2021年、イギリスのグラスゴーで開催されたCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)で、日本は「化石賞」という不名誉な賞を受賞しました。この賞はCOPの開催期間中、気候変動対策に対し消極的な姿勢を示している国や地域などに、皮肉を込めて贈られる賞です。受賞の理由は、首脳級会合に登壇した岸田総理が、「火力発電のゼロ・エミッション化」を前提としながらも、石炭などを用いた火力発電の継続を表明したことでした。
商業捕鯨もそうですが、科学的な根拠を示した上で実施ているにも関わらず、環境保護団体から非難されているのです。石炭火力発電にしても、日本の技術は最先端でCO2やNox(窒素酸化物)やSox(硫黄酸化物)などの有害物質の排出低減をした上で行われているのです。
石炭を使わないですむなら使いたくないのは日本に限らず、どの国も同じでしょう。それでも使用されるのは、安価で手に入るからです。石油や天然ガスは、採れる場所が世界の中でも限られていますが、石炭の採れる場所は広い地域に分布しており、採掘できる期間も長いため調達しやすく、価格も安定しています。つまり石炭は経済性に優れているため、途上国では今でも石炭火力の発電施設が多く使われているのです。
CO2の排出量は中国が日本の10倍と圧倒的です。アメリカも日本の5倍です。人口の割にCO2排出量が少ないインドやロシアでさえ日本の2倍以上の排出量があるのです。日本より排出量が少ないドイツでさえ、人口一人当たりの排出量でみれば大きな差はないのです。
現実問題として石油の利権を巡る紛争や政治的駆け引きもあります。それは、同じ化石燃料でも石油は採掘できる場所が限られていることが原因です。政治状況が不安定な中東に加え、資源大国のロシアのウクライナ侵攻で、世界のエネルギー事情が大きく変わりつつあります。また、ドイツなど脱原発を決めた国もあります。クリーンエネルギーは未だ不安定ですから、今を繋ぐエネルギーとして石炭による火力発電はやむおえないと考えています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます