ノアの小窓から

日々の思いを祈りとともに語りたい

どしゃぶり、2

2014年08月22日 | 自然


     ある夏の日曜日、朝からどんより曇って、断続的に雨が降っていた。
     午後は豪雨になる予報の日、

     それでも、私は出かけたのです。
     デイトというほどではないけれど、お茶を飲む約束があったからです。
     神戸の繁華街三宮の喫茶店に入って、一時間も経った頃、
     突然、店内放送。
     「雨で、交通機関が止まるかもしれないので、閉店致します。」

     「えーっ!!」
     当時はありふれた名曲喫茶。
     そこは、半日でも過ごせるはずの場所だったので、お客はみんなブーイング。
      ぞろぞろと外に出て、びっくり。

      すでに、歩道にまで水が流れていて、バスも止っている。
      車は水しぶきを蹴立てて走っています。
      タクシーが奪い合いであるのは、一目瞭然。

      
      「送っていくよ」と、その人はけなげにも申し出てくれた。
      三ノ宮から北野町方面に上り、諏訪山の裾を通って西に向かう道は単純で、
      ふだんなら歩いても40分くらい。
      しかし、ゆるやか上り道はすでにかなりの勢いで水が流れており、
      みるみる水かさが増しています。
      消防団や自治会の人たちが出ていて懸命に道にひもを張り、
      通行人を誘導しています。
      当時のどぶや下水は、ちゃんとふたが閉まらない箇所などがあったので、
      人が落ちないように対策を講じているのです。

      水はすねをひたひたと洗い、間もなく膝上に上ってきそうな勢い。
      スカートをたくし上げ、でも、靴は脱がず(けがをするといけないので)・・
      さずがに緊張して一歩一歩進んでいきます。

      友達以上恋人未満の人であっても、「連れ」のありがたさは身に染みました。
      なんと、ほっそりした彼が、私の二の腕をずっとつかみ続けていたような。おかげで、
      滑ったり転んだりもせず、
      ようやく自分の家に通じる交差点に来たとき、
      傘を差し、犬を連れた父の姿が見えた。

      避難命令が出て、家族は小学校に避難していて、父は私を待っていてくれたのです。

      振り返ると、彼は、「では、これで、失礼します」
      とそそくさと、帰って行くところ。
      大丈夫かなあと思ったけれど、父の後について小学校の講堂へ歩いたのです。

      その時の、(自分だけ)ほっとした気持ちは忘れることができません。

      ゲリラ豪雨、本当に怖いのです。