「ねこのミル」2話目です
私が大きくなると、ミルの好きな草を取ってきたり、ミルの好きなボールを目の前で転がしたりして遊びました。
一緒に寝ころがって眠ったり、お母さんがミルを抱っこして少しだけ外を散歩したりもしました。
ミルのまっ白な毛はフワフワで柔らかく、太陽の光に当たると輝いて、とてもきれいでした。
その毛は毎年、春が終わる頃から、たくさん抜けます。お母さんは猫のブラシでとかして「うわーうわー、今日も大量。」と言いながら私に「いる?」とミルの抜け毛をみせてきます。
私は欲しいような気がして、いつも「いる。」と言ってもらうのだけど、いつのまにかどこかに消えてしまいます。
お母さんはミルの爪も切ります。
パチンパチンとミルの爪を、お母さんは上手に切ります。ついでに私の爪も切ってもらいます。
私のいらなくなった爪と、ミルのいらなくなった爪、同じ爪だけど違う形の爪は、仲良く一緒にゴミ箱いきです。
ミルのいる毎日は、楽しい毎日でした。
ミルの柔らかくて温かな体をなぜると、ミルは目を閉じてゴロゴロとのどを鳴らしていました。
ミルはとても美しい、ねこでした。
私がもっと、どんどん大きくんなっていくと、ミルは寝ていることが多くなりました。
小学2年になった頃だったと思います。
「ミル、また寝てるー。」と私が言うと、お母さんは「ミルは年をとって、おばあさんだからね。」と言いました。
私はびっくりしました。だって私はまだ、こんなに小さな子供なのに。
お母さんから、ミルは私より3コくらいお姉さん、と聞いていたから、3コ上なら、まだ小学生です。
「ねこと人間の年のとりかたは、違うからね。」とお母さんは言います。
でも、やっぱり、ミルがおばあさんだなんて、まったくわかりませんでした。
ミルはきれいでかわいくて、美しいままのミルでした。
だけどお母さんの言うとおり、ミルは、私もお母さんも追いこして、どんどんと年をとっていったのです。
もとから悪い後ろ足は、さらに固まっていくようで、私が小学生の3年・4年と大きくなるにつれて、ミルは歩くのや段差をこえるのが大変そうになりました。
そして私は自分のことや、お友達との約束なんかでいそがしくなって、ミルとすごす時間は少なくなっていきました。
つづきます~~~