巨樹に魅せられて

巨樹巡りを趣味としていますが、気がつくと神社巡り。その周辺の話題もココに書き留めています。

「子どものいた街」井上孝治写真集

2010-03-07 22:26:39 | ふるさと
河出書房新社(2001年発行)

昭和30年前後の九州、太宰府周辺で撮影された子どものいる風景を中心にまとめた写真集です。
カメラマンは生まれつき耳の聞こえない方だそうです。

土門拳氏の「昭和の子どもたち」の写真に魅せられました。

「なんて生き生きした表情をしているんだろう」

もっと彼ら(=自分の幼少期に重なりますが)の姿・顔を見たいという欲求がフツフツと沸いてきました。
そしてこの写真集に辿り着きました。
やはり生き生きとした子ども達がそこにいました。

不思議なことにいわゆる「カメラ目線」の顔がありません。
皆自然体で遊びに夢中になっています。
カメラを前にしても微塵の緊張感も感じられない・・・カメラマンのテクニックでしょうか。

写真集の表紙は男の子の道端遊びの定番「陣取り」です。
私もやりましたやりました!
大きな四角を道に描き、四隅に小さな陣地を描き、小石を指ではじいて3回で自分の陣地に帰ってくるのです。
うまく陣地に戻れれば、石の軌跡が新たな陣地となり広がります。

他にもいろんなことをして遊んでいる子ども達がたくさん写っています。
一人でいるのはつまらない、友達が数人集まればじゃれ合い、遊び始めます。
何でもいいんです。
みんなでいることが楽しそうです。

大人は働き、子どもは遊ぶ。

なぜこんなによい表情をしているんだろう。
守られている安心感と自由が与えられているからかな。

経験を積んだ兄貴や姉貴がついていて危ないことには目を光らせています。
「あれはダメ、コレもダメ!」という人はいません。
子ども社会のルールを実践で学び取っているとも云えますね。

今の子どもは安心を与えられず、自由も与えられない。
人生ってなんて窮屈なんだと感じているのか、天真爛漫な笑顔をみることが少なくなりました。

カメラマンの井上氏も昭和40年代に入り、街で遊ぶ子ども達の姿が減ってきたら写真を撮影しに出かける回数が激減したと記されています。




2 コメント

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井上孝治テレビ放映のお知らせ (井上一)
2011-02-12 00:11:02
はじめまして、ブログの井上孝治「こどものいた街」写真集のページを見つけメールしています、井上孝治の長男井上一と申します。

少し先ですが下記のテレビ番組が放送されます。


タイトル  NHK ETV特集 「思い出街が甦る」・~写真      家・井上孝治の世界~

放送日   2011年3月13日(日) 午後10時~
       11時(1時間)

放送局   NHK教育テレビ

ご覧いただけるとうれしいです。

井上一
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テレビ放映、拝見しました。 (管理人)
2012-03-20 09:25:25
管理人です。
遅すぎるレスになり申し訳ありません。

ご紹介のTV番組、拝見しました。
実際の順序は番組視聴が先なのでした。「あっ、この人の写真集、昔買って持っている!」と気づき本棚から引っ張り出してきたのです。

番組中の井上様のお姿も記憶に残っています。

いろんな情報を元に考えてみますと、最も日本で子どもが子どもらしかった時期は、昭和初期~戦後混乱期だったのではないでしょうか。

江戸時代までは、子どもには成長に応じた労働が当然のように課されてきました。
それが明治時代になり寺子屋から学校へ行くようになり、子どもの本業が家業の手伝いから勉強に置き換わり、昭和初期あたりから労働から解放されつつあったのではないかと考えます。
もちろん完全ではありませんが。

戦争の影がまとわりつくものの、子どもらしく伸び伸びと日々を送れた貴重な時代でした。

子どもが子どもらしい・・・これは子どもとして扱われた結果です。
可愛い子どもは可愛がられているから可愛い。
愛らしい子どもは愛されているから愛らしい。

その後、学歴社会に突入し、学校はふるい落としシステムに成り下がり、子どももストレスを抱える受難の時代になり現在に至ります。

理想の社会って、難しいですね。
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