ディック・ハリガン Richard Bernard "Dick" Halligan
【パート】
ピアノ、オルガン、トロンボーン、フルート
【生没年月日】
1943年8月29日~2022年1月18日(78歳没)
【出生地】
アメリカ合衆国 ニューヨーク州トロイ
【経 歴】
ブラッド・スウェット&ティアーズ/Blood Sweat & Tears(1967~1971)
ディック・ハリガンは、「ブラス・ロック」ブームの火付け役であるジャズ・ロック・バンド、「ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ」の創設メンバーである。
娘はヴォーカリストで、ポップ・デュオ「Bitter:Sweet」のシェイナ・ハリガン。
ハリガンはニューヨーク州のトロイで生まれ、グレン・フォールズで育った。
子どもの頃から何種類もの楽器に親しみ、長じてはスタン・ケントンやトミー・ドーシー、グレン・ミラーなどのビッグ・バンド・サウンドを聴くようになり、影響を受ける。
その後マンハッタン音楽学校に進み、音楽理論と作曲の修士号を取得。
卒業後の1967年、サックス奏者のフレッド・リプシウスから誘われて、ブラス・ロック・バンド「ブラッド・スウェット&ティアーズ」(以下BS&T)に加入。
BS&Tの創設メンバーは、ハリガンのほか、バンド・リーダーのアル・クーパー(keyboards, vocal)、フレッド・リプシウス(alto-sax)、ジェリー・ワイス(trumpet)、ランディ・ブレッカー(trumpet)、スティーヴ・カッツ(guitar, vocal)、ジム・フィールダー(bass)、ボビー・コロンビー(drums)の、総勢8人であった。
ハリガンはトロンボーン奏者としてファースト・アルバム『子供は人類の父である』の制作に参加したが、アルバム発表後にキーボード奏者のアル・クーパーがバンドを脱退すると、その後任に選ばれた。
1969年、BS&Tは名盤の誉れ高いセカンド・アルバム『血と汗と涙』を発表。
このアルバムでハリガンは、トロンボーンのほか、オルガン、ピアノ、フルート、ヴォーカル、編曲を担当している。
『血と汗と涙』は、ビルボード・チャートで7週にわたり1位を記録。アメリカだけで400万枚を売り上げ、プラチナ・アルバムを獲得したばかりか、1970年のグラミー賞「最優秀アルバム賞」を受賞した。
またハリガンがアレンジしたオープニング曲「エリック・サティの主題による変奏曲」は、グラミー賞「最優秀コンテンポラリー・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞」を受賞している。
1969年にはBS&Tの一員として、ウッドストック・フェスティヴァルに出演。
1970年にはバーブラ・ストライザンド主演の映画『フクロウと子猫ちゃん』の音楽を担当する。
1971年、BS&Tは4作目のアルバム『B, S & T;4』を制作したが、ハリガンはこのアルバムで3曲を共作した後、この年限りでバンドから脱退した。
BS&T脱退後のハリガンは、映画音楽の制作に携わるようになり、1970年代から1980年代にかけては、バート・ランカスター主演『戦場』(1978年)、チャック・ノリス主演『フォース・オブ・ワン』(1979年)、チャック・ノリス主演『オクタゴン』(1980年)、トム・ベレンジャー主演『処刑都市』(1984 年)など、多くの映画で作曲と編曲を手掛けた。そのほかテレビのコメディードラマ『Holmes And Yoyo』の音楽も担当している。
1990年代にはイタリアに移住し、ローマを中心に自己のジャズ・コンボを結成して活動を続ける。
2003年、「ディック・ハリガン・ローマン・カルテット with シェイナ・ハリガン」名義でアルバム『Slow Food Forum』を制作(2006年リリース)した。
2006年からは、ジャズや室内楽など様々な音楽の作曲家・演奏家として活動。
2011年と2012年には、「Musical Being」というタイトルの自伝的ワンマンショーを上演している。2013年には「Love, Sweat & Fears」というタイトルとして上演された。
また彼は、カーネギー・ホールでオリジナル作品を上演・指揮している。
2022年1月18日、イタリアのローマにて78歳で死去。
【ディスコグラフィ】
<ブラッド・スウェット&ティアーズ>
1968年 子供は人類の父である/Child Is Father to the Man US47位
1968年 血と汗と涙/Blood, Sweat & Tears US1位, UK15位
1970年 ブラッド・スウェット&ティアーズ 3/Blood, Sweat & Tears 3 US1位
1971年 B, S & T;4/B, S & T;4 US10位
<ソロ・アルバム>
2007年 Cat's Dream
2007年 Slow Food Forum