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「第9課 ヨゼフ兄弟に売られる」『旧約のはなし』浦川和三郎司教

2018-02-28 01:27:34 | 新・旧約聖書まとめ
「第9課 ヨゼフ兄弟に売られる」『旧約のはなし』浦川和三郎司教

36 イスラエル人

 ヤコブは、またの名をイスラエルと称していたから、彼の子孫はイスラエル人と呼ばれるに至った。別に、ヘブライ人と言うこともある。彼らは一時カナアンの地を去ってエジプトに移住することになりました。今、その遠い原因を物語っておきます。

37 ヨゼフ兄弟に妬まれる

 ヤコブは多くの子どもを与えられた。男子ばかりでも12人から持っていました。末から2番目はヨゼフと呼び、気質は素直で、心は清く、しかも人並すぐれて利発な子でした。父もこの児をまたとなきものと思い、ヨゼフに美しい上着を着せて、何かにつけて他の子どもよりもかわいがったものであります。兄たちは、妬ましくてたまらない。これに加えて、ヨゼフは己の将来の運命を告げるのではないかと思われるような2つの夢を見ました。ひとつは、兄たちと畑へ行って麦をたばねていると、ヨゼフの麦束がっと立ちあがり、兄弟たちのがその周りを取り巻いてこれを拝んだというのでした。もう一つは、日と、月と11の星とが、ヨゼフの前にひれ伏した夢でした。星は兄弟にあたり、日と月は、父と母とをかたどったものである。
 この夢話をきいた兄たちは、いよいよヨゼフを憎み嫌い、今はもう優しい言葉さえ交わさなくなりました。

38 ヨゼフ売られる

 そうしている中に、10人の兄たちは、遠い北の方シケムの野に行って羊を牧することとなりました。ヤコブは、彼らの安否を気遣い、ヨゼフを見にやりました。
兄たちは、早速彼をひっとらえて上着をはぎとり、そこにあった空井戸に投げいれました。たまたま、エジプトに下る証人が、ラクダに乳香を負わせて、そのあたりを通りかかりました。4男が「殺すよりか、あの商人に売ろう。そのほうが、金にもなるし、我々の手も汚れないし、上策だよ」と言いだしました。皆が賛成したので、ヨゼフを井戸から引き上げて銀貨12枚で奴隷に売り飛ばした。それからヤギを殺し、その血をヨゼフの上着に塗りつけ、道で拾ったと言って、父の許へ送り届けた。ヤコブは、彼らの虚言を真に受けて、ヨゼフがいよいよ獣に食い殺されたものと思い込み、衣を裂いて泣き悲しみました。誰がなんといって慰めても、聞きいれませんでした。

39 ヨゼフの入牢

 エジプトへ連れて行かれたヨゼフは、その国の将軍プチファルという人に売られました。かねて心の清い、罪のないヨゼフのことですから、大そう主人の
御気に入り、その厚い信用を得、何から何まで一切一人で切り回すほどになりました。しかし、主人の奥方にあられぬ濡れ衣を着せられ、とうとう牢屋に
ぶちこまれました。でも、「正直の頭に神やどる」とはよく言ったものです。ヨゼフほどの人を、神様がお見捨てになるはずがない。
ここでも、老番頭に見込まれて、囚人の監督に挙げられました。

40 国王の近臣

 囚人の中に、国王ファラオの近臣が2人いました。ひとりは、「さかびとの司」で、もう一人は「お料理ばんの頭」でした。ある夜、2人とも不思議な夢を見たといって、よほど心配している様子です。「どんな夢?」とヨゼフに問われて、まず、「さかびとの司」はこう物語ました。「枝の分かれた1本のブドウの樹がありました。それがだんだん芽をふき、花を開き、実を結びましたので、私はその実をしぼって王様に奉ったのです。」ヨゼフは、その夢を次のように判断しました。「3の枝は、3日のことで、3日の後、王さまはあなたをもとの職に就けてくださいます。そうなりましたら、どうぞ、わたしのことを思いだして、王様に申し上げ、救い出してください。わたしは、何の覚えもない罪のために、こんな目にあっているのですから。」次に、「お料理番の頭」も自分の夢を語りました。「私は、頭の上に白いパン粉を3籠ほど乗せていました。一番上の籠には、王さまのためにこしらえたいろいろの料理も入っていたですのに空の鳥が来て、それを食い散らしてしまいました。」ヨゼフは、答えて言いました。「その夢の意味はこうです。3籠はやはり3日のことで、3日の後、王様はあなたの首を斬ってさおの上にさらし、空の鳥が来て、あなたの肉をつつくようになります」3日の後、果たしてヨゼフの言ったとおりになりました。しかし、「さかびとの司」は、わが身の幸福を喜んで、ヨゼフの頼みは、すっかり忘れてしまいました。

41 ファラオの夢

 それから2年ほどたちまして、今度は国王ファラオが夢を見ました。ニル河の岸に立っていると、肥え太った美しい7頭のメス牛が河から上がってきました。その後に、痩せこけた醜い7頭のメス牛がでてきて、前の肥え太ったメス牛を食ってしまったと見たとき、夢は破れました。それから、またうとうと眠っていると、今度は別な夢をみました。1本の麦に、目も醒めるくらいに実った穂が7つも出ていたのに、間もなくヒョロヒョロにしなびた7つの穂が出てきて、前の見事な穂を呑みこんでしまいました。2つとも不思議な夢です。何か意味があるらしい。
 翌朝ファラオは、国内の博識、占者などを呼び出して判断させてみたが、誰ひとりその意味を解き明かせる者がいない。そのとき、「さかびとの司」が、やっとヨゼフのことを思い出して、王さまにその旨を申し上げました。ファラオは、さっそくヨゼフを宮中に召しだして、ヨゼフに、2つの夢を物語りました。ヨゼフは、うやうやしく答えて申します。
「王様の夢は2つとも同じことを指すのでございます。7頭の肥えたメス牛と7の実った麦穂は7年間の豊作を示し、7頭のやせたメス牛と7のしなびた麦穂は、7年間の凶作を意味します。7年間というものは、エジプト全国は、非常な豊作つづきでございますが、その次には、かつてないほどの大凶作が7年間も続きます。でありますから、今のうちに、賢い腕ききの人を挙げて、豊作が続く間に、余った分を貯えおき、その次に来る7凶年のために備えをするがよろしいかと存じます。」
 ヨゼフの意見は、ファラオのお気に入りました。

 「いや、そなたほど賢い腕ききの人が見つかるだろうか。今からそなたをぬきんでてエジプト全国をつかさどらしめる。自分は、ただ王の位だけそなたの上にあるのだから、そう思ってもらいたい。」
と言って、直に、自分の指輪をはずして、ヨゼフの指にさし、身には美しい貴人の服をつけさせ、黄金の鎖を首にかけてやり、添え乗りの車にのせて都を乗りまわらせ、「エジプト宰相様じゃ、ひざをかがめい」と先払いに触れさせた。時に、ヨゼフは、年わずかに30歳でした。

42 教訓

 兄たちは、ヨゼフが偉くなってはと気遣い、ヨゼフを奴隷として売り飛ばしたが、それでヨゼフは一躍エジプトの大宰相となりました。彼らが押し下げようとしただけ、かえって高く上がりました。神様のおはからいばかりは、実に感心じゃありませんか。しかし、ヨゼフがそんなに偉くなったのも、つまり心の清く、行いの正しい、少しの非を打たれるところもない模範的青年だったからであります。



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