アストロラーベは、3つ首ドラゴンを操った。サラマンダーの血を引く弟妹たちに、炎を使った攻撃をしても何も心配はいらない。
だが、今やトリックスターとなったさかさまジョージと対峙するには・・・・・・念には念を入れておかねば。
蛇こそ神導書アポロノミカンを作った「癒やすもの」アスクレピオスの使い魔だった。死者を蘇らせる秘術を行使するために、彼はいつも蛇が巻き付いた杖を持ち歩いていた。それは、冥主プル—トゥが持つ輪廻の蛇二匹がからみつく杖を模したものであった。
蛇は呑み込み、脱皮をするが、それは生命再生の象徴であった。
アポロノミカンを精神世界で見せられて、魔神スネールと合体したさかさまジョージには、何かしらアスクレピオスの力が宿っていると考えた方がよい。
油断は大敵と気を引き締めると、アストロラーベは呪文を唱え始めた。
地上の精霊たちよ
我が呼びかけに答え
とらわれの身のスカルラーベとマクミラを救う手助けをするがよい
さすれば必ずや冥主のご加護を賜るであろう
獲物を求める青き炎の3つ首ドラゴンよ
我が呼びかけに答え
燃える2つの首を輪廻の大蛇の首に絡みつかせるがよい
バレンタイン・ナイトの冷気が獲物の血潮の熱を奪う刻
残った首は輪廻の蛇の輪廻を断ち切るがよい
ウロボロスは新たな輪廻の蛇となるがよい
そしてコールド・デー・イン・ヘルが訪れる
3つ首ドラゴンは、叫び声を上げるとさかさまジョージに向かっていった。ドラゴンの3つの首が大蛇となったトリックスターの首に絡みついた。
「ケケケッケッケ、い〜ね。青い炎。マクミラ姉ちゃんの出せる炎は、たしか摂氏三千度だった? 色男兄貴は、髑髏兄貴の九千度には負けるけど、六千度の炎を出せるんだっけ。だけど、いつまでもこのままじゃ、ボクの身体も燃え尽きちゃう。ちょっと本気出させてもらおうか」
いうが早いか、さかさまジョージは脱皮した。古い皮をスルリと抜け出した大蛇は、青い炎の3つ首ドラゴンをアングリと大口を開けて呑み込んでしまう。
バカな、六千度の炎を呑み込んでしまえば内部から燃え尽きてしまうぞと、アストロラーベが思った瞬間。ふくらんださかさまジョージの腹がへこんで、3つ首ドラゴンが消化されてしまった。
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