昨日、料理の食材に鶏むね肉を使うと書いたが、むね肉はササミやもも肉よりも値段が一般的に安いし、実は、バテやすい体によい成分が他の部位に比較して一番豊富にあるのだという。
小生がむね肉を使うのは、主にアドボを作る時だ。アドボっていうのは、フィリピンの代表的国民料理の名で、アドボ(Adobo)という言葉は「煮物」という意味だ。だから、鶏肉のアドボは正確にはアドボン・マノック(チキン・アドボ)、これが豚肉だとアドボン・バーボイとなる。酢や醤油、ニンニクを利かせた「煮込み」料理なのだ。
フィリピンは東南アジアにあるので、多くの日本人はタイやインドネシアのように香辛料の効いたスパイシーな辛い料理が多いと思いがちだ。しかし、実は、辛い料理はほんの一部の地方にしかないのだ(ルソン島の南端のほそい半島にあるビコール地方のビコール・エクスプレスという唐辛子の効いた料理だ。辛くて急行列車のように走り回るからだろうか)。それどころか、どちらかというと沖縄や日本のように、塩、しょうゆ、魚醤などで味付けした親しみやすい味なのである。それに、日本人は魚や米食が日本人の特権のよう言うが、フィリピンの人のほうが魚や米をより多く食べていると思う。地理的に九州の下は沖縄、沖縄のすぐ下は台湾、そして台湾のすぐ下がフィリピンであることからも、なぜか頷けるというものだ。
さて、なぜ小生がアドボを知っているかというと、実はもう10年以上前になるが、仕事で通算5年ほど首都メトロ・マニラに住んでいたことがあるからなのだ。日本より気温の高いフィリピンでは、いつも小生は酸っぱいものを食べたくなる傾向にあった。日本に帰ってからも夏はそうだ。酢豚をよく食べていた。酢は爽やかな口当たりだし、夏の疲れた体が食べてくれと要求してくるのだ、なぜか。
フィリピンのアドボは、ニンニクと油で手羽先肉を炒めたあと、玉ねぎを加えて炒め、それに酢と醤油とコショウを加え、水分が飛びやや粘りが出るまで煮込む。野菜はあまり入らない(フィリピンは今でも野菜がべらぼうに高い。庶民はビタミン類は豊富な果物類で摂るほうが経済的なのだ)。
日本での小生は、野菜をたっぷり加える。玉ねぎの他に、ニンジン、きのこ、枝豆、ミックスベジタブル、オクラ、ナス、じゃがいも、さやいんげん、刻みネギなども入れる。
それにゆで卵は絶対に入れる(味が染みて、タラガン マサラップ ナマ~ン。本当においしいのだ~)!!
味付けは、酢と醤油がフィリピンのものと違うので、それらに顆粒ダシと砂糖を加えて味を調整する。もちろん、にんにくはたっぷり入れるし、それ以上に黒コショウを入れると風味が増すのだ。
もともとスペイン料理のアドバード(肉の漬け焼き)が起源だ。
できたアドボは、平皿に白米(あるいはガーリックダイス)といっしょにのせて、ごはんと少しずつ混ぜながら食べるのがいい。
もちろん小生は白米は食べないので、その代わりにやはり豆腐をのせるのであった(嬉)。
どなたか、ぜひ一度作ってみて、感想でも聞かせてくださいネ。
左の丸いものがゆで卵。上の白いものは、白米代わりの豆腐。
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