以下、ロイターより北朝鮮の特集記事を転載
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韓国は20日、3月の哨戒艦沈没は北朝鮮の魚雷が原因である可能性が濃厚とする報告を発表、断固たる措置を講じると表明した。これに対して北朝鮮は、韓国が制裁を科せば、戦争を含めた強硬措置を取ると反発した。
南北間の緊張の高まりを受け、朝鮮半島情勢に関して想定されるシナリオをまとめた。
◎韓国が軍事力を誇示
金融市場関係者は、韓国が報復攻撃を計画しているとは見ていないが、黄海上の南北軍事境界線付近で軍の存在感を誇示するとは予想。懸念されるのは、韓国海軍が警告なしに北朝鮮船舶を攻撃する可能性が高いことで、銃撃戦になれば市場にも動揺が走ることになる。3月に韓国の哨戒艦が沈没して北朝鮮の関与が疑われるとの報道が最初に伝わったとき、米国株式相場は下落し、韓国ウォンも売られた。
◎米中両国が南北に圧力
韓国の同盟国である米国、北朝鮮の最大の支援国である中国は、両国ともに事態の深刻化を避けようとしており、南北双方に落ち着いた対応を求めている。しかし、米中両国が圧力を掛けたとしても、南北間の限定的な武力衝突は回避できないかもしれない。
◎ミサイルの試射
外交交渉で譲歩を引き出したい北朝鮮は、これまで同様にミサイルの試射などで挑発行為を続ける可能性がある。市場は北朝鮮のこうした外交戦術には慣れており、それ自体が取引に影響するとは考えられていない。
しかし、韓国全土や日本の大部分、グアムの米軍基地を射程とする長距離ミサイルの試射が行われた場合は長期的なリスクが高まり、金融市場の動揺は韓国以外の地域にも波及する可能性がある。
◎安保理の制裁強化
韓国にとって最も実現可能な対応は、国連安全保障理事会に北朝鮮への制裁強化を求めることだろう。ただ、新たな対北制裁決議の採択には、常任理事国であり、北朝鮮の最大の支援国である中国を同意を得る必要がある。
◎3回目の核実験
北朝鮮は過去に2回の核実験を実施している。3回目の核実験に踏み切ったとしても、市場のリスクへの認識が大きく様変わりはしないとみられるため、相場への影響は比較的小さく、短期間で済むと予想される。
◎全面戦争
韓国が、哨戒艦沈没の原因の北朝鮮の魚雷である可能性が濃厚とする報告を発表した直後、北朝鮮国防委員会は制裁に対して、「全面戦争も含むさまざまな形の厳しい措置で対応する」と表明。北朝鮮は過去にも、ソウルを「火の海」にするなどと威嚇したことがあるが、軍事専門家は、北朝鮮の軍事力は米韓と大差があると見ている。
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