愛のゆくえ
ざっとふるような雨
傘をさしかけてくれる
まばゆいクロスオーバー
きっとかるく顔みあわせて
驚きとはにかみと照れくささとが
傘の下で火花のように
激震をまねくだろう
それから雨はすぐやんで
愛の傘はとじられる
どちらまで?
帰宅します
あなたは?
おなじです
有難うございましたといって
ステーションにむかう
しばらくは薄暮のなかで
能面のようになる
愛なんかしらない電車は
いつものように
怪鳥みたいにとんでゆく
閉じられた愛の傘は
ポタポタ雫をおとして
地下鉄のなかで直立している
雨に 濡れた 愛 が
明日 乾く だろう
それは 愛 ではなく
ひろげたり、とじたりできる
あの落書きにもつかわれる
傘だったのか
それとも
ぬれたりかわいたりする
脇の下のくすぐったい感触?