「不格好経営」
南場智子著、日本経済新聞出版社、2013年6月
ネットオークションやゲームに興味がない自分は、DeNAという会社に対して、
「マッキンゼー出身の女性社長が立ち上げた、ときどき悪さをするネット企業」
程度の認識しかありませんでした。
2011年12月、横浜ベイスターズを買収しプロ野球に参入したことで俄然関心を抱き、本書を購読しました。
プロ野球参入により、DeNAという会社を知ったり興味を持ったりした人も多いでしょうから、
それだけでも球団買収は会社にとって大きなメリットだったと言えます。
本書では1999年にDeNAを立ち上げてから本書が出版された2013年までのトピックが中心です。
生い立ちからマッキンゼー時代についても一つの章を割いています。
所々に南場氏のポリシーが書かれています。
■苦しいときに意識するふたつのこと(まえがき)
1.とんでもない苦境ほど、素晴らしい立ち直り方を魅せる格好のステージだと思って張り切る
2.必ず後から振り返って、あれがあってよかったね、と言える大きなプラスアルファの拾い物をしようと考える
■採用した人材へのアドバイス(第7章 人と組織)
・何でも3点にまとめようと頑張らない。物事が3つにまとまる必然性はない
・重要情報はアタッシュケースではなくアタマに突っ込む
・自明なことを図にしない
・人の評価を語りながら酒を飲まない
・ミーティングに遅刻しない
■第7章 人と組織 その他のフレーズ
・誰か言ったかではなく何を言ったか
・管理職かメンバーのひとりかというのは、上下関係ではなく役割の違い
・会社での立場が人間の上下関係ではない
また、「(人を信じて)任せる」という言葉が何度も出てきますし、
女性として働くことについての考えも述べています。
ほぼすべて共感でき、尊敬できる方だと思いました。
時々問題のあるビジネスを立ち上げることもありますが、
南場氏のDNAが引き継がれていれば、また立ち直ることができるのではないかと感じました。
「DeNA Quality」も記載されていますが、見直されているようで、
いまDeNAのサイトに載っているものとは文言が異なります。
https://dena.com/jp/company/policy/
創業当時は睡眠時間が1日1時間(しかも移動中のみ)だったり、
会社に泊まり込んだなどというハードワークのエピソードが出てきて、
それでも開発完了の日にプログラムのコードが1行も書かれていなかったなどの失敗もあったそうです。
また、本書の登場人物の1人は40代、1人は50代で亡くなられています。
自分には到底真似できません。
・立ち上げメンバーを口説くときに、板倉雄一郎著「社長失格」を渡した
・マッキンゼー時代の上司は大前研一氏
・プロ野球参入は元会長の春田真氏
などのエピソードがあり、それぞれの書籍が家にありますので、
おいおい読み直してみます。