「全地はあなたの前にあるではないか。
私から別れてくれないか。
もしあなたが左に行けば、私は右に行こう。
もしあなたが右に行けば、私は左に行こう。」
(旧約聖書・創世記13章9節)
これは、アブラハムが甥のロトに告げた言葉です。
ふたりは最初いっしょにハランからカナンに出てきました。ところが、ほどなく、
アブラハムもロトも豊かになり、おたがいの羊の草を取り合って、
それぞれの使用人たちが争うようになりました。
そこで、アブラハムはロトと別れ住むことを提案するのです。
ロトが見渡すと、ヨルダンの低地が広がり、どこまでも緑でうるおっていました。
ロトはヨルダンの低地を選び取って移動し、アブラハムは反対側を選ぶのです。
争いが起こったとき、このように相手に良いほうを取らせて別れることができたらいいですね。
これは、先史時代の豊かなカナンの話だと言えば、それまでですが、
目を上げて、「全地はあなたの前にあるではないか」と言っているこの光景にはため息がでます。
椅子取りゲームの世で、「あっちにも空の椅子がいっぱいあるよ」
と言えるのは、才能でしょうか。愛でしょうか。
それとも・・・・。