点字ブロックを使った音声案内アプリ 視覚障害がある元エンジニアの男性が開発
2022年1月17日 06時00分・東京新聞
視覚障害がある元エンジニアの男性が、点字ブロックを活用した独自の音声案内アプリを開発した。ブロックの突起にはめ込んだ黒いリングの配置パターンをスマホのカメラで読み取って、現在地や自分が向く方向に何があるかなどを音声で案内する仕組み。屋内など衛星利用測位システム(GPS)が働きにくい場所でも使え、外国語で音声データを入力すれば外国人の道案内も可能。「障害の有無にかかわらず世界中の人に役立つ」という。
点字ブロック 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合(東京)によると、1967年に岡山県で初めて敷設。2001年に日本工業規格(JIS)が形状などを規定し、現在は世界各国に広がる。ルートを示す線状の誘導ブロックと警告ブロックからなる。東京メトロは昨年1月から、駅の点字ブロックにはったQRコードをスマホなどで読み取り、改札やトイレの位置などを音声で案内するサービスを始めた。現在は9駅で利用できる。
「ここはJR東京駅中央線ホーム、前は行き止まり、後ろは改札方面下り階段、右は2番線、左は1番線」。電車を降りると、ブロックを検知したスマホから音声案内が流れた。体の向きを180度変えると「前は改札方面下り階段、後ろは行き止まり…」と案内も変わる|。山梨県北杜市の芝田真さん(74)が開発したアプリは、こんなイメージで使うことができる。
仕組みはこうだ。分岐点や下り階段など注意すべき場所を知らせる正方形の「警告ブロック」の丸い突起に、8個の黒いリング(直径5センチ)をはめ込む。場所ごとにリングの配置パターンを変え、現在地と前後左右4方向の案内文をタブレットなどでサーバーに登録。ホームドアの有無なども入力できる。
ユーザーは、アプリを入れたスマホのカメラが足先を向く角度に、リュックの肩ベルトなどに留める。スマホが配置パターンを認識するたび、入力された案内文が流れる。
JIS規格では、警告ブロックの突起は最低で25個。芝田さんによると、8個のリングで455のパターンを作り、それぞれに異なる情報を登録できるようにした。仮に同じパターンのブロックが別の駅にあっても、GPSで区別して認識できる仕組みだ。
芝田さんは金沢市出身。長野県諏訪市の精密機器メーカー「セイコーエプソン」で研究開発に携わった。遅行性の網膜色素変性症で、視力を徐々に失い、今は道路の白線が辛うじて見える程度だ。
56歳で早期退職し、山梨県北杜市に移住。「視力を失っても自由に出歩きたい」と、既に視覚障害者のインフラとなっている点字ブロックの活用を昨年1月に思い付いた。元同僚の協力を得て4カ月ほどで完成。見た目から「パンダナビ」と名付けた。
昨年末、甲府市で視覚障害者約20人を集めた体験会では「スマホ操作が最小限なので便利」などと評判は上々。参加した男性は白杖はくじょうを手に「ここがどこで、どちらを向いているのかを知るのが重要。線路など行ってはいけない方向が分からないと生死にかかわる」と話した。
実用化に向けては課題もある。福祉用具の調査研究などを手掛ける公益財団法人テクノエイド協会(東京)の五島ごしま清国企画部長は「点字ブロックを敷設した役所や企業の理解がカギ。ブロックのメンテナンスや、情報をどこが管理するかという問題もある」と指摘する。
芝田さんはこの技術を特許申請し、協力企業を募っている。「観光地の道案内や自分の店への誘導などビジネス化もできる。世界に普及させるのが夢です」。芝田さんの連絡先は=電0551・45・7339。
2022年1月17日 06時00分・東京新聞
視覚障害がある元エンジニアの男性が、点字ブロックを活用した独自の音声案内アプリを開発した。ブロックの突起にはめ込んだ黒いリングの配置パターンをスマホのカメラで読み取って、現在地や自分が向く方向に何があるかなどを音声で案内する仕組み。屋内など衛星利用測位システム(GPS)が働きにくい場所でも使え、外国語で音声データを入力すれば外国人の道案内も可能。「障害の有無にかかわらず世界中の人に役立つ」という。
点字ブロック 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合(東京)によると、1967年に岡山県で初めて敷設。2001年に日本工業規格(JIS)が形状などを規定し、現在は世界各国に広がる。ルートを示す線状の誘導ブロックと警告ブロックからなる。東京メトロは昨年1月から、駅の点字ブロックにはったQRコードをスマホなどで読み取り、改札やトイレの位置などを音声で案内するサービスを始めた。現在は9駅で利用できる。
「ここはJR東京駅中央線ホーム、前は行き止まり、後ろは改札方面下り階段、右は2番線、左は1番線」。電車を降りると、ブロックを検知したスマホから音声案内が流れた。体の向きを180度変えると「前は改札方面下り階段、後ろは行き止まり…」と案内も変わる|。山梨県北杜市の芝田真さん(74)が開発したアプリは、こんなイメージで使うことができる。
仕組みはこうだ。分岐点や下り階段など注意すべき場所を知らせる正方形の「警告ブロック」の丸い突起に、8個の黒いリング(直径5センチ)をはめ込む。場所ごとにリングの配置パターンを変え、現在地と前後左右4方向の案内文をタブレットなどでサーバーに登録。ホームドアの有無なども入力できる。
ユーザーは、アプリを入れたスマホのカメラが足先を向く角度に、リュックの肩ベルトなどに留める。スマホが配置パターンを認識するたび、入力された案内文が流れる。
JIS規格では、警告ブロックの突起は最低で25個。芝田さんによると、8個のリングで455のパターンを作り、それぞれに異なる情報を登録できるようにした。仮に同じパターンのブロックが別の駅にあっても、GPSで区別して認識できる仕組みだ。
芝田さんは金沢市出身。長野県諏訪市の精密機器メーカー「セイコーエプソン」で研究開発に携わった。遅行性の網膜色素変性症で、視力を徐々に失い、今は道路の白線が辛うじて見える程度だ。
56歳で早期退職し、山梨県北杜市に移住。「視力を失っても自由に出歩きたい」と、既に視覚障害者のインフラとなっている点字ブロックの活用を昨年1月に思い付いた。元同僚の協力を得て4カ月ほどで完成。見た目から「パンダナビ」と名付けた。
昨年末、甲府市で視覚障害者約20人を集めた体験会では「スマホ操作が最小限なので便利」などと評判は上々。参加した男性は白杖はくじょうを手に「ここがどこで、どちらを向いているのかを知るのが重要。線路など行ってはいけない方向が分からないと生死にかかわる」と話した。
実用化に向けては課題もある。福祉用具の調査研究などを手掛ける公益財団法人テクノエイド協会(東京)の五島ごしま清国企画部長は「点字ブロックを敷設した役所や企業の理解がカギ。ブロックのメンテナンスや、情報をどこが管理するかという問題もある」と指摘する。
芝田さんはこの技術を特許申請し、協力企業を募っている。「観光地の道案内や自分の店への誘導などビジネス化もできる。世界に普及させるのが夢です」。芝田さんの連絡先は=電0551・45・7339。
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