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年の終わりに想う

2005-12-31 | アンデスの声さん投稿集
アンデスの声  投稿日:12月31日(土)

新年を外地で迎えるのは11度目である。暦の違うイスラム国は別として、欧米圏でも祝い騒ぐのは深夜12時だけ、家に親族知人が集まり時報を合図にクラッカーを鳴らし、男同士は握手し肩をたたき合い、女とは抱擁・キス、そしてシャンパンで乾杯、通りでは爆竹・花火・クラクションが鳴る、で、おしまい。華やかさだけでなく、清々しく厳かな心持ちで新年を迎える日本人の精神とはだいぶ趣が異なる。私は外地にいるときは現地方式につきあうが、夜中12時なると心の中に除夜の鐘が聞こえ、幼い頃の記憶、焚き火にあたりながら鐘を打つ順番を待つときの、凛然とした寺の境内の空気の感触が蘇る、それが、私の身体に流れる日本人の血だ。

ちょうどNHK紅白が始まった頃だが、当地はまだ31日の早朝、例年だと今日まで通常業務だが今年の今日は土曜で休みだから、これより部屋の大掃除をやる、ゴミやホコリが溜まったままじゃ新年を迎える気分にならぬ、が、周りの家の窓にはまだクリスマス飾りが残り“Feliz Navidad y Prospero Año Nuevo (= Merry Xmas & A Happy New Year)”のプレートが下がる、当地ではクリスマスから新年はケジメなくズルズルと過ぎてゆくものらしい。外地にいると日本では意識しなかった自分の中の日本人が顕れることがしばしばある、それを自覚しさらに日本にこだわり祖国と家族を懐かしむ。自分の意志で外地にいて自由に行動できる私ですらそうである。ましてや強引にさらわれ何十年も異国の地に閉じこめられ命を脅かされて続けている北朝鮮の日本人たちは、この新年を、いま、どこで、どんな想いで迎えようとしているのだろう。

「すべて話した」と語った蓮池さんたちは実行犯の名前も日本政府当局に話していた、そしてそれがなぜか今になって表に出た、下手をすれば自分の命の危険に関わる情報を、信ずべき頼るべき日本政府に伝えたあと、彼等はどのような気持ちで日本政府の対応を見守ってきたのだろう、普通なら武力行使も当たり前の国家犯罪であり、主犯も犯罪組織も特定され実行犯も判っているのに、いまだに誰も逮捕も断罪もされず責任すら取っていない、犯罪組織も犯人も幇助者もそのまま身の周り存在しているのである、これじゃポリさんご指摘の通り「全て一気に話せという方が土台無理」な話だ。帰国した被害者たちにとっては住む場所が北朝鮮から日本に変わっただけともいえる。ケジメがつかないまま、あと数時間で、ズルズルとまた新しく旧い年が始まる。

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先日一時帰国したときに(夏服のまま成田に降りたらどえらい寒くて震え上がった)、地元の若手郷土史家(一坂太郎氏)から聞いた話。

倒幕戦争に貢献した奇兵隊を長州藩は戊辰戦争が終結した明治二年に「目的は終わった」とあっさり解散し、不満で騒いだ兵士を自らの手で100名以上斬首刑に処している。幕末に命がけでロンドンに渡航した井上馨・伊藤博文は欧州列強の実力を知って急遽帰国し攘夷から開国に藩政方針を変えるべく命がけで訴えた。“そうせい候”と揶揄された毛利敬親も部下を信じ維新後は部下の決定に従い自分は隠居した。日露戦争を仕掛けた中心人物伊藤博文・山県有朋・桂太郎・田中儀一・児玉源太郎・乃木希典などは互いに幼な馴染み、いわば萩の町内会で日本の運命を決めあったようなものだが、特筆すべきことは彼らにはつまらぬ地元意識がまったく無く、伊藤は地元での演説で「長州藩への見返りなど一切考えぬ」と断言、その長州領民も日露戦争の日本海海戦で破れ海岸に流れついたロシア兵に食事を与え負傷兵を看護、敵兵に対しても敬意を払うこの姿勢はロシア本国に伝わり高く評価された、「正義」の摩擦は相手を認める努力無しには解決しない、日本人はこの100年の間にその大切な魂を失ったのではないか、等々。

一坂氏の話を聞きながら、国家民族の危機を前に冷静に情勢を読み命がけで対峙したかつての日本人と、現代日本人の“政治運動”の違いを思いました。㊨も㊧も運動が目的になるととたんに視野狭窄に陥ってしまう、今の日本人のほんとうの力は一見無気力無関心のような中間層にこそ潜在しているのではないか、亡国の芽は狭量な声ある声の中に芽生え、その声に中間層の声なき声が押し消された時に、国は滅びはじめるのではないか、と。

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