レイモンドが猿の敏捷さで巨木の陰から飛び出すと、両肩に備え付けられたレーザーガンから白光を発射する。
ドルガの羽に黒く小さな穴がうがたれて煙を上げるが、蚊にかまれたほどの痛みも感じない。面倒くさそうに腕を振ると、小さな竜巻がレイモンドを襲う。ドルガの瞳が輝くとレーザーガンが竜巻にあっさり爆破されて、身体が次々と異次元空間に持って行かれる。
サムソンが筋肉のかたまりの身体から雄叫びを上げると、胸のフルオート・マシンガンがメギリヌに放縦を開始する。
銃弾が当たっても、メギリヌは表情一つ変えない。いつの間にか、手中に数百発の銃弾が握られている。彼女が息を吹きかけると銃弾が凍りつく。
次の瞬間、投げつけられた銃弾を受けたサムソンが凍りつき崩れ落ちる。サムソンはゾンビ能力を発揮することもなく粉々に砕け散った。
ゴーレムは、最も悲惨な運命をたどった。
「皆、ちょっと目をつぶっておいて」ライムが言った瞬間、蛇姫メデゥーサに変化して一睨みされると、攻撃もできずに石に変えられてしまった。
リギスが唄い出す。
ラララ、それはまるで一片の冗句のように
現れて消えていったはかない夢
竜巻に消えたレイモンドの魂はどこへ行ったの
氷の弾丸に命を落としたサムソンの魂は
凍えて砕けちる運命だったのか
ゴーレムの魂は何が起こったかさえ知らず
ただ話すこともできずたたずむのみ
だけど一番愚かなのはマッドとかいう奴
美しくもなく、強くもなく、悲しくさえない
ただこっけいなだけの戦士を作ることに血道を上げる
ラララ、それはまるで一片の冗句のように
目の前に現れては消えていったはかない企て
だから一番みじめなのはマッドとかいう男
楽しくもなく、賢くもなく、考える価値さえない
自慢の兵士たちが玉砕して、マッドは、なんたることじゃとつぶやいている。死角にいたために、ライムの凶眼を見ずにすんだ幸運には気づいていない。
ドルガが言う。「それはこっちのセリフ。これではマクミラと闘いをかまえる前の腕ならしどころか、準備運動にもなりはしない」
メギリヌが応じる。「さっさとこんなところは、おさらばしよう。マッドとやら、アポロノミカンをおとなしく差し出すなら命だけは助けてやろう」
セリフを聞いたマッドが、苦しみだす。
「マクミラ! アポロノミカン? ウッ、頭が痛い・・・・・・」
マッドの顔がゆがんだ瞬間、ニヤリと笑うとぴょんと逆立ちをした。
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