ちょっと、唐突に浮かんだので
文に起こしました。
短い話です。
短いからこそブログの方にあげるのですが、
一瞬、歌で妄想の方にしようか悩みました。
でも
こっちで行きます。
続きを読む設定できないので、
そのまま…。
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その夜は、少し冷たい風が吹いていた。
カーディガンを羽織りながら、蔵馬は部屋の鍵を閉めた。
結界を張っているとはいえ、反射的に部屋の鍵は閉めてしまう。
向かう先は一つ…。
魔界の、小さな丘の上だった。
幽助の国。
幽助が偶然見つけたというその丘は、とても高い場所に合った。
さすがに疲れる…と蔵馬は思った。
急な斜面をゆっくり歩いて登ると…幽助がいた。
「蔵馬!」
明るい声は、久しぶりの魔界で緊張感を持ってしまった自分を、
暖かく迎えてくれた。
幽助と…少し離れて飛影だけがいた。
「ほら、もうすぐ」
「え…?」
魔界に来ないかという誘い意外は聞いていない蔵馬は、
小さな声を返した。
「流星群」
上を指さして、幽助が言った。
震える肩を右腕で抱いて、蔵馬はもう一歩丘を登った。一瞬だけ、飛影が蔵馬を見た。
群青に近い魔界の空を、その星はゆっくりと流れていた。
「わ…」
それしか、声が出なかった。
煌めきと幻想を織り交ぜたような、星のかけらが見えた。
「綺麗…」
ありがちな言葉しか浮かばない自分が少し悔しくて、蔵馬は少し離れた場所にいる飛影を見た。
…あ。
とん、と言う衝動に、蔵馬はふと横を見た…幽助。
小突いたのは、幽助だった。
蔵馬の腕を小突いて、一歩、ある方向へ向かせる…一歩分間を開けている、飛影のほう。
「飛影…」
ゆっくりと近づくしか出来なくて、蔵馬は声をかけた。
そっと、飛影は蔵馬を見た。
蒼い瞳は燃えるような熱さを消していて、不思議な色をしていた。
なにを考えているんだろう。
「ほし…綺麗だね…」
「そうだな」
すかさず、声がかえってきた。…それだけで、やっぱり…胸が満たされる。
「来て…よかった…あなたが、こういうのに来るなんて」
声が弾むのも、自覚していても押さえられない。
「どうしたんですか…」
飛影の瞳がまだ真っ直ぐ蔵馬を見ていて、一瞬蔵馬は目をそらした。
「…いるから」
「え…?」
風が吹いて足が崩れる…飛影の声が遠く感じられて、思わず髪を押さえた。
「お前が来ると聞いたから」
もう一度、飛影の声がした。
「次は、俺がお前を星を見に連れて行く」
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