ナルシスと言えば、水面に映った自分に恋したあげく、落ちて死んじゃった美少年でしょ。
昨日までの認識はこの程度でした。
今日少し、ギリシャ神話のナルシスの物語を調べたら、話はもっと複雑でした。
水仙はまだ探さないと見つからない時季です
ギリシャ神話では「ナルキッソス」。「ナルシス」は何語か分からない。英語では narcissus . 無理やりカタカナで書くと「ナルシシス」。言いにくいからナルシス⁇ ギリシャ語ではナルキッソス。日本ではナルシス。そして、英語の narcissus ナルシシスが 水仙の学名になっています。
水仙は今日撮りました。真冬以上に寒いのは耐えられても、寒風で花が揺れるのがきつい...
カラヴァッジォが描いた「ナルキッソス」
ギリシャ神話、ナルシスの物語を強引に簡略化して書いてみます〜
ギリシャ神話の絶対的な神、ゼウス。力はあるが女好き、浮気大好き。ナルシス(ナルキッソス)の頃の正妻はヘレ。嫉妬深く、監視能力に長けた女神。ゼウスの行動を疑いながら監視しています。あるとき、ゼウスの浮気の現場にヘレが近づいた。おしゃべりな森の妖精エコーがゼウスにそれを報せ、ゼウスをその場から去らせます。それを知ったヘレは怒り、「お前はもう自分からは喋ることが出来なくなる。相手の話すことを繰り返すだけだ、それだけは許してやる」と罰します。おしゃべりの好きな妖精が、自分から話をすることが出来なくなった・・
花が止まりませんから、構図も何もどうしようもありません
ある日、妖精エコーは美男子ナルシスを見て、一目で恋心を抱きます。そして近づいて声をかけようとしますが、声が出ません。そういう罰を受けています。自分からは話せない。ナルシスが何か言ってもオウム返しにそれを繰り返すだけ。何を言われても同じことを言って返します。しまいにはナルシスがあきれて、厳しい言葉でエコーを振ってしまいます。ショックのあまりエコーは洞窟に潜み、声だけの存在になってしまう・・ それを知った「義憤の女神」ネメシス(人間の傲慢な振舞いを罰する神ですよ)。ナルシスに呪いをかける... ナルシスは自分しか愛することが出来ない人間にされてしまいます。
そして、泉のシーン。水面に見た自分の美しい姿にナルシスは恋い焦がれるようになる。あまりの美しさにどうにもその場を離れられなくなる。でも、手を差し伸べると波紋が立ち、その姿は消えてしまいます。しかしどうしてもそこを離れることが出来ない。そしてついに衰弱による死が、ナルシスに訪れます....
そんな物語のようです。細部の間違いはお許しください。
ナルシスの死後、その場所に水仙が咲いたとか、ナルシスそのものが水仙に化身したとか書かれています。水仙の学名がナルシス〜 narcissus ナルシシスとなったのはその理由からのようです。ただ、水面に映る自分をひたすら見るナルシスは、うつむいて咲く水仙と重なるようにも思えます。