『海に眠るダイヤモンド』の舞台となった端島は三菱系の炭鉱です。1890(明治23)年に三菱二代目社長岩崎弥之助(三菱の創業者弥太郎の弟)が、10万円(現在の価値で約20億円)で端島を買収。1890(明治23)年の買収以降、閉山に至るまでの約90年間にわたって、端島は三菱の経営下に置かれることになります。
一方北海道では三菱系の鉱区は早々に資源が枯渇し撤退を余儀なくされたのですが、三井系の鉱区は平成年間に入っても採掘を続けていました。それでも、格安で輸入される石油には勝てず、石炭鉱業は衰退の一途を辿ることになるのです。さらに、今では石炭さえ輸入に頼っています。石炭はエネルギーとしてだけではなく鉄鋼用の原材料としても使われているからです。
では、石炭火力発電は世間で思われているほど悪なのでしょうか。化石燃料でCO2を排出するという点では石油も同じです。何か石炭というと真っ黒な煙をもくもくと上げるイメージが強いようですが、現在は技術も進み、石炭火力発電で排出されるCO2等の大気汚染物質は相当削減されているのです。例えば、横浜市にある磯子石炭火力発電所は、「クリーンコール技術」とよばれる技術を活用し、大気汚染物質の排出を大幅に削減しています。2002年のリプレース(建て替え)前に比べると、窒素酸化物(NOx)は92%、硫黄酸化物(Sox)は83%、粒子状物質(PM)は90%も減っています。特に日本は世界でも最高効率の発電技術を持っています。発電効率が向上すれば、少量の燃料でたくさんの電気をつくることができるようになり、その分、火力発電から排出されるCO2排出量も削減されるのです。
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