ノアの小窓から

日々の思いを祈りとともに語りたい

パリの思い出4

2014年09月15日 | 思い出



    空腹のパリ! その五日間のなかで、一度だけとびっきりおいしい料理に巡り会えました。

    まあ、いってみれば、ムール貝の鍋物。ムール貝だけを寸胴の鍋で煮たものでした。
    これもまた、場所も店の名前も思い出せません。
    にぎやかな通りで、近くに、なにか名所があったにちがいないのです。

    せっかくパリに来たのだからと、一応
    ルーブル美術館とほかの美術館、モンマルトルの丘、ノートルダム寺院
    ブローニュの森、それから、いくつもの雑貨屋さんやカフェへも行ったのです。


    どこかの横丁に入ったとき、
    その店が目についたのです。
    店の外にメニューが出ています。各料理の写真と値段もわかります。
    ムール貝の鍋物は日本円に直すと1500円くらいと素早く計算。
    昼ごはんにしては、予算オーバーだけれど、
    空腹には勝てない。鍋物・汁物・ぐつぐつ料理のイメージが私を店の中に引っ張り込んで。


    出てきた料理を見て、正直驚いた。しっかり深い寸胴の鍋いっぱいのムール貝。
    それにパンとフライドポテト。
    「これ、一人前?」と私は、英語で聞く。
     ウエイターは、「ウイ」と言ったような・・・。

    スープの良い香り、ほくほくと口を開いた貝のふんわりしたおいしそうな身。
    食が細いと自認している私が、猛然と食べ始めました。
    ぷくっとした身は柔らかいのに、中はアツアツで、薄味の汁は何とも濃いコクがある。

    ハンバーガーやバゲットやクロワッサンやサラダばかり食べていたのだから、まるで飢えているのです。

    ああ、しあわせ! 私もじつは食い意地が張っていたのだ…と喜びがあふれてきます。


    
             ★★  ★★  ★★



    食べても食べてもなくなりません。さすがに満腹。まだ、鍋の底にはかなり残っている。
    私は、残りの貝の数を数えます。十六粒です。メモを失ってもこの数ははっきり覚えています。
    ニンニクの切片が浮かんでいるスープを飲み、パンも少しはかじったけれど、
    あと十六粒はどうしても、入りそうにない。日本ならこれだけでも、結構な料理が作れるのに!!

    でも、満たされた私は、ほろ酔い気分で店を出たのです。
    歳月に洗われて、失われつつあるパリ五日間の思い出、
    一番克明に残っている記憶が、このムール貝かなあ。





    
    
        



    






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