巨樹に魅せられて

巨樹巡りを趣味としていますが、気がつくと神社巡り。その周辺の話題もココに書き留めています。

「神様の木に会いに行く」

2010-01-31 07:25:19 | 巨樹・巨木
高橋 弘 著、東京地図出版株式会社(2009年)

関東近郊の東京から日帰りで見に行ける巨樹82本を紹介する内容です.
著者は「日本の巨樹・巨木」というホームページも運営するスペシャリストだそうです.
本屋さんで見かけて、自分に馴染みのある巨樹がいくつか紹介されていたのでうれしくなり、購入するに至りました.
その樹木達とは・・・

■ 野の大クス
 樹周:7.5m、樹高:26m、樹齢:600年

 群馬県桐生市新里町にあります.
 子どもが小さい頃、温水プールの「カリビアン・ビーチ」へよく連れて行きました.
 その途中に看板が出ていて、あるときふと立ち寄ると森のような巨木が佇んでいました.
 その生命力に圧倒されました.
 以降、自分一人でも時々会いに行きます.
 「見に行く」というより「会いに行く」と云った方がしっくり来ますね.
 心が折れそうな時に癒しを求めて行くのかもしれません(苦笑).

 写真では、根元の幹しか写っておらず、残念ながらその傍らに立った時に感じる空気が伝わってきません.
 私自身が撮影した写真を載せました(本項の一番上↑)。幹の傍らに止めた車が小さく見えます。
 この手で樹に触れると「目先の小さなことにくよくよするなよ、もっと先を見てゆっくり進めばいいよ」と包み込んで語りかけてくれるような気がしてきます.
 巨樹・巨木の写真集はいくつか所有していますが、モノがモノだけに全体像が写されている画像が乏しく、実際に見た時の樹勢・迫力が感じられないのが玉にキズ.
 やはり現地へ出かけて行ってその息吹を感じることが正しい鑑賞法(?)だと思います.

 クスノキは映画の「トトロ」に出てくる大木というとわかりやすいかな.
 本の解説によると、この地はクスノキが生育できる北限に近く、これより北では育ちにくいとのことです.
 実は、私の家の庭にもクスノキを植えました.
 まだ4年しか経ってませんが、細かった幹が年々たくましくなっていきます.
 いつか大きく育ったら、ツリーハウスを造るのが夢。
 私自身、40歳代半ばを過ぎて体に老いを感じつつある日々ですが、何百年も生きる樹を見ている(見守られている)と心が和みます.


■ 榛名神社の矢立杉
 幹周:9.9m、樹高:43m、樹齢:1000年(!)

 群馬県高崎市榛名町・・・今は高崎市に合併されているんですね.
 榛名山の榛名神社と云った方がわかりやすい.
 榛名温泉を奥へ奥へと登り詰めた最後に榛名神社があります.
 1400年の長い歴史を持ち、雨乞いの神社として、また修験者の霊場として有名な神社です.
 その境内に佇む杉の巨木.
 今から15年ほど昔、前橋市に住んでいた頃、榛名は私の通勤路の一部でしたので何度か立ち寄ったことがあります。
 大きな杉の木がたくさんあって荘厳な雰囲気を漂わせていました.
 遠からぬところにある榛名温泉最奥の露天風呂も野趣溢れてよかったなあ。


■ 鑁阿寺(ばんなじ)のイチョウ
 幹周:8.6m、樹高:29m、樹齢:550年

 栃木県足利市の足利氏ゆかりのお寺にある大イチョウです.
 足利市民である私には小さい頃から馴染みの大樹.
 幼い頃親に連れられて遊びにきたり、学童時は写生に来たり、大人になって家族で訪れたり・・・.
 今は「足利学校」とともに中高年ハイカーで賑わっていますね.

 
 これらの樹は歴史をくぐり抜け、巨樹の称号を獲得して生き残ったツワモノ達です.
 立地も幸いして保護対象になっています.

 しかし、街中の巨樹達は受難の時代.
 私の勤務先の街では、道路沿いの巨木はその大きさと落ち葉のせいで邪魔者扱いされがち.
 立派な樹だなあ・・・と眺めていたら、あるときバッサリ切られた無惨な姿に出会うことも稀ではありません.

 先日「河北新報」という東北地方の新聞に「街路樹として植えられたケヤキが大きくなり過ぎて邪魔になり伐採されそう」という記事を見つけました.
 人間の都合で植えて、人間の都合で伐採する・・・バチが当たりそうですねえ.

 人間の祖先はサルですから、樹木が無い生活には馴染めません.心が不安定になります.
 コンクリートの檻の中で育ったチンパンジーは子育てができないそうです.
 人間も同じでしょう.
 里山風景を見ると郷愁感を覚えるのは自分の経験だけではなく遺伝子に組み込まれた記憶ではないかと思うことがあります.
 緑の中で心穏やかに過ごしたいものです.


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。