






◇危険知らせぬ「静けさ」
「まるで透明の車」。横浜市に住む全盲の久保智(さとし)さん(39)はその体験を鮮明に記憶している。
丘陵地の住宅街にある狭い坂道。鍼灸(しんきゅう)術を学ぶために学校へ歩く途中、前方から小さな音を感じた。「ライトをつけた自転車が走るような音」。次の瞬間、至近距離からクラクションが鳴った。「ハイブリッド車だ」。慌てて路肩に避ける久保さんの脇を、自動車が過ぎ去る気配が残った。
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「音は光」と久保さんは言う。視覚障害者は、危険が迫っていることを音などで判断する。ガソリンエンジンとモーターを併用し燃費がよいハイブリッド車。人気は高まっているが、時速15キロほどの低速時にモーターの力で走る方式だと、走行音はほとんど聞こえない。環境に優しい一方、視覚障害者にとっては新たな不安材料だ。
メーカー側も意識は共有する。トヨタ自動車のグループ会社・トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)は、視覚障害者の要望に応え、ハイブリッド車の走行音について知ってもらう体験会を06年から4回開いてきた。
ホンダが2月に発売したハイブリッド車は、低価格で低速時にもエンジンを使う方式。これだと走行音が出るのも一つの特徴だ。
一方、「日本自動車工業会」は06年夏から、ハイブリッド車の走行音対策の検討を始めた。「車両接近を音で伝える装置がつけられないか」。しかし、発音装置は“新たな騒音源”になりかねない。議論は続いている。
今年2月には、自動車騒音に関する国連の会議の分科会が、静音性の問題を初めて議題に取り上げた。
ハイブリッド車の静音性と歩行者の安全性を研究する慶応大経済学部の中野泰志教授(障害者心理学)は「子どもや高齢者も事故に巻き込まれる可能性がある」と指摘。「ドライバーから『クラクションほどではない音で伝えられないか』という声も出ている。環境とバリアフリーの共存へ向け、業界全体で解決策を模索してほしい」と話す。【青木絵美】
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切れ目なしの渋滞状態とは言え、当然車は全く止まっている訳ではない。 時として相応の距離を、時速15キロ程度は出して走れるフェーズが訪れる。 道幅が、かなり狭い場所に歩きついた時だった。 それまで続いていた車がふっと途切れたような気がした。 あぁまた何台かスピードを上げてくるな...。 通常であればこの段階で、排気音から凡そ、次の車との距離感を意識する。 時には、この距離でそのスピードはなかろう!...というような車がすり抜けて行くようなこともあるので、耳を欹て、自然身構える。...が、今回、前を行く車との間に、相応の距離が開いたにも関わらず、後ろからのエンジン音はほとんどない...。 これはまた、妙なタイミングで、渋滞が途切れたものだ...と、ほんの少し気を緩めた、その瞬間だった。 プリウスが唐突に、かすめるように、右後方から走り抜けて行った...。


ただし「恐ろしく静か」な車は、記事にある通り、視覚障害者のみならず、子どもや高齢者に対しても、新たな事故の要因を生む。 先に記した『恐怖』は、体験した者でないと、本当の意味を理解し難いと思うが、五体満足とは、ある意味罪なものだ...記事を目にするまで、自身スッカリ忘れていた。
記事を読む限り、ホンダのインサイドでは、葉山の状況再現はなさそうだが、むしろ本当の恐怖は『静かな高速運転』にこそある。 解決策の模索は、業界のみならず、皆で知恵を出し合うべきではないか?...自身何ができるか!?を棚に上げたままの状態ではあるが、漠然とそんな風に思い至った次第である...。