我が家の庭にコオロギなる演奏家がいる。夜になると両隣や裏の家々の庭の秋虫達との合奏が始まる。最近はず~と彼らの奏
でる音楽を子守唄にして寝ている。紺色の時空にフェアリー達が、その合奏に合わせて魔法の粉を降り撒きながら、透明な声
で歌い舞っているような、贅沢な初秋の夜。月が徐々に消え、また姿を現し丸くなってゆく。次の満月の時、フェアリー達の
月明かりに照らされた輝く顔を見られるかも知れない。
庭の木槿の木は枯れて来ていたが、また枝の先から新しい芽を吹き、瑞々しい葉が育っている。今年の夏の暑さは植物達にも
応えたようだ。街の花には、蜜を吸いに来ている虫をよく見かける。本格的な秋が来るまでにと、急ぎ出したのかな。