以下、日刊ゲンダイより転載
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普天間問題“思考停止”の大メディアに呆れる小沢幹事長のホンネ
本質は「日米の役割分担」
普天間移設問題について、小沢幹事長は、記者会見などで何度となく見解を求められているが、「私は政府の立場ではない」と一切口を閉ざしている。
もちろん、第一義的には、鳩山首相と政府が答えを出すこと。党務に徹しているのは事実だろうが、口を開かないのは、普天間問題を単なる“移設先”の議論に矮小(わいしょう)化し続ける大新聞やテレビに、ほとほと呆れ返っているからだ。
「小沢チルドレン第1号」と呼ばれている太田和美衆院議員がこう言う。
「普天間問題には重要な視点が2つあります。ひとつは、沖縄の過重な基地負担をどう解消していくか。もうひとつは、日本とアメリカが冷戦後の東アジアにおける脅威をどのように認識して、どう役割分担していくか。特に2つ目の視点こそが本質なのです。米国のトランスフォーメーションと同時に、自衛隊のトランスフォーメーションも考えなければいけない。政権交代は、日米安保体制を見直すチャンスなのです。しかし、メディアは冷戦型の戦略思考から脱却できていません」
小沢のホンネはどこにあるのか? ヒントとなるのは、昨年2月、まだ野党・民主党代表だった頃の「第7艦隊」発言だ。
「米軍再編問題は、ただ米国の言うとおり、唯々諾々と従うのではなく、私たちもきちんとした世界戦略を持ち、少なくとも日本に関する事柄については、もっと日本自身が役割を分担すべきだ。そうすれば米国の役割は減る。軍事戦略的にいうと、第7艦隊がいるからそれで米国の極東におけるプレゼンスは十分だ。あとは日本が極東での役割をしっかりと担っていくということで話がつく」
この発言は、当時与党だった自民党やメディアから「日米関係を危うくする」と袋叩きに遭い、その中身の議論まで行き着かなかった。しかし、本来は、日米安保体制の将来像に一石を投じる重要な発言だったのだ。
「あの時に、『対等な日米関係とは何か』『今の時代の脅威とは何か』といった本質の議論になっていれば、鳩山首相が沖縄で口にした『抑止力』の存否など、今さら問題になることはなかったでしょう」(軍事ジャーナリスト)
小沢が民主党代表を辞任したのは、昨年の5月11日だった。あれから1年。旧体制のメディアは相変わらず思考停止したままだ。
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