そうした中でですね、ただ呼びかけるだけではなく、もう少し具体的なことで、四つのことを私はここで提案したいと思います。
四つの学際というものを私は考えております。
やはり学問が、どんどん、どんどんビューロコラタイゼイションされていく、官僚化されてしまう。そういった中で、自分の分野だけ守っていれば良いんだと、自分の分野だけで業績さえあげていれば良いんだと、そうしたことが、こういった問題を作ってきたひとつの原因ではないかと考えています。
ですから学際的にやっていく。その場合に重要な4つの学際。
一つは、東アジア、東南アジアの人権人道をめぐる比較分析を行ってみようということです。
どうしてもこれは、口で言うほど容易なことではございません。
多言語、他宗教です。ですから一つの地域の専門というところにどうしても限界があると思うんですが、そこに踏み込んでいって、比較分析をしていかなければいけないと言うことです。
二番目は、第二の学際、これは、メディアとしての学問、媒体としての学術です。
こういった場をですね、学術という所から設けていくと言うこと、これは、大学やアカデミズムの一つの使命ではないかと思います。私は、この10何年か、多くの人権人道、NGOの方の活動の一端を--本当に私が見たのは一端に過ぎません--(見てきました。)
本当に皆さん大変なんですね。時間も、経費も、心も、多くのことが現場のサポートに費やされているわけです。ですから現場のサポートがあって、それを世に理解してもらうためには、レポートが必要ですね。でも、レポートの為には、レコードしなければいけない。
サポート、レコード、レポート、3つのことが必要なんですが、じゃぁ、レコードするというのは、何処が一番できるんだろうか?やはりそれは学術なんじゃないかなと。学術が、レコードの支援をする。そして場を作って、レポートをいろいろな現場の方にしてもらうということですね。学術はやはり、一歩さがる。レポートではなく、一歩さがる、そういった基盤を作っていこう、これがメディアとしての学問、媒体としての学問です。
さて残りふたつの学際。
理念としての学際です。
ひとつは、21世紀の内地雑居、そう言う状況になろうとしている。
日本は18組に一組が国際結婚なんですね。18組に一組ですよ。そして、1700万人 毎年毎年海外に行かれる日本人は1700万人です。日本に入国してくる海外の方は、毎年毎年、700万人以上です。すごい数の出入国が日本では起きているわけです。
私たちの社会は、どちらかというと民族の多様性を(認める意識は)余り低い(高くない)、そういうところで共同体の規範というものを考えてきました。ところが現実はそう言う状況ではなくなってきつつあるんですね。ですから、そういう状況に対して、今までの私たち日本の良いところを踏まえながら、新しい規範を考えていく必要があると考えています。
そして、これを人権問題という観点から考えれば、国際人権が、国内化するということ。
あともうひとつは、国内人権の国際化ということですね。国際人権と国内人権のふたつ、これが今どんどんクロスオーバーしていっているわけです。ですから(このふたつが)かさなりあったところで、私たちが新しい価値=その中で人が幸福になるための新しい価値というものを懸命に考えていく、そのきっかけを考えていく、そのための学際、それがですね、21世紀の内地雑居を考えるということ。
日本で起きていることが、アジアの多くの地域でも、おきているわけです。その起こって言うことを、レコードして、レポートしていく、その経済的な余裕があるのは、日本においてほかないと私は考えております。
そして最後にですね、人権人道のガバナンスという事を考えていかなければ、いけないなと思っております。一般に人間の安全保障という言葉、それから国家の安全保障という概念、この二つは、相対立するものと言うかたちとして使われることが多いと思います。
しかし私はこの二つを、相互補完的に考えざるを得ない状況になっていると思っております。
その限界状況で、様々な問題が起きているわけですね。
ですから、その中での相互補完的な状況=つまり双方にとってよりよいかたちを捜すと言うこと。これは、口で言うのは簡単ですが、現場で考えていくと、もういろんなものがぶつかっているわけです。国家の安全保障と、人間の安全保障というのは、様々なところで、もの凄く多くの争点がぶつかっております。
その争点を、どこかで、誰かがレコードして、そしてレポートして、そのための解決策を、みんなで頭を寄せ合って考えていくことが、絶対に必要なことであると、私は考えております。
今、申し上げました『4つの学際』というのは、私のほうからの提案でございまして、これから多くの方と意見を交えながら、よりよい方向へ行くように考えていきたいと思っております。
こうしたことに至った契機は、そもそも何なんだろうかと。これをもって最後のお話、結びにしたいと思います。そのことを北朝鮮の人権侵害問題なんですね。どうして、北朝鮮の人権侵害問題がアジアの問題へ発展するのか?発展せざるを得ないのか?
それはですね、強制収容所の問題、あるいは、今回集まった6つの団体、これは帰国事業の問題に取り組んでいる団体、脱北者の問題、拉致問題、そして強制収容所の問題、北朝鮮の民主化問題に取り組んでいる団体。こうしたすべての団体が共通して行き着いている、取り組んでいる、関わっていることがあるんです。
それは、あの北の国で何が起きているかを知るためには、脱北者の声、これがすごく重要な情報源なんですね。
何故、脱北と言う問題が起きるのか、脱北と言う問題は、何故脱北者難民になれないのかと言うことですね。そこが周辺国との関わりの問題になるわけです。今日来ている方々は、よくご存知だと思いますが、タイのバンコックに、北朝鮮からの脱北者、これは、1000人以上もいるわけですね。5000キロですよ、5000キロも逃げていくわけです。私たちがバンコックに行こうと思えば、往復でもわずか数万です。往復で10時間か12時間で済んでしまう。その距離を5000キロも越えてですね、何年もかけて、そして最初はたくさんいたのに、その僅かな生き残りの方がたどりついて、それで1000人いるわけですね。
ですから、北朝鮮の人権の問題は、東アジア、東南アジア全体の人権の問題として考えて行かざるを得ないのだということを、この6つの団体の方は、私が気づくよりずっとはやく気づかれていたわけです。
これが、本日、この『北朝鮮全体主義国家の実状を訴える六団体共同集会』、そしてそれを『アジア人権人道学会設立準備期盛会』として実施させていただいた理由でございます。
どうも高いところから僭越ながら失礼いたしました。
ご静聴いただきまして、ありがとうございます。
四つの学際というものを私は考えております。
やはり学問が、どんどん、どんどんビューロコラタイゼイションされていく、官僚化されてしまう。そういった中で、自分の分野だけ守っていれば良いんだと、自分の分野だけで業績さえあげていれば良いんだと、そうしたことが、こういった問題を作ってきたひとつの原因ではないかと考えています。
ですから学際的にやっていく。その場合に重要な4つの学際。
一つは、東アジア、東南アジアの人権人道をめぐる比較分析を行ってみようということです。
どうしてもこれは、口で言うほど容易なことではございません。
多言語、他宗教です。ですから一つの地域の専門というところにどうしても限界があると思うんですが、そこに踏み込んでいって、比較分析をしていかなければいけないと言うことです。
二番目は、第二の学際、これは、メディアとしての学問、媒体としての学術です。
こういった場をですね、学術という所から設けていくと言うこと、これは、大学やアカデミズムの一つの使命ではないかと思います。私は、この10何年か、多くの人権人道、NGOの方の活動の一端を--本当に私が見たのは一端に過ぎません--(見てきました。)
本当に皆さん大変なんですね。時間も、経費も、心も、多くのことが現場のサポートに費やされているわけです。ですから現場のサポートがあって、それを世に理解してもらうためには、レポートが必要ですね。でも、レポートの為には、レコードしなければいけない。
サポート、レコード、レポート、3つのことが必要なんですが、じゃぁ、レコードするというのは、何処が一番できるんだろうか?やはりそれは学術なんじゃないかなと。学術が、レコードの支援をする。そして場を作って、レポートをいろいろな現場の方にしてもらうということですね。学術はやはり、一歩さがる。レポートではなく、一歩さがる、そういった基盤を作っていこう、これがメディアとしての学問、媒体としての学問です。
さて残りふたつの学際。
理念としての学際です。
ひとつは、21世紀の内地雑居、そう言う状況になろうとしている。
日本は18組に一組が国際結婚なんですね。18組に一組ですよ。そして、1700万人 毎年毎年海外に行かれる日本人は1700万人です。日本に入国してくる海外の方は、毎年毎年、700万人以上です。すごい数の出入国が日本では起きているわけです。
私たちの社会は、どちらかというと民族の多様性を(認める意識は)余り低い(高くない)、そういうところで共同体の規範というものを考えてきました。ところが現実はそう言う状況ではなくなってきつつあるんですね。ですから、そういう状況に対して、今までの私たち日本の良いところを踏まえながら、新しい規範を考えていく必要があると考えています。
そして、これを人権問題という観点から考えれば、国際人権が、国内化するということ。
あともうひとつは、国内人権の国際化ということですね。国際人権と国内人権のふたつ、これが今どんどんクロスオーバーしていっているわけです。ですから(このふたつが)かさなりあったところで、私たちが新しい価値=その中で人が幸福になるための新しい価値というものを懸命に考えていく、そのきっかけを考えていく、そのための学際、それがですね、21世紀の内地雑居を考えるということ。
日本で起きていることが、アジアの多くの地域でも、おきているわけです。その起こって言うことを、レコードして、レポートしていく、その経済的な余裕があるのは、日本においてほかないと私は考えております。
そして最後にですね、人権人道のガバナンスという事を考えていかなければ、いけないなと思っております。一般に人間の安全保障という言葉、それから国家の安全保障という概念、この二つは、相対立するものと言うかたちとして使われることが多いと思います。
しかし私はこの二つを、相互補完的に考えざるを得ない状況になっていると思っております。
その限界状況で、様々な問題が起きているわけですね。
ですから、その中での相互補完的な状況=つまり双方にとってよりよいかたちを捜すと言うこと。これは、口で言うのは簡単ですが、現場で考えていくと、もういろんなものがぶつかっているわけです。国家の安全保障と、人間の安全保障というのは、様々なところで、もの凄く多くの争点がぶつかっております。
その争点を、どこかで、誰かがレコードして、そしてレポートして、そのための解決策を、みんなで頭を寄せ合って考えていくことが、絶対に必要なことであると、私は考えております。
今、申し上げました『4つの学際』というのは、私のほうからの提案でございまして、これから多くの方と意見を交えながら、よりよい方向へ行くように考えていきたいと思っております。
こうしたことに至った契機は、そもそも何なんだろうかと。これをもって最後のお話、結びにしたいと思います。そのことを北朝鮮の人権侵害問題なんですね。どうして、北朝鮮の人権侵害問題がアジアの問題へ発展するのか?発展せざるを得ないのか?
それはですね、強制収容所の問題、あるいは、今回集まった6つの団体、これは帰国事業の問題に取り組んでいる団体、脱北者の問題、拉致問題、そして強制収容所の問題、北朝鮮の民主化問題に取り組んでいる団体。こうしたすべての団体が共通して行き着いている、取り組んでいる、関わっていることがあるんです。
それは、あの北の国で何が起きているかを知るためには、脱北者の声、これがすごく重要な情報源なんですね。
何故、脱北と言う問題が起きるのか、脱北と言う問題は、何故脱北者難民になれないのかと言うことですね。そこが周辺国との関わりの問題になるわけです。今日来ている方々は、よくご存知だと思いますが、タイのバンコックに、北朝鮮からの脱北者、これは、1000人以上もいるわけですね。5000キロですよ、5000キロも逃げていくわけです。私たちがバンコックに行こうと思えば、往復でもわずか数万です。往復で10時間か12時間で済んでしまう。その距離を5000キロも越えてですね、何年もかけて、そして最初はたくさんいたのに、その僅かな生き残りの方がたどりついて、それで1000人いるわけですね。
ですから、北朝鮮の人権の問題は、東アジア、東南アジア全体の人権の問題として考えて行かざるを得ないのだということを、この6つの団体の方は、私が気づくよりずっとはやく気づかれていたわけです。
これが、本日、この『北朝鮮全体主義国家の実状を訴える六団体共同集会』、そしてそれを『アジア人権人道学会設立準備期盛会』として実施させていただいた理由でございます。
どうも高いところから僭越ながら失礼いたしました。
ご静聴いただきまして、ありがとうございます。