6月3日~5日にかけて全日本鍼灸学会学術大会東京大会が開催されました。
リアルな会場参加はできませんでしたが、アーカイブ配信といって
インターネット環境させあれば7月10日までは全プログラムを自由に
聴くことができます。便利な世の中になったものです(*^^)v
まず聴きたかったのはこのプログラムです。
発表者は東京有明医療大学 保険医療学部の松浦 悠人先生です。
今や心の風邪と揶揄されるくらいに市民権を得た「うつ病」。
そのくらい悩んでいる方が多いということですね。
私の治療院にもたまに来ますが、今一つ確信が持てずに
治療していましたがこのプログラムを聴いてエビデンスがあると
わかったので今後は自信をもって治療していきたいと思います。
講義のポイントは下記のとおりです。
1.海外での鍼灸治療エビデンスでのまとめ(中国からの論文が多い)
①鍼治療はシャム鍼(偽鍼)治療より効果あり
②頻回の治療と治療総数が多いほど効果大
③うつ病の一歩手前のうつ症状にも効果が期待
④薬物治療だけより鍼灸治療との併用で効果大
2.日本での臨床研究のまとめ
①標準治療(薬物治療)への鍼灸上乗せにより、うつと不安症状が軽減。但し、効果発現には最低8回の治療が必要。
②鍼治療期間中、身体症状特に肩こりと不眠は早期から減った。
③鍼治療の一例:注)この方法が最適であるとはまだ言えない
・使用経穴は基本穴(百会、内関、足三里、三陰交、太衝、風池、心兪、肝兪、脾兪、合谷)+個々の身体所見に応じた経穴
・治療頻度:週一回
・使用鍼:患者の病態、症状、体調に応じて選択
・刺激方法:置鍼または鍼通電
・刺鍼時間:10~15分
④鍼刺激による脳血流の変化のまとめ
・うつ病と健常者では鍼刺激による反応が異なった。
・うつ病では左背外側前頭前野(認知や意欲、判断に関するエリア)や偏桃体(恐怖・不安などの情動に関するエリア)などの病態部位が正常に近づく反応であった。
・鍼刺激はうつ病の病態改善に寄与し、症状を軽減している可能性が示された。
何といっても鍼刺激が末梢神経経由でうつに関連する脳エリアの血流を正常化しているというエビデンスが分かったのが収穫でした。
これからは自信をもって治療したいと思います!(^^)!