前方から20代前半くらいの男性2人が歩いてくるのが見えた。2人共膝上丈の短パンを履いていて、足元は素足にスニーカーと革靴で決めている。いやいや、静岡のお洒落レベルは随分と上がってきたなぁと感じた。それと同時に「膝上丈の短パンは下手するとホモっぽく見えちゃうな」と思い、その事を嫁さんに話すと、「何言ってるの?あなたの方がよほどホモっぽいよ」と言うじゃないの!
まさかと思い、ショーウィンドウのガラスに映る自分の姿を見てみると、そこには膝上丈の短パンと素足にエスパドリーユ。白の長袖シャツの袖は少し折り返し、首からストールを垂らし、面長の顔に整髪料で整えられた短髪の男が映っている。
どこかで見た事のあるその風貌。いや、もちろん自分自身の姿なのだから当然なのだけれど、それだけでは説明し得ないこの既視感……そう、その姿はまさにクリス松村そのものだ!!
歳を重ねるごとに派手な色を好むようになり、センスがどぎつくなっていくので、てっきり志茂田景樹ルートに乗ったのかと思っていたが、気付けばクリス松村ルートに変更されていたようだ。
自分を客観視する事の難しさは重々承知していたつもりだが、恐らくオレはクリス松村似の人として見られていたのだろう。最近ランニングの頻度が増えたため、程よく筋張ったふくらはぎがよりクリス松村感を醸し出す。 ちなみに嫁さんは以前からオレがクリス松村ルートに乗っている事は気付いていたが、面白いので放置していたとか。
この日は散々「クリス、クリス」と嫁さんに言われたが、一つだけ言わせてらおう。「嫁よ、そのクリス松村がお前の旦那だぞ!」
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