国民の財産である国有地が、安倍昭恵氏が名誉校長を務める予定の私立小学校の用地として、9割引きで払い下げられていた――それだけでも十分あるまじきスキャンダルだが、この一連の用地払い下げのトンデモぶりは、それだけにとどまらなかった。
2月15日、共産党の宮本岳志衆議院議員が、衆議院財務委員会にてこの問題を追及したところ、さらに呆れた事実がいくつも出てきた。
そもそも、森友学園は、学校設置申請の時期からしておかしいのだ。森友学園は、2014年10月31日に小学校新設の認可申請書を提出し、文科省は、翌1月、条件つきとはいえ、認可適当との判断を出している。しかし、このたびの豊中市の国有地売買が、近畿地方審議会で開催されたのは2015年2月10日である。つまり認可申請は、まだ学校用地も決まっていない段階で行われ、文科省もそれを受け付けているのである。
場所が決まらなければ、申請認可などできないし、認可が適当との判断が下されることはありえない。普通に考えれば文科省の判断が「異常」であることは明らかである。
2015年2月10日の近畿地方審議会による売買の審議は、森友学園が、本当に10年間の貸付で、10年以内に用地購入ができるのか危惧されていた。それが、翌2016年6月20日に、隣接国有地の約10分の1にあたる、わずか1億3400万円で売却が決定されるのである。しかも一括でなく10年払いで。
この大幅な値引きは一体どういうことかとの宮本議員の質問に対し、財務省・佐川宣寿理財局長は「更地の不動産鑑定価格、9億5600万円」から「新たな埋設物があって、その埋設物を撤去する費用を見積もって差し引いた額」と答弁した。つまり埋設物(汚染物質といわれる)の撤去費用等が8億1900万円ということになる。
この8億1900万円という撤去費用の算出の根拠も疑惑だらけだ。
この用地は以前から土壌汚染が確認されていた。売買が決まる前の2016年3月の段階で、除染費用として1億3176万円が森友学園に支払われているのである。にもかかわらず、6月の売買契約時に、撤去・除染費用として、さらに8億1900万円が値引きされている。
ということは、1億3176万円+8億1900万円で合計9億5076万円。売買代金が9億5600万円であるなら、森友学園は、ほぼタダ同然で、用地を取得していることになる。一体どういうことなのか。
以下、宮本議員の追及を見ていただくとわかるが、安倍昭恵総理夫人が名誉校長になるこの神道学校をめぐる不可解なやりとりは、財務省のみならず、文科省、国交省、大阪航空局、近畿財務局等々、各庁にも疑惑が及ぶ。「こんな不明瞭なことが許されていいはずがない」と質した宮本議員に、「適正な処分が行われていると考えている」と答弁した麻生太郎財務大臣の無責任ぶりも含め、本来であれば、政権をゆるがす大スキャンダルになってもおかしくない案件である。
以下、衆議院財務委員会における、質疑を全文掲載する。またIWJは国有地払い下げ問題に関する自由法曹団の、現地視察後の報告記者会見の取材も行っている。こちらもあわせて御覧頂きたい。
▲共産党・宮本岳志衆議院議員。日本共産党大阪府委員会副委員長も務める。
国有地の売却は近畿財務局の一存でやれるものではない。国有財産法は第7条で、財務大臣が国有財産の総括を行なうと明記
宮本岳志衆議院議員(以下、宮本議員)「日本共産党の宮本岳志です。今日はこの間、メディアでも報じられている近畿財務局による学校法人への国有地売却問題について質問をいたします。資料1を見ていただきたい。昨日付の朝日新聞でありますけれども、財務省近畿財務局から大阪府豊中市の国有地を買った学校法人森友学園が近隣国有地の約1割の価格で買い入れていたことが今、大問題になっております」
しかし、国有地の売却は、近畿財務局の一存でやれるものではありません。まず、財務大臣に確認いたしますけれども、国有財産法は第7条で、財務大臣が国有財産の総括を行うことを定めるとともに、財務局ごとに国有財産地方審議会を置くことを定めております。これはいったいどのような趣旨でございますか?」
麻生財務大臣(以下、麻生大臣)「あの、国有地方審議会、あ、国有財産地方審議、審議会は土地とか建物の個々の国有地というものの管理処分等々の事務の大部分が財務局において、地方財務局においてなされておりますので、その管理処分に対して、地域的な特殊性、特別性等々を考えながら、地元の意見っていうのを十分に反映させなければならんという観点から、いわゆる国有財産法に基づいて、各財務局に設置をされております。国有財産地方審議会は、各財務局長の諮問に応じて、国有財産の管理処分について、調査審議を行う他、意見を述べることができると。これが基本的な考え方であります」
宮本議員「一定面積以上の国有地の処分は、国有財産地方審議会にかけられます。当然この国有地、大阪府豊中市1501番の土地、8,770平米を小学校の敷地として処理する事案についても、平成27年、2015年2月10日に開催された第123回国有財産近畿地方審議会で審議をされております。今日はその時の議事録全文を資料としてお配りをいたしました」
「金がないので10年間の借地契約とその後の買い取り」を願い出ていた森友学園。10年間の貸し付けで、本当に10年以内に買えるようになるのか、と危惧されていた
▲「森友学園」豊中市に建設予定の「瑞穂の国記念小学院」ホームページ。教育理念のページを開くと「教育勅語」が出て来る。
配布資料の3ページ目からの資料3の2ページを見ていただきたいと思うんです。この件は、国有地の処分にあたっては、売り払いを原則としているにもかかわらず、この国有地については、学校法人森友学園に対して、10年間の事業用定期借地による時価貸し付けを行うとともに、10年以内の売買予約による時価売り払いを行おうとするものでありました。理財局、近畿財務局はその理由をどう説明しておりますか?
佐川宣寿理財局長(以下、佐川理財局長)「お答え申し上げます。未利用国有地の処分に当たりましては、売却を基本としておりまして、貸し付けを行うケースは限定されておりますが、公用、あるいは公共用等の用に供する場合で、貸し付け財産の買い受けが確実と見込まれ、賃貸借をすることがやむを得ないと認められる場合には売り払いを前提として貸し付けを行うことも可能となってございます。本件、この国有地につきましては、森友学園より小学校建設等に一時的に多額の資金を必要とするため、学校経営が安定するまでの間は貸し付けにより利用した旨の要望があったところでございます。従いまして、事業用の定期借地の最短期間が借地借家法上10年間と定められていることを踏まえまして、買い受けを前提とした貸し付け期間10年間とする定期借地契約を締結したものでございます」
宮本「金がないので内部留保が積み上がるまでは最大10年間、借地契約にしてほしい。目処は8年間と言っておりますけれども、必ず買い取りますからという話でありました。当然、委員からは、そんな話で経営は本当に大丈夫かと、こういう声が続出しております。議事録の6ページ、読売新聞の大阪本社編集局管理部長は、今後10年で私立の小学校の経営環境というのは、それほど改善しないと思われるが、いざ売却する段になって、地価が上がっていて、買い手がその価格では買えませんと言い出すリスクはないのか?と危惧を表明しております。7ページ、関西学院大学総合政策学部教授は、その上で10年経って、定借延長します。しかし、さらに経営が改善される見込みがなくて、募集停止になりました、というような最悪の際には、こういう土地は定借の期間をあるところで打ち切って、国に戻すというような流れになるのか、10年後には確実に戻ってくるとは言えない、とまで指摘をしております」
これに対して、近畿財務局の管財部次長は、入り口ではきちんと期日までに小学校が実際にできるかどうかというところでまず、もしできなければ、事業予定者とはいえ、その時点でできないのであれば、もう打ち切りますよと。土地を更地にして返してくださいよということを義務づけています、と答えております」
このきちんと期日までにできなければ打ち切る。土地を更地にして返すことを義務づけている、という期日は貸し付け合意書によると、何年何月何日のことでしたか?
佐川理財局長「お答え申し上げます。貸し付け契約におきましては、その指定期日につきましては、平成28(2016年)年3月31日でございます」
▲建設途中の学校法人「森友学園」、「瑞穂の国記念小学院」
近畿地方審議会での森友学園への国有地売却が検討される半年前に、小学校の設置申請が出され、文科省は「認可適当」と答申をしていた
宮本議員「審議会会長を務める中野健二郎京阪神ビルディング代表取締役社長でさえ、非常に異例な形だなという感じの印象を持っている。こう述べ、いわゆる学校法人として継続して成立していけるのか。私学審議会の中で検討してチェックしているということだから、言葉は悪いのだが、それを売却するほうは信用するしかない、と言い、最終的には付帯条件がついていて、認可適当というのは条件が満たされて、認可適当になるので、それが満たされるという前提の中で、この審議会としては良とまとめております。
いわば、私学審議会の認可適当の答申を信用して、了承するということでありました。森友学園の小学校新設については、配付資料の議事録3ページ、管財部次長が説明しているとおり、2014年10月31日に大阪府私学審に認可申請書が提出され、同年12月18日の審議会において、その認可について審議されましたが、継続審議となりました。継続審議とされた理由は、小学校建設計画の明細や生徒数確保の見込み等について、根拠資料の追加を求められたためであります。
その後、改めて、翌2015年1月27日に、臨時で審議会が開催され、認可適当の答申がなされましたけれども、答申には、小学校建設にかかる工事請負契約の締結状況、寄付金の受け入れ状況、詳細なカリキュラムおよび入学志願者の出願状況等、開校に向けた進捗状況を次回以降の私学審議会の定例会において報告すること、との付帯条件が付されております。これ、事実の確認だけですが、文部科学省、間違いないですね?」
村田善則高等教育局私学部長(以下、村田私学部長)「お答え申し上げます。事実関係は今先生からご指摘があったとおりでございます」
宮本議員「そういたしますと、ここに一つの疑問が生じるわけであります。
森友学園は、2014年10月31日に小学校新設の認可申請書を提出したとなっております。その学校用地である豊中の国有地の10年間の事業用定期借地による時価貸し付けおよび売買予約による時価売り払いが検討された、第123回国有財産近畿地方審議会は、翌2015年2月10日に開催をされております。認可申請書はこの豊中の国有地の扱いが、近畿地方審査会で議論され、決まる半年近く前に提出されたということになります。
文部科学省に聞きますけれども、土地の確保も学校の所在地も定まらないような学校の設置認可の申請などは、受け付けられるはずがないと思うんですけれども、なぜそんなものが受け付けられたのか?ましてや、第23回国有財産近畿地方審議会の前に、条件付きだとはいえ、認可適当などという判断がなぜできたのか、お答えいただけますか?
村田私学部長「お答え申し上げます。私立の小中学校、小学校につきましては、都道府県知事が認可権者でございまして、この場合につきましては、大阪府知事が大阪府の基準に基づいて、審査を行うということでございます。ご指摘の点につきまして、大阪府に確認をいたしましたところ、設置認可申請…失礼しました。設置認可適当との答申を出す際には、申請の段階で、現に土地の所有または借用が行われているか、相当程度の確実性をもって土地を所有、または借用できる見込みが求められるということで、そういった条件を確認されたうえで、こうした答申が出されたものと考えております」
▲「瑞穂の国記念小学院」ホームページより。名誉校長・安倍昭恵氏らのあいさつ
近畿財務局は国有地の件について、審議に諮る半年も前から、おおむね確実との内諾を森友学園に与えていた!? 財務省は否定!
宮本議員「といたしますと、半年前の時点、第123回国有財産近畿地方審議会の半年前の時点で、森友学園は、相当程度の確実性をもって、この土地は確保できると、こう述べて申請していたということになります。ということは、理財局に聞きますけれども、近畿財務局は本件土地の処分について、第123回国有財産近畿地方審議会に諮る半年も前から、まあだいたい確実だという内諾を森友学園に与えていたのではないですか?
佐川理財局長「お答え申し上げます。平成27年その1月27日大阪府の私立学校審議会において、森友学園に対しまして、付帯条件を付して、学校設置の認可適当との方針が出されたものと承知しておりますが、これ以前に財務省あるいは近畿財務局から大阪府の私学審の関係者に対しまして、予断を持って、森友学園の学校運営の状況等伝えた事実はございません」
宮本議員「この土地については、森友学園に貸せるだろうという見通しを伝えた事はないんですね?」
佐川理財局長「そのようなことはございません」
宮本議員「理財局は、内諾を完全に否定をいたしました。ということは、森友学園が大阪府私学審を偽ったということになります。文科省、何が認可相当ですか?このような偽りの申請を提出するような学校法人は、答申に付された付帯条件に基づいて、厳格に審査しなければならないと私は考えます。厳格に審査いたしますね?
村田私学部長「お答え申し上げます。ご指摘の点につきまして、大阪府に確認をいたしましたところ、土地の買い受け、ないしは借用を予定している相手方は国であり、森友学園が近畿財務局に対して、国有財産の取得要望の申請を行っている事実が確認されたこと等を踏まえて、こうした判断をしたものということでうかがっております」
宮本議員「あの、国が安定した存在であることはそうでしょうが、その国、理財局あるいは近畿地方財務局は、この第123回国有財産近畿地方審議会の前に、その土地が森友学園によって、活用できるという見通しを与えていないということでありますから、これはおかしいんじゃないですか?文科省。文科省」
村田私学部長「お答え申し上げます。先ほど申し上げました通り、基本的に、その相当程度確実性があるかどうかということでございまして、大阪府におきましては」
宮本議員「相当って(聞き取れず)…じゃないよ」
村田私学部長「あの、先ほど申し上げたような状況を勘案しながら判断をしたということでうかがっております。ただ、これは先ほども申し上げました通り、大阪府が大阪府の権限、責任において判断されることでございますので、私どもとしては、その判断について、代わってご説明できる立場にはないということは是非、ご理解を頂きたいと存じます」
宮本議員「あの、相当程度確実じゃないんですね。そういうことは、なんらなかったと理財局が否定しているわけですから、そこはしっかり大阪府にもお伝えいただきたいというふうに思います」
▲学校法人森友学園が運営する軍国幼稚園こと「塚本幼稚園」。幼児に教育勅語や五箇条の御誓文を朗読させることで有名
同規模隣接国有地の10分の1以下という、異常な売却額の理由とは……
宮本議員「さて、2015年2月10日、先ほど申し上げた第123回国有財産近畿地方審議会の時点で、10年間の貸し付けで、本当に10年以内に買えるようになるのか、と危惧された森友学園が、打って変わって1年後の6月20日、貸し付け1年目に、この土地を買い入れたのだから、それは不思議に思うのは当然であります」
しかもその額は、わずか1億3400万円であったと。資料2の経理年表の3行目を見ていただきたいんですが、ほぼ同規模の隣接した国有地を豊中市に公園用地として売却した際の14億2300万円の10分の1以下というきわめて異常な売却額でございました。理財局に聞きますけれども、国有地の処分は、当然適当な価格で、適正な価格で売却しなければならないはずでありますけれども、なぜこのような非常識に低い価格で売却したんですか?」
佐川理財局長「お答え申し上げます。まず最初のご指摘の豊中市の公園の話でございますが、これは22年3月に豊中市に対して公園用地として売却したものでございますが、この点につきましても、きちんと鑑定評価に基づきまして、時価で売却しているところでございます。
一方、森友学園に対する土地の売却でございますが、これも更地の不動産鑑定価格9億5600万円から、その時点で、借地契約中に見つかりました新たな埋設物がございまして、その埋設物を撤去する費用をきちんと見積もりまして、その撤去費用を差し引いた、まさに土地の時価でもって売却したものでございまして、そういう意味では、不動産鑑定価格に基づいた時価で売却しているという意味では、豊中についても、森友学園も同様でございます」
▲衆議院財務委員会での質疑の様子
埋設物の撤去費用見積もりは、当初の積算の10倍以上跳ね上がった8億1900万円。こんな不可解な積算はないと議員怒る!
宮本議員「いやいや、適切なら、こんな大問題にならないんです。資料1の朝日の記事を見ますと、撤去費用8億1900万円とした根拠については、財務省は明らかにしていないと報じています。しかし、理財局は私に対して、この算定は、国土交通省の大阪航空局が行ったものであることを明らかにいたしました。そして、国土交通省航空局は、私に、地下埋設物撤去処理処分費用の算定方法と題したペーパーを提出いたしました。今日は国土交通省航空局にも来ていただいておりますけれども、国土交通省が私に提出したペーパーによると、地価埋蔵物の撤去の対象面積は、どれだけですか?そして、撤去する深さは?基礎杭が打たれる箇所とそれ以外でそれぞれ何メートルになっておりますか?
平垣内久隆航空局次長(以下、平垣内次長) お答えさせていただきます。大阪航空局で近畿財務局からの依頼を受けまして、地価埋設物の撤去処分費用の見積もりを行いましたが、その際に対象面積は、約5,190平米でございます。もう一つご指摘の基礎杭の打たれる箇所の深さは、9.9mでございます。基礎杭以外のその他の箇所の深さは3.8mと設定しております」
宮本議員「基礎杭が打たれるところは9.9mだが、その他は3.8m、深さ3.8m埋蔵物を撤去するということでありました。大阪航空局はすでに、2009年度の調査で、この土地の地下に埋設物が存在すること、また2011年11月の調査では、土地の一部に、基準値を超える鉛やヒ素などの土壌汚染があることを認識しておりました。だから、大阪航空局はまだ土地の貸し付け契約段階だった昨年の3月30日に、学校法人森友学園と合意書を作成し、地下3mまでの埋設物の除去費用および土壌汚染除去費用として、昨年4月6日を支払い時期として、すでに総額1億3176万円を森友学園に支払っております。国交省に聞きますけれども、このうち、鉛ヒ素などの土壌汚染除去費用はいくらで、地下3mまでの埋蔵物の撤去費用はいくらでありましたか?
平垣内次長「お答えさせていただきます。大阪航空局が学校法人森友学園に対して支払ったコンクリートガラ等の埋設物および土壌汚染の除去費用の総額はご指摘の通り1億3176万円でございます。その内訳でございますけれども、埋設物対策分が約8632万円。土壌汚染対策分が約4543万円となっております」
宮本議員「昨年6月20日の売買契約以前に、すでに森友学園は国から1億3000円あまりを受け取っておりました。しかし、そうなるといっそう不可解なのが、売買契約時の8億1900万円というこの積算であります。地下3mまでの埋蔵物の撤去費用がわずか8600万円。なのに、基礎杭が打たれる場所以外は、あとわずか80センチ、3.8mですから。そこからわずか80センチ掘り下げるのに、8億1900万円かかるという見積もりになっております。こんな奇妙な積算はないと私は思いますが、なぜ10倍になるんですか?航空局」
平垣内航空局次長「お答えさせていただきます。ご指摘のコンクリートガラ等の埋設物および土壌汚染の除去費約1億3176万円と、地下埋設物撤去費用約8億1974万円につきましては、内容が異なるため一概には比較できないものと考えております。ただ、いずれにいたしましても、工事積算基準に基づき、適正な算定をおこなってございます」
宮本議員「何が適正ですか。3mの撤去に8600万円なのに、あとわずか80センチ、3.8mまでさらに掘り進めるのに、8億円もかかるわけがないですね。その証拠に資料1の朝日記事では、森友学園の籠池理事長はあけすけに、ゴミ撤去にかかった費用は1億円ぐらいと、語ってるじゃありませんか。理財局ね、埋蔵物の撤去費用8億1900万円と積算し、国民の財産をわずか1億3000万円あまりで売ってある。買った側は、1億円で片付いたと語っている。本来なら、8億5600万円で売却しなければならなかったはずを、7億円以上も安く売ったことになるんですけれども、これでも問題ないんですか?
▲工事中の「瑞穂の国記念小学院」。埋設物撤去などのために8億円以上が見積もられた。
森友学園は売買契約以前に国から撤去費用1億3000万円あまりを受け取っている。撤去費用8億1900万円の値引きを入れると、学園はタダ同然で用地を手に入れていることになる!?
佐川理財局長「お答え申し上げます。委員提出のご資料のこの朝日新聞の記事の見出し、ゴミ撤去1億円でございますが、この報道につきましては、森友学園側から、この報道機関の記者に対しまして、口頭で、事実誤認である旨を明確に伝えるとともに、記事の修正も依頼しているというふうに聞いてございます。いずれにしましても、撤去費用につきましては、国土交通省におきまして、工事積算基準に基づき適正に(聞き取れず)……されたものでございます」
宮本議員「まあ、1億円かどうか分かりませんよ。しかし、国民は誰もこの話は納得しないと。では、航空局に聞きますけれども、航空局が近畿財務局より森友学園から3m以上の深部にも、なお埋蔵物が存在する旨を告げられて、地下埋蔵物の撤去および処理費用を算定してくれと申し出があったのは昨年の何月何日か、そしてそれに対して、8億1900万円あまりの算定結果を通知したのは、昨年の何月何日でしたか?」
平垣内次長「お答え申し上げます。平成28年3月14日に、近畿財務局から大阪航空局に対しまして、小学校建設工事中に深部の土の中から廃材等の地下埋設物が発見された旨の連絡がございました。近畿財務局からのご依頼を受けまして、大阪航空局において、撤去処分費用の見積もりを行い、4月14日に近畿財務局に当該見積もりの結果を通知しております」
宮本議員「配付資料2の昨年2016年の経緯を見ていただきたい。3月11日に森友学園が近畿財務局に、想定以上の深さにも埋蔵物があることを報告すると、3日後には近畿財務局が大阪航空局にそれを伝え、撤去および処理費用の算定を依頼、3月24日には8年間ほどは買い取れなかったはずの森友学園が近畿財務局に土地を買い取りたいと申し出た。3月30日には土壌汚染除去等費用1億3000万円あまりを森友学園に支払う合意書が交わされ、4月6日には大阪航空局より支払われました。4月14日には大阪航空局より撤去費用8億1900万円という過大な見積もりが示され、それに基づく不動産鑑定が行われ、6月20日には1億3000万円あまりで土地が売却されたわけであります。
これは2016年昨年3月31日、つまり、第123回国有財産近畿地方審議会で、議論が噴出し、きちんと期日までにできなければ打ち切る。土地を更地にして返すことを義務づけていると表明した期日である昨年の3月末を前にして、森友学園が買い取れるように便宜を図ってやったのではありませんか?」
佐川理財局長「お答え申し上げます。まずその使用指定期間の3月30日につきましては、森友学園のほうから、その以前に申し込みがありまして、土砂、北部の川から土砂物が流れた、あるいは、資材が高騰している等で、その期限を1年間延ばして欲しいという申し込みがありまして、その変更合意書はすでに3月の10日時点で締結をしてるところでございます。
それと、なぜこの買い取ったかという話でございますが、この買い受け特約を付した有償貸し付け契約でございますけども、これ10年以内でございますれば、どのタイミングで買い取るかということにつきましては、これは森友学園の経営判断でございます。従いまして、この有償貸し付けの間に、まさに学校建設工事を始めてるわけでございまして、その時に、新たに、いままで知っていたゴミとは別に、新たに地中深くに地下埋設物が発見され、撤去する必要が生じる。さらに、小学校の開校予定時期は、約1年後というふうに迫っているなかで、こういう工事を国がまさに撤去工事で対応するといったことをすれば、入札などと色んな手続きがございまして、一定の時間を要します。
さらに土地の貸し付け契約のなかで、埋設物を対策するといったときに、仮にですね、土地の利用計画の変更などが出てくれば、さらに国から承認の手続きがいるということでたいへん時間がかかる手続きでございまして、1年後の開校予定ということを森友学園は考えまして、まさに早期に学校を整備し、開校するため、自ら土地を購入して、埋設物の撤去および建設工事を実施して、開校予定に間に合わせるようにしたというふうに承知してございます」
宮本議員「1年前の、地方審議会の段階では、8年目処、10年でも難しいんじゃないかと言っていたのに、突如として経営環境が変わったと。だいたい、本当に1億3000万円あまりで買い取って、それ以外に8億円かけて撤去するっていうんだったら、端から9億5千万の金を持ってたということになるわけでありまして、それなら、元からこんな話にならないんですよ」
だいたい国は、4月6日に地下3mまでの埋設物の除去費用および土壌汚染の除去費用として、森友学園に1億3176万円を支払い済みでありました。そのうえ、さらに6月20日の売買で、埋蔵物の撤去費用8億1900万円と見積もり工事をしてやったとすれば、合計9億5000万円の支出になりまして、この土地は、国にとってタダで手放したということになりませんか?」
佐川理財局長「土地を国が売却するというのは、何度も申し上げているように、不動産鑑定評価に基づいて時価で売却してるわけでございます。従って更地の価格から様々な撤去費を控除したものが時価でございますので、ご指摘の値段というのは当たらないというふうに考えます」