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拉致の解決を願って
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情と運動

2005-07-05 | アンデスの声さん投稿集
~座り込み後の運動を見据えて~                 2005年7月 5日(火)

私の親は戦後焼け出されて無一文・ゼロから始めたサラリーマン、子に残す資産も無く、わずかな年金で細々と暮らしている。その息子の私も40歳台半ばで持ち家もなく、高・狭・遠の賃貸マンション住まいで金のかかる中~高校3人の受験期の子供を抱え、日々汲々の生活だ。先日帰省したとき老いた両親に向かって「俺がもし外地で何かあったら、子供達はみんな退学・就職だな」とこぼしたら、父が「馬鹿ぬかせ、ワシらの食い扶持削ってでも孫にそういう思いはさせん、心配するな」と言い切った。自分の昔の苦労を無にしたくない、怨念に近い思いもあるのか。親が子を、孫を思う気持ちは誰も同じようなものだろう、だから拉致被害者家族が座り込みに至った姿に、つい自分の親の心境を重ねてしまい、私はたまらない気持ちになった。今の我々を突き動かしているのは、人間として内面から自然に沸き起こる情である。

しかし残念ながら、情だけで運動はできない。情が強いほど、危険性が高いほど、その行動には冷徹な判断と現実的な対応・采配が必要だ。1997年4月22日の夕方、日本大使公邸がいきなり爆音とともに銃声と煙に包まれたのを目の当たりにしたとき、「これで人質の大半は死んだな」と考え、全身総毛立つ緊張感の中で我々がまず行なったのは、人質家族の精神的保護とマスコミからの隔離、そして葬儀の手配だった(結果は奇跡的に日本人全員無事だったが・・・・)。救う会のリーダーの方々は何十年も運動の世界の裏表に通じてきた、いわばプロだから、運動論の技術的な部分はお任せし、我々はそのペダルを漕ぐ燃料補給となるべく情の補充拡大につとめたい。が、妙な動きにはカナリア役として、監視の目は怠らないようにしたい。

自ずと沸き起こる情では無く、理想・理念・理屈から麻薬のようにバーチャルな情を掻き立ててくれるのが宗教やイデオロギーだ、私はそういう、簡単に訳知り顔で利いた風な口を利く連中とその世界が嫌いだが、いざ運動となるとそういう組織のほうが強い。拉致事件を創価学会や左翼団体が本気で取り仕切れば、官邸・総連の糾弾行動も人間の鎖もとっくに完了し、動員数もマスコミ報道も総理コメントもこないだの座り込みの数倍あったかもしれない。しかし、この拉致問題は既成の日本式思想運動組織では根本的に解決しない、拉致被害者奪還運動は、我々日本人が自分たちの心の底に流れる人間の良心を掘り返し、それを、これからの子供達に伝えてゆく、大切な試金石でもあるように思う。

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