<新型コロナ>埼玉知事会見 手話通訳なし 障害者団体など要望、応じず
2020年4月17日・東京新聞 朝刊
新型コロナウイルスを巡る都道府県の対応に注目が集まる中、埼玉県知事の記者会見に手話言語通訳者を配置するよう求める聴覚障害者団体などの再三の要望に県が対応してこなかったことが分かった。取材に県は年間3000万円の費用などを理由に挙げるが、7日に緊急事態宣言が発令された7都府県のうち配置していないのは埼玉県だけ。聴覚障害者団体は「命に関わる話だ。健常者と同様にリアルタイムで情報が欲しい」と訴えている。
県聴覚障害者協会によると、同協会は三月十日、聴覚障害者が知事会見の内容を理解できるよう手話言語通訳者の配置を求める文書を県に渡したが、回答がなかった。その後も度々要請したが、「検討中」のまま配置されなかった。
同月末、聴覚障害者で県庁で働く清水克彦さん(56)が、担当課に理由を聞くと「高額の予算がかかるため」と回答された。今月十日にも県に要請したが「ホームページの書き起こしを読んでもらえれば」と話したという。
手話を主言語とする人の中には文字の読み書きが苦手な人もいる。清水さんはこのままでは障害のある県民に情報が適切に届かないと危機感を持ち、同僚の聴覚障害者五人で十六日、一刻も早く手話通訳を付けるよう県に要望書を提出。「県には県民の命を守る責務がある」と訴える。
七日に緊急事態宣言が出された埼玉県以外の六都府県では、知事会見に手話通訳が付いている。このコロナ禍をきっかけに始めた自治体が多く、「聴覚障害者を含め、幅広い人にメッセージを届ける必要があるため」としている。
県は取材に、手話通訳の配置は検討してきたが、年間三千万円かかることや技術的理由で実施していないとし、大野元裕知事は十六日、「検討したいが、予算が必要なので議会と相談したい」とコメントした。
2020年4月17日・東京新聞 朝刊
新型コロナウイルスを巡る都道府県の対応に注目が集まる中、埼玉県知事の記者会見に手話言語通訳者を配置するよう求める聴覚障害者団体などの再三の要望に県が対応してこなかったことが分かった。取材に県は年間3000万円の費用などを理由に挙げるが、7日に緊急事態宣言が発令された7都府県のうち配置していないのは埼玉県だけ。聴覚障害者団体は「命に関わる話だ。健常者と同様にリアルタイムで情報が欲しい」と訴えている。
県聴覚障害者協会によると、同協会は三月十日、聴覚障害者が知事会見の内容を理解できるよう手話言語通訳者の配置を求める文書を県に渡したが、回答がなかった。その後も度々要請したが、「検討中」のまま配置されなかった。
同月末、聴覚障害者で県庁で働く清水克彦さん(56)が、担当課に理由を聞くと「高額の予算がかかるため」と回答された。今月十日にも県に要請したが「ホームページの書き起こしを読んでもらえれば」と話したという。
手話を主言語とする人の中には文字の読み書きが苦手な人もいる。清水さんはこのままでは障害のある県民に情報が適切に届かないと危機感を持ち、同僚の聴覚障害者五人で十六日、一刻も早く手話通訳を付けるよう県に要望書を提出。「県には県民の命を守る責務がある」と訴える。
七日に緊急事態宣言が出された埼玉県以外の六都府県では、知事会見に手話通訳が付いている。このコロナ禍をきっかけに始めた自治体が多く、「聴覚障害者を含め、幅広い人にメッセージを届ける必要があるため」としている。
県は取材に、手話通訳の配置は検討してきたが、年間三千万円かかることや技術的理由で実施していないとし、大野元裕知事は十六日、「検討したいが、予算が必要なので議会と相談したい」とコメントした。