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途中から加速の「ゴールデンスランバー」(伊坂幸太郎)

2008-12-15 14:29:36 | 小説

2009年版「このミステリーがすごい」(宝島社)第1位であるこの作品。図書館8か月待ちで、忘れた頃にやって来た。更に期限近くに他の本の貸し借りをお願いした際、「240人待ちなので期限内で返して下さいね」とクギを刺されたほどの大人気。

首相がラジコン爆弾で暗殺された。ごく普通の市民である青柳が、警察なのか国家なのか、とてつもなく大きな力で犯人に仕立て上げられていく。アメリカのJ・F・ケネディ暗殺犯に仕立て上げられ殺されたオズワルドのごとく「死人に口なし」とならないために、青柳は逃亡を余儀なくされる

伊坂幸太郎さんの作品は今回初めて読んだので、実は結構つまずいてしまった。ファンの方なら、もう「作家と読者の意思疎通」というものができていてあっさりと進めてしまうのかな、と思われるところにいちいち引っかかってしまった。

まずは章立て。というか段落なのかな。何度も同じ「青柳雅春」というタイトルが続いたりするのに「何のこっちゃ?」と違和感でもたついてしまった。それは、現在と過去が行ったり来たりして書かれているからなのだが、その目印のマークに気付くまで、入り組むカットバックに混乱して筋がわからなくなったりした

読解力がないと言えばそれまでですが

そして、結構難しい漢字が多いんです…… 最初の方でフリガナが振ってあるのだけれど、しばらく間が空いてしまった後に続きを読むと、そんなことは忘れているのでフリガナなしのそれが読めなかったり、意味がわからなかったり。長閑、諦観、僥倖、暢気、魘される……なんとな~く意味を想像し、わかっているようなフリをして、読めなくても強引に進んでいった。

はい、辞書を引けばいいんですが ちなみに「のどか、ていかん、ぎょうこう、のんき、うなされる」です。

その上、伏線が張り巡らされているので、前半は全体像が全くつかめなくて乗っていけず、なっかなか進まなかった。すぐに眠くなってしまって、もう途中でやめてしまおうと何度思ったか。

それが、後半へ来て急に加速した 様々なピースがカチャンカチャンと音を立ててはまり始め、最後も「そうか~」と、さりげなさの中に満足のいく終わり方。いや、頑張って読み続けて良かったです

伊坂さんとは、こういう書き方の作家さんなんだろうか。他にも、会話のシーンでいくつものセリフが全て同じ長さ、といったのも特徴なのか。

この本で満足したので、また何かトライして確かめてみようと思います。まあ、図書館ではまたかなり待つことは間違いないけれど、気長に待ちましょうか


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