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NATOの筋金入り武闘派北欧エリートをご紹介

2022年1月 1日 (土)
クラウディオ・ギャロ
2021年12月24日
Strategic Culture Foundation
 もしNATOの筋金入り武闘派を見つけたいとお望みなら北欧エリートに会わなければばならないとクラウディオ・ギャロが書いている。
 NATO国では、太陽はずいぶん長い間北から昇っている。2009年半ばから、NATO事務総長の椅子は北欧政治家に占められている。最初は、前デンマーク首相アナス・フォー・ラスム、それから(2014年10月以来)前ノルウェー首相のイェンス・ストルテンベルグ。ブリュッセルは2022年9月迄、ストルテンベルグの契約を延長した。それほど遠くない任期が大西洋パートナーの間で既に最初の議論を引き起こしている。
 新事務総長は来年、晩春あるいは初夏、NATOのマドリッド・サミットで紹介されるかもしれない。欧米の時代精神に従って、初めて女性がNATOで文民最高の座に就くことが予想される。モンタージュを完成するためには、1991年のソ連邦崩壊以来、次第に軍隊をロシア国境周辺に配置する連合の北、北東への移行を考慮しなければならない。
 広まっている最初の三人の名前は、クロアチア前大統領コリンダ・グラバル=キタロヴィッチと、リトアニアのダリア・グラバスカイテ、現在のエストニアのケルスティ・カリユライド大統領だ。競技は終わりから、ほど遠い、多くの他の国々が彼らの候補者を押すだろう。彼女の乏しい広報能力とカリスマ性にもかかわらず、イギリスは前首相テリーザ・メイを試みることができる。ロシアとの緊張が高まるなか、一つ確実なことがある。新現職の基準は、これまで二人の北の事務総長が実に従順に務めたワシントンに対する平伏姿勢を満たすべきことだ。
 モスクワ(そして、実際ヨーロッパ主流メディア以外、世界中の全員)が知っている通り、同盟の戦略上の権力は大西洋の西側だけにある。アメリカから見て、ヨーロッパ同盟諸国の最もありがたい態度の一つは無条件の服従だ。北欧諸国が最も良く典型を示す特質だ。フランス、イタリアあるいはスペインなど、比較的信頼度が低い南国より確実にそうだ。あるいはドイツ。永遠の地政学的愛/憎悪関係でロシアと結ばれ、ドイツは最近ワシントンの圧力にもかかわらず、キエフへのNATO兵器の供給を阻止した。ロシアとの堅固な商業関係を持ちながら、実際の軍事衝突は言うまでもなく、モスクワとの経済的戦争をアメリカの圧力が我慢できなくなる時だけいやいや対処すべき悪夢とベルリンは見ている。
 だから、もしNATOの筋金入り武闘派を見つけたいとお望みなら、あなたは北欧エリートに会わなければならない。人々は別の問題だ。最近全体がNATO支持に向かって多少動いているが、世論は依然、かなり分かれていて、一般に安全保障問題に関しては中立的態度になりがちだ。イデオロギーを別とすれば、より攻撃的なNATO姿勢がなぜ、これらの国々の国益になるのか説明するのは困難だ。この評価は大西洋連合の東側全員にあてはまる。
 何年もの間、北欧理事会(デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、フェロー諸島、グリーンランドとオーランド諸島の間の正式な議会間協力のための組織)政府間の協力は、スウェーデンとフィンランドの非同盟の立場を尊重して安全保障問題を避けていた。だが去る11月、いつものフェアプレーは何らかの方法で脇にやられた。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、コペンハーゲンでの北欧理事会第73回会議での演説で次のように言った。「団結を続け、変化する世界に順応し続けることで、我々はここ北欧地域とヨーロッパで「深い平和」を維持する」。
 古来の「Si vispacem para bellum 汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」の最も攻撃的解釈で「深い平和」はロシア国境に向かって絶え間ない軍事侵攻をによって求とられる。ウクライナの場合のように、ロシアが反応すると、西洋メディアが新たな野蛮人の侵略を大声で言うためにそこにいるのだ。
 スウェーデン新首相マグダレーナ・アンデションが最近スウェーデンはNATO加盟を申請しないと言ったにもかかわらず、この国は同盟の安定した衛星国だ。去る6月、スウェーデンは重要な役割で、ヨーロッパ最大の空軍演習の一つ、北極チャレンジ演習2021を主催した。北極チャレンジ演習には、航空防衛、近接航空支援、航空防衛抑制と空対地攻撃訓練のため、アメリカ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ドイツ、オランダとイギリスの戦闘機が参加した。
 スウェーデン政府は徴兵を再導入し、驚異的な40パーセントの防衛費増加(70年で最も莫大な防衛費増加)を認め、新しい安全管理教義「全体防衛」を定義し、バルト諸国が良く「見える」バルト海のスウェーデンの島ゴトランドで軍事力増強を始めた。
 2016年以来、ストックホルムは、アメリカの長距離爆撃機に柔軟な世界的攻撃能力(つまり:ロシアに対し)を提供する重要なアメリカのパートナーだ。新支出は国の軍の規模を67パーセント増し、陸軍を機械化旅団に再編成し、軍艦に航空防衛システムを装備し、海軍規模を増強し、次世代戦闘爆撃機を配置する。
 11月初旬、スウェーデンはアメリカから最初のパトリオット・ミサイル防衛システムを受取った。中立国で平和主義のスウェーデン軍事産業は、順風満帆だ。売り上げは、パキスタンと首長国連邦が最上の顧客で、2019年の1億7200万ドルから、2020年には2億8600万ドルまで増加した。近年、この傾向は不規則に推進したスウェーデンのフェミニズム外交政策(FFP)と皮肉な対照だ。
 フィンランドもNATOの規格外メンバーだ。フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領がまさに、最近の同盟の東方への拡大に参加しないようにというロシアの訴えに再演した。:「フィンランドはNATOを、ヨーロッパで安全と安定性を推進する要因と考える。うまく立ち回り、選択する自由で、国家選択の余地を維持するのはフィンランドの外交、安全保障、防衛政策の基盤だ。これは軍事提携とNATO加盟を申請する可能性を含む」。
 2019年の世論調査で、フィンランド人の半数、51パーセントが、NATO加盟加入に反対で、賛成派は26パーセントだった。10月末、スウェーデン/フィンランド海軍共同演習、Swenex-21の際、ハーニンゲ市ベルガに近いホーシフャーデン・フィヨルドのスウェーデン海軍基地を訪問した際、イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は、大西洋連合とフィンランドとスウェーデンの緊密な関係を称賛した。
 「NATO同盟国のフィンランドとスウェーデンが共に訓練し演習し続けるのは重要だ。長年、我々は益々緊密に働いている。ロシアの攻撃的なわざとらしい振る舞いと軍事力増強で、我々は地域の治安情勢が悪化するのを目にしている。これで我々の協力は一層重要になる」と事務総長は述べた。
 フィンランドはF35-A ブロック4多機能戦闘機を62機の古いF/A-18C/Dホーネッツ航空隊に代わるように選んだところだ。ヘルシンキは、総合攻撃戦闘機64機を買う意思を確認した。装備、研修、維持管理や他のサービス全てを含んでいる。2025年に始まるよう予定されているジェット機の引き渡しを持っている。推定出費は830億ユーロだ。厄介なサーブサーブ39 グリペンで、スウェーデンは偉大な敗者だった。F35は非常に先進的な戦闘機で、ヘルシンキは、アメリカ外では世界中でおそらくイスラエルに次いで最大の国内サポート・ネットワーク開発予定だ。この現実にもかかわらず、この話の教訓は、NATOの話となると、ヨーロッパが負け、アメリカが戦略的あるいは経済的に勝つのだ。このゲームは良い欧米同盟に対し良くないロシアという非現実的言説を逆転しないが、欧州諸国の国益は、アメリカに率いられた同盟の主な関心ではないことを理解するはずだ。
 クラウディオ・ギャロは元「ラ・スタンパ」外国版編集者でロンドン特派員。彼は以前アジアタイムズ、エンデュアリング・アメリカとRT.comに書いている。彼の主な関心は中東政治と西洋哲学。
 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/12/24/meet-elites-of-northern-europe-nato-hardcore-militant/
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アメリカ・NATO協議がロシアに対する更なる攻撃の隠れ蓑だったら?

2021年12月31日 (金)
Finian Cunningham
2021年12月27日
Strategic Culture Foundation
 ロシアの正当な安全保障上の懸念に対する迅速な対応がなければ、次の段階は一層強固な軍事-専門領域を伴うものになる。
 アメリカとNATO同盟諸国が、ロシアの緊急な安全保障提案に一体どう返答するか、時計がカチカチいっているのは極めて明確だ。
 モスクワにとって、もし今度の協議が、迅速に強固な安全保障を生み出さなければ、アメリカとNATOは、この協議をロシアに対し長期的軍事力増強を続けるための隠れ蓑に使っているという疑惑をもたらす。
 ロシア戦略の堪忍袋の緒も切れる。長年のアメリカとNATOによるロシア領に対する容赦ない侵害で、モスクワは、断固、尊重されるべき越えてはならない一線を宣言するに至った。要するに、これ以上、アメリカ率いる軍事ブロックによる東方向拡大をするな、第二、隣接する国からのアメリカ攻撃兵器の撤去だ。
 長い冷戦後ゲームの最新段階は、ウクライナに代理させての威嚇だ。1990年代末期以来、東方向への拡大はしないというロシアへの保証を破棄するNATOによる悪意と後戻りに対して、モスクワが余りに無頓着だったと批判することは可能だ。だがNATOに支援されたキエフ政権が、東ウクライナのロシア人と、ロシアの国家安全保障でロシアを脅迫するのは我慢の限界だ。遅れても、やらないよりましだ。
 12月17日に公表されたロシアが要求した安全保障パッケージで、アメリカとNATOが1月に協議を行うことに同意する結果になった。
 ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は、モスクワの安全保障要求項目は虚勢ではないとを警告した。
 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、アメリカとNATOが、しかるべき対応をしなければ、国家安全保障を保証するため様々な技術的、軍事的措置をとると述べた。
 明らかに、モスクワは、越えてはならない一線を実現する上で明白な進展を確保するため、限定した時間枠を協議に意識的に設定したのだ。ワシントンとヨーロッパ同盟諸国は、NATOを後退させるための法的拘束力がある動きをする必要があるだろう。大きな試練は、ウクライナや他の旧ソ連共和国がNATOに加入するのを不可能にするというモスクワの要求にアメリカが同意するかどうかだ。
 バイデン政権とNATOは、これまでのところ、ロシアのこの規定を甘受するのを考慮から排除している。アメリカが、ウクライナのNATO加盟を禁じると明示的に宣言することはありそうもないように思われる。ワシントンは、2008年からしているように、加入を延期し続けるかもしれないが、将来いつの日かウクライナの同盟加盟を拒否するという明示的な、法的拘束力がある約束を期待するのは無理なように思われる。
 だから、アメリカとNATO加盟諸国が、ロシアの重要な越えてはならない一線を尊重する意志を持っていないのであれば、協議するという彼らの意図には疑問が生じる。
 ロシアに対し攻撃的な政策を続けるため、アメリカとNATOが協議を隠れ蓑として利用しかねない懸念をプーチン大統領は皮肉っぽく発言した。
 週末、ロシア・メディアにプーチンはこう語った。「彼ら[NATO]は際限なくおしゃべりし、交渉の必要性について際限なく話し、我々の隣人[ウクライナ]を近代的兵器システムで強化する以外、何もせず、ロシアに対する脅威を増大するだろうから、我々は何か鮮やか、何らかの方法で対処するよう強いられるだあろう。」
 クレムリンは明確な越えてはならない一線を発表して、迅速な回答を要求するという極めて異例の処置をとった。だがアメリカとNATOの不誠実さと二枚舌の歴史的実績を考えれば、態度が本当に変化すると期待するのは徒労に思われる。プーチン本人が上記発言で、それを認めているように思われる。
 バイデン政権はロシアとの協議について話をしているが、終始実行しているのはウクライナへの兵器や軍事顧問や攻撃能力の供給だ。極端に反ロシアのキエフ政権にとって、これは、モスクワに対する侵略をかき立てる次から次の青信号に等しい。
 2014年、CIAが支援したキエフでのクーデター以来、ワシントンはウクライナに25億ドル以上の兵器を与えている。バイデン政権は、来年だけでも、軍事支援で少なくとも更に3億ドル用意している。アフガニスタン用に意図した軍需品の向け先を変える計画がある。我々がここで目にしているのは、ロシアの戸口で、数年にわたり続き、勢いを増している戦争遂行のためのアメリカによる大規模動員だ。外見上明白な遅ればせながらの協議の申し出は、疾走する重装甲車の運転手の停止するという弱々しい手信号のようだ。
 更に気がかりなのは、ウクライナ軍に更に多くの戦場の機密情報を提供する国防総省の動きだ。先週ニューヨーク・タイムズ報道がアメリカが既にロシアの軍隊編成について、キエフ政権と「使用可能な」機密情報を共有していることを明らかにした。バイデン政権が検討しているのはウクライナを「守る」という名目で標的設定を強化することだ。
 ニューヨーク・タイムズ報道は、こう言って懸念を装っている。「使用可能な機密情報を提供することの一つの潜在的な問題は、それがウクライナに[ロシアに対し]先制攻撃するように仕向けかねないことだとアメリカ当局者が認めている。」
 実際、これはワシントンにとっては「潜在的問題」ではない。それは意図的な計算だ。国防総省は、ロシアを不安定化するため政権につけたロシア嫌いのキエフ政権を兵器として利用しているのだ。それは故ズビグネフ・ブレジンスキーのような帝国政策立案者の下で、数十年も遡る戦略目標だ。そして今「グレート・ゲーム」は、ワシントンがロシア自身に標的を定めるはずである、自国国境内にいるロシア軍に標的を定める機密情報を手先の政権に提供するまでに至ったのだ。
 この悪意に満ちた背景が、アメリカとNATOパートナーの協議はロシアに対する攻撃の長期的方針のための実に極悪非道な隠れ蓑以外何ものでもないと推論させるのだ。
 アメリカとNATOによる容赦ない特有の裏切り行為を考えれば、提案された協議が危険な分岐点となるのをロシア指導部は十分過ぎるほど知っていると思われる。ロシアの正当な安全保障上の懸念に対する迅速な対応がなければ、次の段階は一層強固な軍事-専門領域を伴うものになる。モスクワが既に、ほとんど避けられないのを知った上で、ありそうな結果を計算して待ち構えている領域に。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/12/27/what-if-us-nato-talks-cover-for-more-aggression-towards-russia/
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 NHK解説委員室 解説アーカイブス






2021年12月30日 (木)
ロバート・ブリッジ
2021年12月22日
Strategic Culture Foundation
 もしNATOが、ロシアの平和提案を無視して、旧ソ連共和国地域に進み続ければ、1990年と違って、ロシアには多くの選択肢がある。
 NATOがロシア国境に向かう終わりの見えない拡大を容赦なく続ける中、モスクワは欧米軍事ブロックに実際最後通牒以外何ものでもない安全保障提案をした。それ以上いかなる東方向の軍事拡大を止めろ、さもなくばロシアは国益のため行動するよう強いられる。
 NATO-ロシア関係に関する限り、1990年2月9日という日付は、歴史家の間で永久に「屈辱の日」として記憶されるだろう。それは周知のとおりジェームズ・ベーカー国務長官が、グラスノスチ時代のドイツ統一交渉中に、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長に欧米軍事ブロックは、ロシア国境に向かって「一インチたりとも東方に」進まないと保証した日付だ。
 NATO加盟国が冷戦時から、今の30加盟国に爆発しており、空約束に含まれたペテンのレベルは今日容易にわかる。2004年、ブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキアとスロベニアが、2004年のイスタンブール・サミットでNATOに加盟した。アルバニアとクロアチアは2009年に加盟し、北マケドニアは2020年に加盟した。
 既に、欧米軍事ブロックは、ラトビアとエストニアのバルト諸国がロシア北西部国境で接している。だが今、ウクライナとして知られる、政治的に一触即発の危険な地域がNATO加盟を積極的に求めており、モスクワは最後通牒に等しいものを提示したが、そこでのニンジンは世界の核保有超大国間の和平ただ。
 アメリカに率いられる組織は食いつくだろうか? NATO問題で安全保障に関する協定草案は「アメリカ合衆国は北大西洋条約機構(NATO)の更なる東方向への拡大を防ぎ、旧ソビエト社会主義共和国連邦共和国のこの同盟への参加を拒否する措置をとるべきこと」と述べている。
11月14日、🇺🇦は🇺🇸から約80,000キロの弾薬を受けとった。これは、8月、バイデン大統領が命じた🇺🇦への追加安全保障支援の最高6000万ドルの一部で、安定した民主的で自由な🇺🇦が成功するようにという🇺🇸による誓約の証明だ。pic.twitter.com/nu8jezAcOh
- 在キエフ・アメリカ大使館 (@USEmbassyKyiv) 2021年11月14日
 ウクライナでの混乱を念頭に置いて、この草案はNATO加盟国でない旧ソ連共和国に、軍事基地を建設しないこと、軍事活動をするため彼らのインフラを使わないこと、彼らと二国間軍事協力を構築しないというワシントンと同盟諸国の義務を強調している。
 モスクワの提案は、ロシアが、もしかすると、早ければクリスマス、現実に根拠のない発言に、ウクライナに地上軍を入れると予想しているという欧米指導者連中による紛らわしい危険な主張の最中に提出された。実際、地域で緊張を高めているのは欧米だ。
 ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣によれば、先月、アメリカ爆撃機が何機かの戦闘機との演習中、ロシア国境から12.4マイル(20キロ)以内に接近し、ロシアへの核攻撃をシミュレーションした。
 「我々はロシア国境近くでアメリカ戦略爆撃機の活動のかなりの増加を目撃している。 これまで一ヶ月間、彼らはロシア連邦国境で、約30便、去年の同期間と比較して2.5倍の飛行を行った」と中国の魏鳳和国防部長との会談中にショイグが述べたとタスが報じた。
 一方、ウクライナへのアメリカ兵器販売は憂慮すべき勢いで加速している。今月「ロシア侵略」として知られる永遠の人さらい鬼から守るのを支援するため、年度軍事調達の一環として、10月にジャベリン対戦車誘導ミサイル・システム30台をアメリカ政府がウクライナに送ったことが明らかにされた。
 殺傷兵器をキエフに提供するアメリカの決定は、ドンバスでの停戦を保証するため2014年9月に採択されたミンスク合意への打撃で、ヨーロッパ全体の安全保障に対する脅威だとロシア議員たちが警告した。
 「もちろん[アメリカの]議員は、ウクライナへの殺傷兵器供給は、ミンスク合意が始まった瞬間、それを破壊するのを理解しなければならない」とロシア上院軍事・安保委員会のフランツ・クリンツェヴィッチ委員長代理がRIAノーボスチに述べた。「キエフへの軍事援助3億5000万ドル追加は彼らがドンバスで全面戦争を始める直接の呼びかけだ。」
 クレムリンの視点からは、キエフがNATOの正会員か否かにかかわらず、ウクライナとドンバスのアメリカと同盟諸国による、これ以上の軍事化は、それをほとんど争点にするだろう。致命的なミスが容易に起きかねない。特にもし欧米が自分を支援していると信じれば、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、2008年に元グルジア大統領ミハイル・サーカシビリが南オセチアとアブハジアの自称共和国に対する無分別な攻撃で、ロシア平和維持軍兵士を数人死なせた運試しと同様、ばかげたことをしようと試みるかもしれない。
 トビリシの侵略行為に、モスクワがジョージア本土への大規模な地上、航空、海上侵攻で反撃し、ロシア軍がわずか4日で勝利を収めたことを、当時喜劇の仕事に完全に没頭していたにもかかわらず、ゼレンスキーは確実に知っている。
 欧米指導者は、ヨーロッパ大陸やそれ以上に対する平和の名のもと、ロシアの提案を受け入れるだろうか? アメリカは、まだロシアの申し出に応えていないが、モスクワも、そろそろ我慢の限界なのは確実だ。
 「冷戦終結以来、NATOの管轄区域と軍隊は東方に一インチたりとも動かさないとロシアは繰り返し保証された」とロシア外務省広報担当マリア・ザハロワが今月早々述べた。「これら全ての約束は忘れられ、果たされなかった。その結果が現在のヨーロッパ安全保障の悲しい状態だ。」
 「現状を解決する唯一の選択肢は、ロシア領域のすぐ近くで我々を脅かす、東方へ、それ以上いかなるNATOの前進も兵器システム配備も排除する長期的合意の共同開発だと我々は確信している」と彼女が補足した。
 もしNATOが、この平和提案を無視し、モスクワにとって明らかに越えてはならない一線である旧ソ連領域に向かって進み続ければ、1990年にと異なり、ロシアには多くの選択肢が残っている。
 一つの選択は、欧米が支援する首都ミンスクでのオーダーメイドのカラー革命を切り抜けて生き残り、欧米に不満を持っているベラルーシ大統領アレクサンドル・ルカシェンコが11月に公式提案したように、ベラルーシ領域にロシア核兵器を受け入れることだ。
 「私は[ロシアのウラジーミル]プーチン大統領が核兵器をベラルーシに戻すよう提案する」とルカシェンコがRIAノーボスチに語った。
 NATOの核兵器は「効果的な核の傘をヨーロッパ同盟国に提供する。これは、もちろん、同じく我々の東同盟諸国を含み、彼らは核武装したどんな敵国にも反対する連合軍の団結の重要な信号だ。」と言ったNATOのイェンス・ストルテンベルク事務総長による無責任な発言にルカシェンコが応えているのだ。言うまでもなく、この発言は、NATOの真意について、モスクワを決して慰めるわけがない。

 ロシアが実際に核兵器をベラルーシに配備するかどうかは、まだ不明だが、モスクワには他の戦略上の選択肢があり、ロシアの長期的平和の提案について、ヨーロッパ人を熟考させるはずだ。NATOの絶え間ない東方前進の中、人類に知られている最も恐ろしい兵器のいくつかで、ロシアが西端国内を覆うのを想像するのは困難ではない。結局、我々は、欧米の企みに反撃する選択肢が、さほど説得力がなかった1990年、あるいは2004年のロシアについて話をしているわけではないのだ。
 現在、特にシリアでのイスラム国に対するロシアの衝撃的実績を受けて、どんな軍幹部もロシア軍の力と効率を過小評価するまい。
 プーチンとショイグ国防大臣が進めた意欲的な軍改革構想の下、ロシアは今世界に類似物がない極超音速ミサイルを含め、世界で最も素晴らしい技術で装備された世界的に有名な軍事機構を有している。
 もしNATOが、実際は友好的な最後通牒である申し出を拒否すれば、モスクワにとって確実に平和を維持するための第一選択肢ではないが、ロシア-ヨーロッパ国境は、世界にとって本当に最も不要な冷戦レベルの恐怖や妄想や軍事化に逆戻りすると予想される。
 ロバート・ブリッジはアメリカ人作家、ジャーナリスト。
個々の貢献者の意見は必ずしも Strategic Culture Foundation のものを意味しない。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/12/22/russia-advises-nato-to-finally-honor-its-not-one-inch-eastward-pledge/
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小室眞子さんの結婚で皇室の危機は本当に去ったのか?「庶民化の矛盾」を上皇さまの同級生が指摘〈dot.〉


2021/12/31(金) 14:48配信
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2016年に来日したベルギーのフィリップ国王夫妻を歓迎する宮中晩餐会に臨んだ内親王時代の秋篠宮ご夫妻の長女眞子さん
 平成の終わりから令和にかけて皇室は、秋篠宮家の長女、眞子さんの結婚問題に揺れた。それは、皇室を長く支えてきた人たちにどう映ったのだろうか。司馬遼太郎が『坂の上の雲』で描いた陸軍情報将校、明石元二郎の孫であり、上皇さまの同級生の明石元紹さん(87)。学習院の幼稚園で明仁親王に出会い、戦時下では明仁皇太子とともに日光で疎開生活を送り、高等科ではともに馬術部で青春を過ごした。上皇さまの退位問題の際には、届かぬ上皇さまの声を官邸や世間に伝えようと橋渡し役を担いもした。その明石さんに今後の皇室のあり方について思いを聞いた。 【写真】あっ、カモを落としちゃった!大慌ての小室眞子さんの「失敗」
* * * ――海外メディアに撮影された画像を見る限り、眞子さんは、自由なニューヨーク生活を満喫しているようです。その様子に国民は安堵を感じる一方で、結婚問題で生まれた皇室への不信感や行き場のない感情は「わだかまり」としてくすぶったままです。 明石さん:眞子さんが結婚会見で発信した言葉や宮内庁や秋篠宮家による金銭問題への対処の仕方は、皇族に相応しいとは言い難いものでした。  僕ら80年近く皇室を見守り続けてきた学習院の仲間のあいだでも、「これではもう、皇室はなくなっていいのではないか」と、嘆いた人間もいたほどでした。  結婚問題で顕在化した「皇室の危機」。それは、眞子さんひとりに、「責任」をかぶせて蓋をすればいい、というものではありません。   眞子さんが民間人となって日本を離れたから、「終わった」わけでもありません。  何が眞子さんの結婚問題を引き起こしたのか、現在の皇室の抱える矛盾や限界を振り返り、背景を理解する必要があります。  その根底にあったのは、極端なまでの「皇室の庶民化」にあったのではないかと感じています。 ――それはどのような意味でしょうか。 明石さん:皇室はいまだに、日本で唯一、「生まれながらに特権的な身分を持つ」存在です。  第2次世界大戦のなかで、私は疎開した明仁親王とともに日光に疎開し、そこで玉音放送を聞きました。


 戦争と敗戦で皇居は焼け、皇室解体の危機に直面しました。  1947年に、日本国憲法が施行されると、身分制度を作りあげていた華族制度は廃止され、天皇は「象徴」となりました。しかし、皇室典範によって皇室だけは、「生まれながらによって特権的な身分制度」を維持し続けることになったのです。  戦後の日本においては、ある意味で異質であり、憲法に矛盾した存在でもあります。  そうしたなかで過激派などが反皇室闘争を掲げゲリラ事件が頻発します。皇室がどうなるのか、先が見えない時代が続きました。 ――昭和の後半にかけては、「天皇の訪欧・訪米反対」、「皇太子の訪沖反対」、「天皇の戦争責任追及」などを掲げる過激派勢力が、皇居内に乱入して火炎瓶を投げ、原宿の皇室専用ホームに発煙筒を投げ込み、さらには天皇の特別列車の爆破未遂事件など、皇室に対するゲリラ事件が頻発しました。  平成の前半は、政府の外交に巻き込まれた時期でもありました。  天皇は、政治の意思は受け止めざるを得ない立場にある。その一方で、天皇訪中など国論が割れるような問題については、『日本国民の総意に基づく』地位にある者として、国民が納得する訪中にしなければならない。  難しい状況のなかで、平成の天皇は国の象徴としての姿勢を保ち、その責務を遂げました。 明石さん:戦争と敗戦で皇室解体の危機を目のあたりにした上皇さまは、皇太子時代から象徴とはどうあるべきか、と考え続けた。  そして上皇ご夫妻は、命がけで皇室を守ろうとなさってきた。  国民と皇室との垣根を取り払い、信頼を築きあげてきたのが、おふたりでした。  そのひとつが、国民と同じような私生活を送り、「開けた皇室」であり続けることでした。国民と同じ生活をすれば、人びとの気持ちをよりいっそう、理解できる。それは、分かります。 ――ロイヤルファミリーの庶民化は、世界的な流れです。たとえば、英国のキャサリン妃は高級なファッションブランドと同時に「ザラ」などのお手頃価格の服を着こなす。このように庶民感覚をうまくアピールしている点も人気につながっています。一方、日本の皇室はどうでしょうか。



明石さん:相互理解は大切です。ただ、日本の皇室の場合は、「国民を理解しよう」という思いが強すぎたのだと感じます。  天皇は人びとのために祈りを捧げる祭祀王でもある。また神武天皇祭など「万世一系」に根ざした先祖祭を続ける祭祀を行う皇室は、神秘性を合わせ持つ存在でもあります。神秘性や国民と隔絶された部分があるからこそ、「生まれながらにして特権的な身分」を持つ皇室が敬愛の対象になってきた側面もあるでしょう。  一方で、国民と同じ生活や感覚を持ち続けた皇族は、「公」に生きるという覚悟よりも、「ひとりの人間として生きたい」という自我が強くなるのは、自然な流れです。 ――眞子さんの結婚問題では、世間からは、「皇族もひとりの人間だ」「自由に生きる人としての権利を尊重すべきだ」といった声が強くあがりました。今の社会には、生身の人間に「公」を最優先する人生を強いるべきではないという空気があります。 明石さん:皇室メンバーが普通の人間であることを認めれば認めるほど、同じ人間の中に皇室という「特権的な身分」が存在する、制度の矛盾が膨らんでいきます。  いまの皇室は、国民の気持ちを理解するために、国民と同じ私生活を送ってきた。それは長い歳月をかけて、ねじれを生み、「公」よりも「私」を優先させた眞子さんの結婚問題につながったともいえるでしょう。  前にも言いましたが、学習院の仲間でさえ、「皇室はもう無理ではないか」と口にする人間が出てきた。とういことは「もはや皇室は、なくてもいいのではないか」と考える国民は、確実に増えているはずです。  まさに、皇室の危機です。 ただ、それに上皇さまやいまの天皇陛下が気づいておられるのか。どう、お考えなのかも、私には分かりません。 ――天皇が「現人神」であった戦前と「象徴」にかわった戦後の昭和、そして平成、令和。明石さんは、皇室を見守り続けてきました。 明石さんの目に、皇室の未来像はどう映りますか。



明石さん:厳しい意見を言えば、皇室存続の鍵は、「国民と同化し過ぎた皇室」から脱することができるかどうかだと私は思います。  たとえば、常陸宮妃の華子さまは、車から国民に対して車の中から気軽に手を振ることは、ほとんどなさらない。華子さまは、旧伯爵の令嬢として生まれた方です。 香淳皇后さまも、そうでした。明治天皇や大正天皇、昭和天皇は、国民と一線を引く「我慢」をなさってきたのだと思います。 ――つまり、以前は一線をひくことで皇室を守り、国民との信頼関係を守っていたわけですね。しかし、この時代に皇室が、「国民と同化せずに」、神秘性を保ち続けることは可能でしょうか。現在のネット社会は、秘匿したいと思うことでも、一瞬で情報が拡散する世の中です。 明石さん:確かに、いまの皇室が「菊のカーテン」に閉ざされ、謎めいた存在であり続けることは難しい。  眞子さんの結婚問題では、お相手であった小室さんの家族の過去のトラブルまで、すべて露わにされました。  お相手と皇族自身も、心身共にうけた傷の深さははかり知れません。 ――古くは皇室に入りご苦労をされた上皇后美智子さま。そして、2004年に適応障害と診断されてから18年近く体調が戻らない皇后雅子さま。して眞子さんも、結婚問題によって、複雑性PTSDと診断されました。 明石さん:国民と同化し、開かれ過ぎた皇室の“弊害”が、浮き彫りになったのだと感じます。  報道はもちろん、ネットの書き込みも含めて、皇族もお相手もすべてのプライバシーが露わになり、執拗な攻撃を受けかねない。  眞子さんの結婚問題は、皇室に関わればプライバシーなどなくなると日本中が思い知った出来事でした。「皇室と関りを持つことはリスクである」という印象が、世界中に広がってしまいました。  眞子さんの件では、極端な「庶民化」と「自由意志の尊重」が、お相手選びを含めて問題を引き起こしたのだと思います。 



――次世代の皇室を担うのは、秋篠宮家です。秋篠宮家には、皇位継承順位1位の皇嗣である秋篠宮さまと、2位の悠仁さまがいます。悠仁さまは22年4月には、高校に進学します。将来の天皇となる悠仁さまには、今後、ますます国民の関心は高まっていくことでしょう。 明石さん:いまは悠仁さまの進学先に注目が集っていますが、ご結婚も、そう先のことではありません。お相手とどちらで出会い、ご結婚をなさるのか。そうしたことが、問題なく進むのか……。   ある意味、「矛盾した存在」となりつつある皇室と関わってもいいと手を挙げる人間がいるのか。それは、皇室に対して、適切な距離を保ことのできる人物なのか。 「もう皇室は無理だーー」。  そんな失望を抱えた国民によって、皇室の時代は終わりを告げるかもしれない。  コロナ禍は続いています。お金の面でも生活の面でも、国民の苦しみが続いているなかで、皇室は新年の祝賀行事を執り行うことを、自身でどうとらえるのか。  皇室は、国民と真摯に向き合い、襟を正していただきたいと思い。 僕は上皇さまとの長い間の接点を持って、皇室を見てきました。 いま皇室が直面している危機は、そばにいた僕らの責任でもあります。 しかし、その一方で、今の皇室も相当の覚悟を持って、揺り戻しをはかる必要があるのではないでしょうか。 (構成 AERAdot.編集部 永井貴子)


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最終更新:2021/12/31(金) 15:36AERA dot. 


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