオレと勝負してくれよ」クリストフが、両手を広げながら言う。
「初めて見た。孔明がダウンするところ」ビルは本当におどろいたようだった。
ナオミは、LUCGの練習に参加するようになった。孔明の名誉のためつけ加えておくと、それ以降ナオミが彼から一本を取ることは一度もなかった。
ナオミとケイティの話を聞いて興味を持ったLUCGのメンバーも、逆にディベート部の活動に参加するようになった。秀才揃いだった彼らは、瞬く間に貴重な戦力になった。
こうしてナオミは、新しい仲間たちを得た。同時に、マクミラの準備するトラブルに巻きこまれる時も着実に近づいていた。
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