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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第12章—6 ゲームプラン

2019-05-03 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「わかるだろ、それくらい。人に言われなくても。フッ、やっぱりおまえ天然か」恋愛には引けを取らないほど天然だが、自分でそのことに気づいていないマクミラが言った。
「わたしが天然なのは自覚しているけど・・・・・・」
「まあ、いいわ。4つのテーマパークで——お兄様はワンダーランドと言っていたけど——闘えば、答えはすぐわかるはずよ。もう一つの質問の方は何?」
「『あなたとわたしに後で秘技を施す』を犯すという意味が気になってしかたがないの。話せる範囲でいいから教えてくれない」
「お兄様がゲームプランを隠すのはいつものことだけど、今回もわたしにも正直、お手上げ。くわしいことは分からない」
「日本では、そんな時、『猫の手も借りたい』と言うそうよ。昔、夏海に教えてもらったわ」
「猫の手か。それでは、マーメイドの尻尾でも借りてみるか・・・・・・ひとつだけ分かっているのは、あなたも聞いていたと思うけど、今回はヤヌスの鏡をお兄様が使うということ」
「ヤヌスの鏡、その記憶はまったくないわ」
「神々の世界に、『3枚の知られたる鏡あり』。精神体がそのままの姿を取る神々の世界では、鏡はうわべを取り繕う化粧のためではなく秘術を行うための神聖な道具。3枚の内、1枚目が浄玻璃(じょうはり)の鏡。冥主プルートゥが管理し、亡者の生前のすべての行いを映し出す鏡で過去の記録が蓄積されている。2枚目が月日貝の鏡。海主ネプチュヌスが管理し、月食の日にのみ未来を映し出す鏡だが、使うものの命を半分に縮める。今回使おうとしているのは、3枚目の鏡。天主ユピテルが管理し、オリンポス神殿に仕舞われているヤヌスの鏡。前後を見通す二つの顔を持つ守護神ヤヌスの名にちなみ、彼の守る門の扉は平時には閉ざされ、戦時のみ開かれる慣習。だが同時に、鏡は天界と魔界をつなぎコミュニケーションを取ることができる通信装置なの。だが、それを使うのはとてつもなく危険な行い」
「その訳は?」
「くわしくは言えないけれど、ヤヌスの鏡を使っている間、神界と魔界の禁断の扉が開きっぱなしになって、途中に零次元限亜空間ができるのよ」
「零次元亜空間?」
「零次元亜空間の前に、順を追って説明しておくわ。1次元は点対点の世界。点は線上にしか移動できないから、線路上を移動する電車の世界を想像してもらえばいい。2次元は点が平面上に移動する世界。この場合、点は縦横にしか移動できないから、騎馬武者同士の闘いを想像してもらえばいい。3次元は点が縦横上下に移動する世界。人間が飛行機を使って移動するのは3次元的だわ。4次元は3次元に時間軸が加わった世界。ただし、タイムマシンがなければ時間軸間の移動はできない。ここまではわかる?」

     

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