Hは勝負の世界で生きている。
彼は勝負の才能もピカイチだが、それ以上に優れた政治性を持っている。
彼の師匠のFも政治性に優れた人物だったので、彼の政治性は、師匠譲りのものなのかもしれない。
かつてHは、その世界の第一人者の争いを、先輩Tと争っていた。
Tはあと一期タイトルをとれば、そのタイトルの名跡を襲名できるので必死だった。
その頃、その勝負に興味のあった私が、テレビでTの顔を見たとき思ったことだが、Tの顔つきは尋常ではなかった。
きっとHも同じことを思ったのであろう。さっさと先輩Tにタイトルをとらせて名跡を襲名させ、先輩Tの恨みをそらせたのだ。
最近Hは、また同じ戦術をとった。
自分は勝負村の村長になり、最近赤丸急上昇付きのFにタイトルを譲ったのだ。
通算100期にこだわって、自分の息子世代の若者の鼻をへし折って恨みを買うより、今はやりのYouTubeで、その勝負事の普及をした方がましだと思ったのだろう。
そう考えると、Hの政治性は実に優れたものだと思う。
Hが年をとったときに、勝負村の村長を務めるのは、WかFのはずである。
そのとき冷や飯を食わされるよりかは、負けるが勝ちとうまく立ち回った方が利口だ。
さて、いつも思うことだが、私は人の指した手はわかる。
が、同じことを思いついて実行するだけの頭はない。
全くHの政治性には脱帽である。