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「第34課 エゼキエルとダニエル」『旧約のはなし』浦川和三郎司教
148 エゼキエル預言者
今度はバビロンに囚われたユダ国民のなれの果てを覗いてみることにいたしましょう。ユダ国がいよいよ滅び、民はバビロンに引かれ行くことになった際、彼らの主の御憐みを説いて信頼の念を起させるがために遣わされたのは、エレミアとエゼキエルとダニエルの3預言者でした。
エレミアがエルサレムにおいてどんなひどい目にあったかということは、すでに申し上げたとおりであります。エゼキエルはエコニア王と共にバビロンに送られ、コバル河(ユーフラテス河に設けてある運河)のほとりに住んだものでした。神様は彼にいろいろの幻影を現して、ユダ国の滅びは、民の罪によること、しかしやがて敵国は滅び、ユダ国民はかえって主の御憐みをこうむり、本国へ帰るべきことをお告げになりました。
あるときなどは、枯れ果てた人の骨がいっぱい散らばった広い原に彼を連れ行き、その骨に肉がつき、皮ができるように命ぜよと仰せになりました。そのとおりに命じますと、たちまち大きな音がして、散らかっていた骨は一つに寄り添って互いにつながりあい、それに肉がつき皮ができ、息がもどって、夥しい人数となりました。この枯れ果てた骨こそ、ユダ国民で、今はまったく滅び失せて、希望も何もなくなったかのように見えていても、神様はやがてこれを墓の中から呼び起こし、本国へお還しくださるということを見せたものでありました。
149 ダニエル
ダニエルは、紀元前606年に囚われの身となった王族の一員で、アナニア、ミサエル、アザリアの3青年と選ばれて王宮に召し入れられ、バビロン流の教育を受けることになりました。ところで、その日々あてがわれる食物は、モーゼの律法に禁じたものでした。ダニエルらは、それを断然ことわり、そのかわりに水と野菜だけを与えてもらいたいと係りの人に願いました。
しかし、そんなものばかり食べていて、万が一、体が衰え、色でも悪くなるようなことがあっては、自分の首が危なくなるので、係りの人は、おいそれと聞きいれてくれません。「では、10日間試してください」とダニエルが言うものですから、そうしてみると、4人の顔は、ほかの人のにも優って美しく艶々しくなりました。学問の出来も非常によく、才智の鋭いといったら、驚くばかり、3年の後、ナブコドノソルは彼らを召しだして、その才学を誉め、4人とも高い位に取り挙げました。
150 スザンナ
囚われのユダ国民の中に、ヨアキムという富豪がいました。妻をスザンナと呼び世にも美しい婦人でしたが、しかし、容貌よりも心はなおさら美しく、深く神を畏れ、仮にも道ならぬことはいたしません。そのころ国民の間におこった訴えを裁くが為に二人の長老が選ばれていました。二人とも、心の腐り果てた人間で、スザンナがただ一人居る時をうかがい、これに近づいて悪いことをすすめ、聴かなければ自分たちが証人となって、姦淫の罪を犯す現場を見届けたと訴えるが、それでもよいかと脅しました。スザンナは困りはてました。
しかし、無実の罪を負わされても仕方がない。神様にだけは背いてはならぬと決心して、きっぱりと彼らの悪い勧めを退けました。果たして二人は翌日、スザンナを人々の前に呼び出し、自ら偽りの証人となって無実の罪を負わせ、これに死刑の宣告をくだしました。スザンナは天をあおぎ、大きな声して神様にわが身の潔白を訴えました。
スザンナがいよいよ刑場へ引き立てられるとき、ダニエルは神様の黙示によって、その無罪であることを知り、今の裁判に異議を申し立てました。そして、自ら民に推されて判事となり、二人の長老を引き分けさせ、一人づつ呼び出して口聞きをはじめました。どの樹の下でスザンナが罪を犯すのを見たかとダニエルに問い詰められて、一人は「乳香樹の下で」といい、一人は、「梅の木の下で」と答えました。二人の申し立てが食い違っているのをみて、民ははじめてその訴えが偽りであることを悟り、スザンナを赦してその二人を石殺しにしました。
151 ナブコドノソルの夢
ある夜、ナブコドノソルは不思議な夢をみましたが、朝になって一向それを思い出しません。よって、バビロンの学者たちを集めて夢とその意味を知らせよと命じました。でも、彼らにそんなことの出来ようはずがない。王は怒って彼らを残らず斬って棄てると言いわたしました。そのときダニエルが王の前に進んで猶予を請い、アナニア、ミサエル、アザリアと心を合わせて神さまに祈り、そのお黙示をこうむりました。
そこで、翌朝王に謁見して、夢とその意味を説明しました。 「王様の夢はこうでした。大きな高い像がありましたでしょう。その頭は純金で、胸と腕は銀、腹とモモは青銅、スネは鉄、足も一部は鉄、一部は土で出来たものでした。そのとき、人の手にきられない一個の石が山から転がってきて、その像の足につきあたりますと、像は砕けて鉄も青銅も銀も金も、たちまちこっぱみじんとなって風に吹き散らされ、影も形もとどめなくなりました。
そしてその像を打ち砕いた石はみるみる大きな山となり、全世界に充ち広がりました。」 「お夢はこれですが、今その意味を説明いたしますと、王様は、もろもろの王の王で、天の神様から国と勢いと権力と光栄をお授かりになったのですから、それこそ純金の国でございます。王様の後には、幾分劣った銀の国が起こり、またその次には青銅の国が出て世界を治めるでございましょう。第4の国は、鉄のように堅い国で、何でもかんでも打ち砕くのです。
しかし、その国にも土のように弱いところがある。統一がうまく行われません。山から転がってきた石とは、神様の国であって、この国だけは、すべての国を打ち砕いて全世界にひろがり、いつになっても滅びることがないのでございます。」滔々と少しのよどみもなく申し上げました。ナブコドノソルは、腹の底からダニエルの知恵の鋭さに感心し、挙げてバビロン全州の総督・学者等のかしらとし、アナニア、ミサエル、アザリアには、バビロン州の事務を司らせることとしました。
152 教訓
上記の4つの国とは、純金がナブコドノソルのバビロン国、銀がシルスのペルシア国、青銅がアレクサンダー大王のマケドニア国、鉄がローマ帝国を指したものである。その足が、鉄と土から成っていたのは、鉄のようなローマ帝国も、東と西に分かれて弱みを見せるところを示し、大きな山となった石こそ、メシアの国、すなわちキリスト教会にあたるのであります。
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148 エゼキエル預言者
今度はバビロンに囚われたユダ国民のなれの果てを覗いてみることにいたしましょう。ユダ国がいよいよ滅び、民はバビロンに引かれ行くことになった際、彼らの主の御憐みを説いて信頼の念を起させるがために遣わされたのは、エレミアとエゼキエルとダニエルの3預言者でした。
エレミアがエルサレムにおいてどんなひどい目にあったかということは、すでに申し上げたとおりであります。エゼキエルはエコニア王と共にバビロンに送られ、コバル河(ユーフラテス河に設けてある運河)のほとりに住んだものでした。神様は彼にいろいろの幻影を現して、ユダ国の滅びは、民の罪によること、しかしやがて敵国は滅び、ユダ国民はかえって主の御憐みをこうむり、本国へ帰るべきことをお告げになりました。
あるときなどは、枯れ果てた人の骨がいっぱい散らばった広い原に彼を連れ行き、その骨に肉がつき、皮ができるように命ぜよと仰せになりました。そのとおりに命じますと、たちまち大きな音がして、散らかっていた骨は一つに寄り添って互いにつながりあい、それに肉がつき皮ができ、息がもどって、夥しい人数となりました。この枯れ果てた骨こそ、ユダ国民で、今はまったく滅び失せて、希望も何もなくなったかのように見えていても、神様はやがてこれを墓の中から呼び起こし、本国へお還しくださるということを見せたものでありました。
149 ダニエル
ダニエルは、紀元前606年に囚われの身となった王族の一員で、アナニア、ミサエル、アザリアの3青年と選ばれて王宮に召し入れられ、バビロン流の教育を受けることになりました。ところで、その日々あてがわれる食物は、モーゼの律法に禁じたものでした。ダニエルらは、それを断然ことわり、そのかわりに水と野菜だけを与えてもらいたいと係りの人に願いました。
しかし、そんなものばかり食べていて、万が一、体が衰え、色でも悪くなるようなことがあっては、自分の首が危なくなるので、係りの人は、おいそれと聞きいれてくれません。「では、10日間試してください」とダニエルが言うものですから、そうしてみると、4人の顔は、ほかの人のにも優って美しく艶々しくなりました。学問の出来も非常によく、才智の鋭いといったら、驚くばかり、3年の後、ナブコドノソルは彼らを召しだして、その才学を誉め、4人とも高い位に取り挙げました。
150 スザンナ
囚われのユダ国民の中に、ヨアキムという富豪がいました。妻をスザンナと呼び世にも美しい婦人でしたが、しかし、容貌よりも心はなおさら美しく、深く神を畏れ、仮にも道ならぬことはいたしません。そのころ国民の間におこった訴えを裁くが為に二人の長老が選ばれていました。二人とも、心の腐り果てた人間で、スザンナがただ一人居る時をうかがい、これに近づいて悪いことをすすめ、聴かなければ自分たちが証人となって、姦淫の罪を犯す現場を見届けたと訴えるが、それでもよいかと脅しました。スザンナは困りはてました。
しかし、無実の罪を負わされても仕方がない。神様にだけは背いてはならぬと決心して、きっぱりと彼らの悪い勧めを退けました。果たして二人は翌日、スザンナを人々の前に呼び出し、自ら偽りの証人となって無実の罪を負わせ、これに死刑の宣告をくだしました。スザンナは天をあおぎ、大きな声して神様にわが身の潔白を訴えました。
スザンナがいよいよ刑場へ引き立てられるとき、ダニエルは神様の黙示によって、その無罪であることを知り、今の裁判に異議を申し立てました。そして、自ら民に推されて判事となり、二人の長老を引き分けさせ、一人づつ呼び出して口聞きをはじめました。どの樹の下でスザンナが罪を犯すのを見たかとダニエルに問い詰められて、一人は「乳香樹の下で」といい、一人は、「梅の木の下で」と答えました。二人の申し立てが食い違っているのをみて、民ははじめてその訴えが偽りであることを悟り、スザンナを赦してその二人を石殺しにしました。
151 ナブコドノソルの夢
ある夜、ナブコドノソルは不思議な夢をみましたが、朝になって一向それを思い出しません。よって、バビロンの学者たちを集めて夢とその意味を知らせよと命じました。でも、彼らにそんなことの出来ようはずがない。王は怒って彼らを残らず斬って棄てると言いわたしました。そのときダニエルが王の前に進んで猶予を請い、アナニア、ミサエル、アザリアと心を合わせて神さまに祈り、そのお黙示をこうむりました。
そこで、翌朝王に謁見して、夢とその意味を説明しました。 「王様の夢はこうでした。大きな高い像がありましたでしょう。その頭は純金で、胸と腕は銀、腹とモモは青銅、スネは鉄、足も一部は鉄、一部は土で出来たものでした。そのとき、人の手にきられない一個の石が山から転がってきて、その像の足につきあたりますと、像は砕けて鉄も青銅も銀も金も、たちまちこっぱみじんとなって風に吹き散らされ、影も形もとどめなくなりました。
そしてその像を打ち砕いた石はみるみる大きな山となり、全世界に充ち広がりました。」 「お夢はこれですが、今その意味を説明いたしますと、王様は、もろもろの王の王で、天の神様から国と勢いと権力と光栄をお授かりになったのですから、それこそ純金の国でございます。王様の後には、幾分劣った銀の国が起こり、またその次には青銅の国が出て世界を治めるでございましょう。第4の国は、鉄のように堅い国で、何でもかんでも打ち砕くのです。
しかし、その国にも土のように弱いところがある。統一がうまく行われません。山から転がってきた石とは、神様の国であって、この国だけは、すべての国を打ち砕いて全世界にひろがり、いつになっても滅びることがないのでございます。」滔々と少しのよどみもなく申し上げました。ナブコドノソルは、腹の底からダニエルの知恵の鋭さに感心し、挙げてバビロン全州の総督・学者等のかしらとし、アナニア、ミサエル、アザリアには、バビロン州の事務を司らせることとしました。
152 教訓
上記の4つの国とは、純金がナブコドノソルのバビロン国、銀がシルスのペルシア国、青銅がアレクサンダー大王のマケドニア国、鉄がローマ帝国を指したものである。その足が、鉄と土から成っていたのは、鉄のようなローマ帝国も、東と西に分かれて弱みを見せるところを示し、大きな山となった石こそ、メシアの国、すなわちキリスト教会にあたるのであります。
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