スタッフのつぶやき

CIL東大和のスタッフが徒然なる日常をつぶやきます。時にズバっと斬りこみます!

アンテナを張って

2014-05-01 22:18:44 | インポート
「4/28から、東大和市の障害福祉課が1階から2階に移転します。」

4/1の市報で突然そう報じられました。

へ?へ??
何事!? (°□°

障害福祉課って、障害のある人たちが一番利用する窓口ですよ?
車いすの人とか、歩くの大変な人とか、いっぱいいますよ?

そんな人たちが、いろんな手続きをしなきゃいけなくなる度に、
毎回2階に上がっていかないといけない訳!?

どう考えたって、不便でしかない!

障害福祉課の窓口で理由を聞くと、

「現在の障害福祉課の両脇にある
生活福祉課(生活保護を扱う課)と子育て支援課が、
それぞれもっとスペースを拡大しなければならなくなったので、
ちょうど間に挟まれていた障害福祉課にどいてもらうことになった、
ということなんだよね・・・」

とのこと。

障害福祉課の主体性0・・・。

障害福祉課が2階に上がることで何かメリットがあるから、
という考えなら(そんなメリットひとつもないけど!)まだしも、
「ちょっとどいてくれる?」的な移転!

そんなことって、ある!?

「エレベーターを改修しましたから・・・」

→視覚障害の方も使いやすいように、
「2階です。」ってアナウンスするエレベーターになっただけで、
ストレッチャーは乗れない小さいエレベーターのまま。

「2階に上がれない方は、下の総合案内に声をかけていただければ
すぐに職員が下りていって、ご用件を伺いますから・・・」

→職員が下に降りてくればいいという問題ではないんです!

障害者が、
「こういうことに困っているので助けてほしい」
と伝えるために市役所の窓口に行く、ということだけでも、
ものすごい労力・精神力を要するんです。

そういうことは、なるべく避けて、
我慢できるところまで我慢しようと思ってしまうんです。

だからこそ、障害福祉課の窓口は、
限りなくアクセスよく、いつでもオープンな雰囲気を作り、
「気軽にちょっと立ち寄れる」場所でなければいけないんです。

それが!人気もない2階に移転だなんて!
サービス利用の抑制手段とも取れかねる事態!

何とかしなければ!

4/10(木)
東大和障害福祉ネットワーク役員会で、
緊急要望書の提出について合意を得る

4/11(金)
要望書作成→ネットワーク役員に回覧し、加筆修正

4/14(月)
完成版緊急要望書を、市内の障害福祉団体へ一斉FAX
賛同と連名を呼び掛け

4/15(火)
各団体から多くの賛同協力の返信

4/16(水)
21団体連名での緊急要望書を市長に提出
同時に、面会を要望

4/18(金)
市長秘書係から、4/22の面会打診連絡有
連名団体へ、面会参加への呼びかけ開始

4/21(月)
面会参加人数が16名に。

4/22(火)
いざ、市長に面会。

面会には、
聴覚障害の方、
手話通訳者の会の方、
視覚障害の方、
身体障害者、
知的障害の親の会、
重度心身障害児の親の方、
作業所の職員などが、
こぞって参加してくださいました。

そして、

もっと当事者の立場に立って考えてほしいこと、

「用がある人は2階へどうぞ」という状況は
障害者への抑圧につながるということ、

毎回人を1階に呼んでもらわなければならないということが
いかに障害者の尊厳を傷つけ、主体性を奪う行為であるかということ、

このような事態は、
ついこの間、やっと批准した障害者権利条約にも逆行しており、
福祉の後退でしかないということ

などなど、みんなから伝えました。

その後、市長から

「今日にでも、市長名で、移転撤回の文書を発送する。
移転のお知らせを出したところには、全て市長名の文書で通知する。
今回、軽率に決済の印鑑を押したことは反省している。
でも、皆さんの意見も聞いて、やっぱりおかしいと思ったし、
今後も、おかしいことはすぐに正していくという姿勢でやっていく。
今回は、ご迷惑をおかけしました。」

との連絡があったのです!

これもまたすごいこと!

市報にも出し、
年金や手当のお知らせにももれなく移転のお知らせが同封され、
市議会議員にも伝えられ、
相当周知が済んでしまった後での、移転撤回。

こんなこと、
今までの東大和市ではありえなかったことだと思うのです。
もう、ほとんど革命に近いと思うのです。

その勇気ある市長の決断に感謝。
(そもそも移転を決裁してほしくなかったけど・・・)


そして今回、私、市に対しても相当怒ってましたが、
市民に対しても
「何で動こうとしないの!?」という気持ちも強かったです。

4/1の市報を見て、
「え?なんかおかしくない?」
とまではみんな思っていたはずです。

なのに、抗議行動には発展しない。

今回、通訳者の会の人たちが、

「車いすの人たちは今後大変になるなぁ、
くらいにしか思っていなかった。
でも、ネットワークからまわってきた要望書を読んで、
あ、移転をするということは、うまく対応策を取ればいいということではなく、
障害者の存在に対する市の姿勢がどうかという問題だったのか、
と、気付き、反省させられたとともに、
ネットワークに所属することの意義をあらためて再認識し、
このような呼びかけをしてくれたことに対し、
ネットワークに感謝したい」

と言ってくれました。

今回のことは、
市への運動であったとともに、
市民への運動でもあったと思います。

東大和は何を言っても聞く耳を貸さない体制があまりに長く続いたので、
市民も声を上げることを忘れてしまっているんですね。

「なんかおかしい?」というアンテナが、錆び付いてしまって、
自分たちの人権が侵害されることに慣れてしまい、
それが当たり前になっているのではないでしょうか?

でも、今回のように、動いた成果が出る「成功体験」を積むことで、
市民へのエンパワメントになり、
自分たちから市政に関わり、
市を変えていく力を取り戻していけるはずです。

今回のことが、少しでも、アンテナの錆を落とすきっかけになれば、
と願ってやまないのです。

ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。

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