「二塁手論」
井口資仁著、幻冬舎新書、2010年7月
日米のプロ野球で活躍し、現在はロッテの監督を務める井口資仁が、
自身の体験を踏まえて野球だけでなく人生について語った書籍。
2010年、米メジャーリーグから日本のロッテに戻ってきて2年目、
まだ現役バリバリの時に出版されています。
まえがきで、「盗塁」と「セカンド(二塁手)」が野球の面白さ、人生の楽しさを教えてくれたと言っています。
第一章は「盗塁」について。
以下の3点の記述が印象に残りました。
・盗塁するために配球を読むようになって、打席での配球の読みがより正確になった
・デッドボールで出塁した時には、ピッチャーはめったなことでは牽制してこない
・地味でも小さくてもいいから、その目標を達成するために自分のやるべきことを毎日積み重ねていくこと
第二章はセカンドの難しさについて。
プロ入りしてからセカンドを守るようになり、難しさや得たことを書いています。
最後の2行が野球選手とは思えないほど哲学的なので、そのまま引用します。
「セカンドは今や僕のアイデンティティになったけれど、それは僕の内側にあったものではない。
セカンドの技術を磨くことで、僕がセカンドになったのだ」
第三章は主にバッティング論。
技術的には引きつけて打つことについて語っています。
また、野球に限らず助言することされることの難しさを述べていて、
2010年時点で指導者としての資質を感じさせます。
第四章はメジャーリーグでの経験。
栄光を掴んだけれど苦労の方が多かったそう。
第五章は人生論。そのまま引用します。
・自分という道具を使って、いかに楽をして最大限の効果を引き出すかを考える
・短所を矯正するよりも、長所を伸ばす方がずっと効果的
・今日という日をどれだけ大切に過ごすかで、人生の意義が変わる。人に与えられた時間は平等なのだから
・(井口にとって)ボランティアは、自分の仕事がこの社会とつながっているということを実感させてくれるものでもある。
そういう意味では、自分のためにボランティアをしている
2018年井口がロッテの監督になってから、
選手やコーチが集まり、若手が育っているのも納得です。
万人に受け入れられるのは不可能で、離れていった人もいますが。