KGB KGB
【活動期間】
1975年~1976年
【メンバー】
レイ・ケネディ/Ray Kennedy(vocals)
マイク・ブルームフィールド/Mike Broomfield(guitars)
ベン・シュルツ/Ben Schultz(guitars)
バリー・ゴールドバーグ/Barry Goldberg(keyboards, vocals)
リック・グレッチ/Rick Gretch(bass)
グレッグ・サットン/Greg Sutton(bass)
カーマイン・アピス/Carmine Appice(drums, vocals)
KGBは1975年に結成されたロック・バンドである。
1974年、マイク・ブルームフィールド(guitar)とバリー・ゴールドバーグ(keyboard)は「エレクトリック・フラッグ」の再結成に参加したが、散発的な活動のすえ解散に至ったため、セッション・ミュージシャンとして活動していたレイ・ケネディ(sax, vocal)を加えて新バンドを結成しようとしていた。
これに目をつけたのがMCAレコードである。
MCAは彼らを「スーパー・グループ」として売り出すため、ベック・ボガート&アピスが解散したあとフリーになっていたカーマイン・アピス(drums)と、活動の拠点をアメリカに移して「ジョニー・リヴァース・バンド」のメンバーだったリック・グレッチ(bass)というふたりの知名度の高いミュージシャンをメンバーとして迎え入れた。
バンド名は、バンド結成当初から集結していたケネディ(K)、ゴールドバーグ(G)、ブルームフィールド(B)の頭文字を並べたものである。
1975年にMCAと高額の契約を交わした彼らはアルバムの制作に取りかかるが、ブルームフィールドがレコーディングが行わるロスアンゼルスへの移動に同意しなかったため、やむなくギターパートは別の場所で録音せざるをえなかった。
同年デビュー・アルバム『KGB』とシングル『Sail On Sailor』(ビーチ・ボーイズのカヴァーで、ブライアン・ウィルソンとケネディの共作)がリリースされる。アルバムにはビートルズのカヴァー『アイヴ・ガッタ・フィーリング』も収録されていた。
鳴り物入りでデビューしたKGBだったが、デビュー・アルバムはの評判は芳しいものではなかった。これはラインナップから想像されたブルース・ロックあるいはヘヴィーなサウンドとは異なり、ソウル・ミュージック寄りでレイドバック感のある、のちのAORサウンドへもつながる内容だったためで、評論家からもリスナーからも不評をかってしまった。ただし、ソウルフルなケネディのヴォーカル、ヘヴィなアピスのドラム、ブルージーなブルームフィールドのギターなど、個々にみると「スーパー・グループ」の前評判どおりの演奏であると言える。
この後間もなく薬物依存の悪化によってブルームフィールドは脱退。バンドはジョー・コッカーのツアーに帯同する。
左から レイ・ケネディ、カーマイン・アピス、バリー・ゴールドバーグ、マイク・ブルームフィールド、リック・グレッチ
その後ブルームフィールドの後任として、バディ・マイルスのアルバムに参加したこともあるベン・シュルツ(guitar)が、グレッチの脱退に伴いボブ・ディランのバックを務めていたグレッグ・サットン(bass)が参加して、1976年にセカンド・アルバム『モーション』をリリースした。このアルバムはケネディとアピスのカラーが全面的に押し出されたものだったが、ほとんど話題にならず、セールスは全くの不振に終わり、バンドも活動を停止した。
KGB解散後、ケネディは1980年にアルバム『Ray Kennedy』をリリースし、AORブームの中でブレイクするが、その後マイケル・シェンカー・グループにヴォーカリストとして加わってロック・ファンを驚かせた。
アピスは1977年にロッド・スチュワート・バンドに加入。ゴールドバーグはソロ、セッションなどで息の長い活動を続けている。
グレッチは1977年にジンジャー・ベイカー(drums)のソロ・アルバム『Eleven Sides of Baker』に参加した後は音楽業界の第一線から身を引き、1990年に他界。
ブルームフィールドは1977年にソロ・アルバムを発表したが、薬物の過剰摂取のため1981年に死亡した。
【ディスコグラフィ】
<アルバム>
1975年 KGB/KGB US(ビルボード)124位
1976年 モーション/Motion
【メンバー変遷】
#1 1975~1976
レイ・ケネディ(vocals)
マイク・ブルームフィールド(guitars)※ex. Electric Flag
バリー・ゴールドバーグ(keyboards, vocals)※ex. Electric Flag
リック・グレッチ(bass)※ex. Johnny Rivers Band
カーマイン・アピス(drums, vocals)※ex. Beck, Bogert & Appice
#2 1976
レイ・ケネディ(vocals)
ベン・シュルツ/Ben Schultz(guitars)
バリー・ゴールドバーグ/Barry Goldberg(keyboards, vocals)
グレッグ・サットン/Greg Sutton(bass)
カーマイン・アピス/Carmine Appice(drums, vocals)
愛と苦悩 Eager to Please
【歌・演奏】
ケン・ヘンズレー/Ken Hensley
【リリース】
1975年
【録音】
ランズダウン・スタジオ(ロンドン)
ノヴァ・サウンド・スタジオ(ロンドン)
【プロデューサー】
ピーター・ギャレン/Peter Gallen
【エンジニア】
ジョン・フィッシュバック/John Fischbach
アシュレー・ハウ/Ashley Howe
【レーベル】
ブロンズ・レコード/Bronze Records
【収録曲】
side:A
① 愛と苦悩 4:45
Eager to Please(Ken Hensley)
② 星を夢見る人 3:50
Stargazer(Mark Clarke, Susie Bottomley)
③ シークレット 4:03
Secret(Ken Hensley)
④ 子供の目を通して 2:21
Through the Eyes of Child(Ken Hensley)
⑤ パート・スリー 3:49
Part Three(Ken Hensley)
⑥ 丘の家の想い出 3:19
The House on the Hill(Ken Hensley)
side:B
⑦ 冬も夏も 3:00
Winter or Summer(Ken Hensley)
⑧ テイク・アンド・テイク 3:42
Take and Take(Ken Hensley)
⑨ 長い長い影 3:29
Longer Shadows(Ken Hensley)
⑩ イン・ザ・モーニング 2:35
In the Morning(Mark Clarke)
⑪ 愛を見失って 4:04
How Shall I Know(Ken Hensley)
【録音メンバー】
ケン・ヘンズレー/Ken Hensley(keyboards, guitars, synthesiser, vocals)
マーク・クラーク/Mark Clarke(bass, lead-vocals⑩)
バグス・ペンバートン/Bugs Pemberton(drums, percussions)
B.J.コール/B.J. Cole(pedal-steel③)
レイ・ワーリー/Ray Warleigh(sax⑩)
【チャート】
1975年週間アルバム・チャート 圏外
【メ モ】
ユーライア・ヒープのキーボード奏者、ケン・ヘンズレーのセカンド・ソロ・アルバム。
ベースのマーク・クラークは1971年秋から3ヵ月ほどユーライア・ヒープに在籍していたことがあり、このアルバムの制作当時はテンペストのメンバーだった。ドラムスのバグス・ペンバートンはアンダーテイカーズのメンバーである。
②はテンペストのアルバム『眩暈』に収められていた曲で、マーク・クラークの作である。